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2020年02月06日09:46

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【中国軍事情勢】中国が新型艦に配備した「暗殺者の戦棍」 対地巡航ミサイル「長剣10」の能力とは

 下記は、2020.2.6 付の 産経ニュース の記事です。

                       記

 中国山東省青島で1月12日、新型の055型駆逐艦の初号艦「南昌」の就役式が行われた。米海軍なら巡洋艦に分類される1万トン級の大型艦で、注目の装備の一つが、中国海軍で初めてのミサイル垂直発射装置(VLS)=112発分=に収められた対地巡航ミサイル「長剣(CJ)10」だ。これにより、南昌は海軍初の精密対地攻撃能力を持つ艦となった。「暗殺者の戦棍」とも呼ばれるCJ10の能力を探る。
(台北支局 田中靖人)

■陸海空から発射

 CJ10は南昌に搭載されている艦艇からの発射型のほか、潜水艦発射型や爆撃機H6Kに搭載される空中発射型、装輪式の陸上発射型もある。台湾の空軍司令部発行の学術誌「空軍学術」の昨年12月号の論文によると、射程は1500〜2000キロで、飛行速度は音速(マッハ)0・67、命中精度を表す半数必中径は10〜20メートル。長さ8・3メートル、重量2500キロと、米軍の「トマホーク」(長さ5・5メートル、重量1200キロ)と比べると大型だが、射程や精度はトマホークに近いようだ。

 かつては東海(DH)10とも呼ばれたが、2015年9月の抗日戦争勝利70年パレードに登場した陸上発射型の発射機には「東風(DF)10A」と書かれており、用途によって名称が異なる可能性がある。昨年9月の米国防総省の中国の軍事力に関する報告書は、陸上発射型の地上攻撃用巡航ミサイル(LACM)の保有数を270〜540発と見積もっている。

 台湾の国防部(国防省に相当)発行の学術誌「国防雑誌」の02年8月号の論文によると、中国が巡航ミサイルに関心を持ち始めたのは、1970年代、米軍が開発に成功した時期にさかのぼる。

 中国は80年代末期までに、巡航ミサイルの誘導に必要な地形等高線照合技術(TERCOM)や小型ジェットエンジンの開発に成功。91年の湾岸戦争で米軍のトマホークの威力を知り、重点開発兵器に位置付けた。ただ、当時は老朽機が多い空軍で高価で時間がかかる新型機への更新を補う役割として、敵の防空施設や滑走路などの攻撃用として期待されていたという。

 中国は、対艦ミサイルを基に巡航ミサイル「長風(CH)1」(射程400キロ)や「CH2」(同800キロ)、「鷹撃(YJ)」(射程400キロ)を、ロシアのKH65SE巡航ミサイルを基に「紅鳥(HN)1」(同600キロ)とHN2(射程1200キロ)をそれぞれ開発。イスラエルとの共同開発情報もあった。さらに、イラクやボスニア、アフガニスタンで米軍が使用したトマホークの不発弾や破片を入手し、リバースエンジニアリングで技術を向上させてきたとされる。

 CJ10は当初、中台紛争時の米軍介入を阻止する目的で、上海の「第3航天科学工業集団研究所」が開発を担当し、2008年までに完成、部隊への配備が始まった。

■小型、低空で探知困難

 巡航ミサイルの特徴は、地形を迂回(うかい)して目的に到達できる上、命中精度が高いため、山岳地の裏側の格納庫入り口など弾道ミサイルが届きにくい場所も攻撃できる点にある。また、同じ程度の射程なら、弾道ミサイルの費用が1発当たり200〜300万ドルなのに対し、巡航ミサイルは100〜150万ドルで済むという。

 CJ10は核弾頭が搭載可能なほか、通常弾頭や電子機器を麻痺(まひ)させる電磁パルス弾、電線をショートさせる炭素繊維や、子弾をまき散らして滑走路を破壊する弾頭などを搭載できるとみられている。防空レーダーや港湾施設などの軍事関連目標だけでなく、発電所や金融センターなど多様な戦略目標への先制・精密誘導攻撃に用いられる可能性がある。

 さらに、低空を飛行する上、レーダー反射断面積(RCS)は0・1平方メートルと小さいため、通常のレーダーでの警戒が難しい。空軍の論文は、地上配備の場合、地対空誘導弾パトリオットのPAC3か台湾が自主開発したPAC2相当の「天弓3」用の位相配列(AESA)レーダーでなければ探知は難しいとしている。

■対抗策はあるのか

 ただ、早期警戒機E2Tのレーダーであれば、最大250キロ先で探知可能といい、台湾本島の北部・中部・南部の上空に各1機のE2Tを滞空させれば、18〜20分のリードタイムが得られるとしている。

 巡航ミサイルは軽量化のために外殻が13〜15ミリと薄いため、機関砲などで撃墜できる。コソボ紛争では対空砲火で約240発の巡航ミサイルが撃墜されており、中国軍の防空部隊は実際、巡航ミサイルの撃墜訓練をしているという。

 台湾空軍の論文は、このほか、地形照合を妨害する煙幕や、衛星測位システムの電波妨害なども消極的な防御方法として検討すべきだとしている。


 https://www.sankei.com/premium/news/200206/prm2002060005-n1.html
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