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2020年02月08日16:54

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「日本国憲法を口語訳してみたら」塚田 薫著 読書感想

はじめに、
この本の発行の切っ掛けとなった2ちゃんの書き込みは
一度も見たことがないし、
2017年4月に文庫本が発売されたが、
著者本人がtwitterで
「監修のN教授がドン引きするレベルで
コラムを書き足した増補版」
としているのであるけど、
僕が読んだのは2013年に発売された
単行本であるので、
今から書く感想はその2ちゃんの表記や
文庫本の増補された部分に関して
係わる部分があった場合に、
矛盾する部分があるかもしれないけど、
お気に召されるなw
それと、「天皇閣下万歳」な方は、
この本の14ページ四行目で、
本を地面に叩きつけて
踏みつけたくなる衝動に駆られると思うので、
気の迷いでも手に取らないことをお勧めするw
(もっとも、心底本当に天皇閣下万歳な人は
気に食わない本ではあっても
「天皇」と書いてあることは事実なので、
その事実をもって叩きつけるに叩きつけれず、
踏みつけたくともそんなわけにはいかず
だろうけど(^^;)

まず、最初に言っておきたいが、
憲法9条に「大事なことだから釘さしとくよ。」
を意味する言葉はどこにもない。
憲法第9条2項は原文だと、
【2項 前項の目的を達するため、
陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない。
国の交戦権は、これを認めない。】
とあるのだけど、口語訳では、
【2項 で、1項で決めた
戦争放棄という目的のために
軍隊や戦力を持たないし、交戦権も認めないよ。
大事なことだから釘をさしとくよ。】
としている。
比較していただいて分かる通り、
条文本文には「大事なことだから釘さしとくよ。」
と読めるか、そうくみ取れる文言は一切ない。
にもかかわらず、
著者か監修者が勝手な加筆をしている。
日本国憲法9条の条文の動機となった、
ハーグ平和会議での不戦条約や、
ポツダム宣言、マッカーサー・ノート、GHQ原案にも、
それは言及されておらず、
幾度か改定された憲法草案の中でも言及されていない。
きっと、9条信者の気持ちを「忖度」して、
付け加えたのだろうw

ってか、本書では口語憲法と称して
書かれているその他の条文にも、
余計な加筆はところどころにある。
読者に余計な先入観を持たせることが目的?
と疑われても仕方があるまい。

あと気になったのが、
「だからな。」「だぞ。」「しろよ。」
などの強い言い方と
「だよ。」「してね。」
という柔らかい言い方が混在していて、
いくら口語だからといっても、
文体に統一感がない事が
気になってしょうがなかった(^^;

この本のレビューをいくつか読んだ限り、
やはり「天皇閣下万歳」な人には、
第1条の天皇を国民の「アイコン」と
書いたことに激怒している方が散見された。
レビュー筆者にしてみれば、
★ひとつもつけたくないところだろうけど、
★を付けないとレビューが挙げれないので
致し方なかったのだろう。
どうせそれへの不満以外は
短い罵詈雑言しか書かないんだから、
いっそ挙げなきゃいいのにw

僕は、天皇の存在することを
良い事だと思っているし、
かっこいいと思っているけど、
超尊敬とかはないので、
「アイコン」と書いてあることには、
なんの抵抗もない。
イギリスの王室が尊敬されていたり、
ヨーロッパでも王政が残っていたり
することはあるのだから、
それを見ても天皇は要らない。とは思わない。
まあ「王」と「天皇」では、
存在の意味合いがだいぶ違うのだけどね。
とにかく「アイコン」という言い方は、
可愛い言い方だと思うし、
「シンボル」や「象徴」と
同意な言葉なのだと思うので、
怒っている方々の気持ちが分からない。
極論すれば「家紋」だって
「アイコン」なわけだが、
「家紋」を汚されて怒らない武士はいない。
「アイコン」を軽い意味でとらえるのは
「家紋」を軽くとらえているのと同義じゃね?
と逆に問いたい。

