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2020年02月29日15:34

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J.S. バッハ:「マタイ受難曲」BWV.244(BCJの新録音)

ベンヤミン・ブルンス(エヴァンゲリスト)
クリスティアン・イムラー(イエス,Bas �機�
キャロリン・サンプソン(Sop �機�
松井 亜希(Sop �供�
ダミアン・ギヨン(Alt �機�
クリント・ファン・デア・リンデ(Atl �供�
櫻田 亮(Ten �機�
ザッカリー・ワイルダー(Ten �供�
加耒 徹(ユダ/ピラト/カヤパ/祭司長�機�Bas �機�

バッハ・コレギウム・ジャパン(合唱・管弦楽)
鈴木 雅明(指揮)

2019年4月,彩の国さいたま芸術劇場
BIS:BISSA2500(2CDs)


今年で創立30 周年を迎えるバッハ・コレギウム・ジャパン(BCJ)による「マタイ受難曲」の再録音。

この再録音の最大のセールス・ポイントは,通奏低音で用いる楽器をチェンバロからオルガンに替えたこと。そのことで何か劇的な変化が生じたかといえば,それほど画期的な変化が起こったようにはきこえない。以前の録音と比べて,良く言えば表現は全般的に成熟したといえる。ありていに言えば,マイルドになった分物足りなくなったという言い方もできる。若干,ロマンチックな表現に近付いたようでもある。

とはいえ,想像していた以上に骨格のしっかりした演奏である。聴いていて安定感あふれる「マタイ受難曲」といえる。BCJの最近の演奏は,繊細だが不安定な要素も目立つといった印象を持っていた。これはライブ録音ではなくスタジオ・レコーディングという事情が大きく作用しているようにも思う。熟考に熟考を重ねた末に出来上がった演奏という気がする。安定感はあるがスリリングな要素が少ないというのはこの辺りに由来するのではなかろうか。

そして,数限りなく繰り返し演奏してきた作品ゆえか,角が取れてしまい,心に突き刺さる表現から遠ざかってしまったようだ。つまり,即興的で閃きのある鋭い表現が後退していて,マンネリに陥っているようにきこえなくもない。30年の長きにわたって,初心を忘れないというのは恐ろしく困難なことであるのもよく理解できる。もし,そうだとすれば,再録音を行わないという選択肢もあったはず。創立30周年だから,「マタイ」をもう一度レコーディングしなくてはならないという訳ではなかろう。

率直に言って,この新しいCDが「マタイ」の演奏史に何かを付け加えたということは,微細な点を除いて,ないように思う。あるいは,新たな境地に達したBCJを聴ける訳でもない。
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