閑話休題

憲法の難しい言い回しを分かりやすく
現代風(若者言葉風?)に
口語化するというのが、
この本の主題であろうに、
監修者のこれは譲れない
という意地が多すぎたのか、
著者自身がどう分かりやすく表現したらいいか
わからなかったからなのか、
結局、難しくて意味の分かりにくい表現が
随所にある。
随所にあって「例えばここ」
とか指摘するのが面倒なくらいw
普通に憲法条文を読んだ方が分かりやすくね?
とか思ってしまうほど(^^;
あと、頻繁に口語文の下に
吹き出しで書かれている注釈が、
口語で分かりやすく
がコンセプトのはずのこの本の意味を、
無駄にしている。
その注釈がなくても伝わるように書くのが、
この本の本来あるべき姿じゃね?
それと、内容とは関係ないが年齢的な問題で、
その注釈の文字が小さくて
老眼には堪える(TT

さて次に、色々言いたいコラムの部分。

憲法が大事ってのは、
そりゃそのとおりだと思う。
でも【第98条 憲法は一番偉いルールだから、
それに逆らうことを国がしたら、
全部無視していいよ。】
っての。
憲法があなたの危急存亡にかかわる大事に
何もしてくれない事態が発生したらどする?
ちょうど後藤健二さんがISISに捕まって、
身代金を出さないと殺しちゃうよ。
と言ってきた事件が有ったよね。
憲法には、人質になったら金払って取り返せ。
とも、
力ずくで取り返せ。とも書いてない。
日本国としては、2項の外国との
約束や国際ルールをちゃんと守ろう。
にのっとって抗議はしたが、
見殺しを選択したよね。
憲法はその拘束力を持って、
自らを破綻させている。
という見方もできるということじゃね?

北朝鮮に拉致されている人たちの返還も、
憲法は保証してくれてない。
いや、憲法が個人の生命を
大事だと書いてるのは確かだけど、
実際それは相手国という
日本の憲法に拘束されない存在によって、
死文化している。と言い切ってもいい。
憲法9条がそのいい例だ。
外国にいる日本人を
憲法9条が守ってくれたことがあるのか?
是非、実例を教えて欲しい。

そのように臨機応変な対応をしないで、
70年余りも改定しなかったことを、
凄いとこの本には書いてあるし、
そういう人もいるけど、
人の作ったものがメンテもしないで
使い続けられると
本気で信じてるのだろうか?

アメリカは6回、イタリアは15回、
フランスは27回、ドイツに至っては58回の
憲法改定(メンテ)を行っている。
日本に日本国憲法を
GHQを通して押し付けたアメリカが、
あんな古い憲法、まだ改定してないの!?
とびっくりするくらいだ。

憲法ではないが、
刑法は明治40年の策定されたものが、
後生大事に使われている。
商法にいたっては明治32年策定だ。
勿論、改定されたところは多いが、
生き残って現状にそぐわない悪さを
する法も有るのが実情だ。

コラムの中ではさらっと
GHQ草案の話が流されているし、
前向きな草案としての印象を
与えようとする内容になっているけど、
アメリカがしたかったのは
今後絶対日本が
はむかってこれ無くしようという意図が
文字面からがばがばにはみ出して
見えてるのに、その言及はまるでない。
いやいや平和・非武装は理想でしょ?
と思う人は、朝鮮戦争が始まった時、
アメリカが日本に何をさせたか、
決めさせたかを考えるといい。
いきなり戦争に協力させ、
武装するように決めさせたのは
アメリカなのだ。
平和・非武装精神は何処えやらだ。

民主主義と憲法が
どうやって成り立ってきたかについても、
多少誤解がある。
宗教を横に置いといて、
話をしよう的に捉えているけど、
実際には同じキリスト教圏同士でいがみ合っても、
金と資源の無駄だよね。
キリストは、人をみな平等に扱うよう教えてるよね。
という宗教観を下地にした考え方が、
今の民主主義を作った。
だからアメリカの大統領は
必ずクリスチャンでなければなず、
聖書に手を置いて宣誓する
という儀式が生き残っている。

憲法9条を後生大事にしたい人に言いたい。
「話あいで解決する」?
「実力行使には抵抗しない」?
「日本が侵略され主権が無くなることが有っても、
未来の人が、9条を守った崇高な国が
有ったと賞賛してくれる」?

お願いだから、僕を巻き込まないで・・・

「攻めてきた相手から身を守ることだけに専念します!」
これって、相手が攻め疲れて戦争もう辞めた。
っていうまで、続けるってこと?
と思うんだが、圧倒的な物量で攻めてこられたら、
守り疲れて占領されちゃうんじゃね?
って思ったことはない?
(だから物量と質で対応できる
米軍にいてもらってるわけだが)

ナチスがスイスを攻めなかったのは
憲法9条が有ったからだと思ってる?
チベットやウイグルは憲法9条が無いから、
中国に占領されたの?
防衛する武器も持っていなかったのに
中国に占領されたのはなぜ?
ウクライナのクリミア半島は憲法9条が無いから、
ロシアに占領されたわけ?

と実例は歴史が語ってくれているのに、
実例を無視して理想論だけで
何かをなそうとするのって、
努力と根性でアメリカに勝てると思った
大日本帝国軍とそれをたきつけたマスコミと、
何処が違うの?

自由ってのはとっても大事だけど、
その自由は
誰かを不自由にしていい自由とは違うわけで、
誰かの自由を
制限しないという不自由を守ることで、
自分の自由も守ってもらえるわけだから、
それがための不自由は、
守らなければならない。
法律や憲法ってそういったことを
成文化したものだと思う。
だから、誰かの自由の為に
誰かが不自由になることが分かったら、
その法律や憲法は不自由になった人を守れるように
変えていかないといけないと思う。

とか思いながら読みました。

最後の方の
「女系・女性天皇について
これだけは知っておこう!」
この項目のサザエさんでの喩は
ものすごい分かりやすかったw
(女系・女性天皇を
肯定しているという意味ではない)

追記

話の中に治安維持法への言及があるが、
特定秘密保護法が
話題になっていたころに執筆したので、
意識したのだろうかな?
今ならテロ等準備罪も騒がれているので、
もっと念入りになにがしか
書かれていたかもしれないなと(^^;
特定秘密保護法と同様の法律も、
テロ等準備罪に類似する法律も
世界に普通にある法律だから、
何か悪いことを企てようと
思っているのじゃなければ
心配する必要は微塵見ない。
居酒屋で、
「自民党(安倍首相)は
始末せんといけんのじゃないか!?」
「ほうじゃほうじゃ!始末せんといけん!」
とおらんでるだけなら、
逮捕なんかされんけん、
心配しんさんなw

あと面白かったのが、
男女の平等を憲法に織り込むに至った理由。
GHQで働いていた若干22歳の「アメリカ人」女性が、
憲法にねじ込んだらしいw
日本の憲法をGHQが作ったと言われる
所以の一部を見る思いですなぁ。

筆者は後書きで
『「人間って本質的には
お互いにちゃんとうまくやっていけるように
できていると信じる」
(中略)
いろんな人がケンカしたり、
いい合ったりしているのは、
いつかは答えらしきものが出てくると
信じているからじゃないかな。』
と書いている。
でも現実はどうか?
人類が文明と呼べるモノを築きだして2万年。
戦争という殺し合いを
放棄してこれた時期というのは有るだろうか?
2014年、名古屋であった殺人事件を
思い出していただきたい。
犯人である当時大学生だった女性の
殺人動機は、ただ、人が殺してみたかったから
というだけのモノだった。
彼女は今現在も人を殺すことが何故いけないのか
よく理解できず、殺人衝動がこみ上げるという。
こんな人とも理解し合えるというのだろうか?
これから人を殺そうとしている人を
見たか知ったとき、
もう刃物を振り上げている人を、
引き金に掛かっている指に
力を入れようとしている人を、
話し合いで止めることは可能だろうか?
何らかの暴力的手段で阻止しない限り、
殺人をくい止めることは不可能だろう。

戦争はケンカじゃないし、
当然言い合いでもない。
戦争は、したくないモノから始めるものじゃない。
「服従させたい」「奪いたい」
そういう欲求から戦争は起こる。
服従させたい欲求や奪いたい戦争は、
話し合っても解決できないから発生する手段だ。
憲法はそれらの意思を止める力を持たない。
憲法にそんな力が有るのなら、
日本人が北朝鮮に拉致されなかったし、
竹島を韓国に奪われることもなかったし、
後藤健司さんが殺されることもなかったろう。
憲法は外からの力を防ぐ力にはならない。
生き残った者同士が仲直りできても
死んだ人間が生き返るわけじゃない。
だから、刃物を振り上げさせない、
銃を人に向る気持ちを萎えさせるだけの
そうすることで被る
自分の被害を想像できるだけの
見せる抑止力が必要なんですと思うですよ。
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