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2020年01月31日11:42

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『象は静かに座っている』感想

〜中国北部の地方都市に暮らす別の境遇にいる男女4人の1日を4時間近い長尺で描いた。監督のフー・ボーはこれがデビュー作だったが、作品完成直後に自ら命を絶ち、遺作にもなった。かつては炭鉱業で隆盛しながらも、今では廃れてしまった中国の小さな田舎町。友達をかばった少年ブーは、町で幅を利かせているチェンの弟で不良の同級生シュアイをあやまって階段から突き落としてしまう。チェンたちに追われて町を出ようとするブーは、友人のリンや近所の老人ジンも巻き込んでいく。それぞれが事情を抱える4人は、2300キロ離れた先にある満州里にいるという、1日中ただ座り続けている奇妙な象の存在にわずかな希望を求めて歩き出す〜<映画.comさんより>

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私の映画鑑賞人生で、最も長尺の作品かと思いきや・・・改めて調べたら『美しき諍い女』の方が4分長かったです。
『象は静かに座っている』234分
『美しき諍い女』238分

観ようかどうか、かなり迷いました。
長さもそうですが、物語も映像も暗そうだし。。。
ただ、巷のいくつかの感想を読んで、後悔したくはないと腰を上げました。

結果は・・・見逃さないで本当に良かった!
最初は、物語の軸、登場人物(メインキャラは4人)たちの輪郭などがつかめず苦戦。
(お恥ずかしながら、最初の1時間は睡魔との戦いあせあせ(飛び散る汗)
だが、ある程度把握できてからは、のめり込みました。
途中、何度か『牯嶺街少年殺人事件』を思い出す場面も。。。

「天才か!」って叫びたくなった見応えある構図の数々。
中でも、長い貨物列車が低音を響かせ、いつまでもいつまでも、やるせなく流れてゆく場面は絶品!!
それは、紛れもなく、登場人物たちに重くのしかかっている不幸不運続きのメタファー。

ただ、全体的に長回しが多くて・・・。
また、会話が終わっても、カメラは沈黙を取り続けるんです。
これが効果的な場面もあったとは思ったけど、でも、でも、ちょっと観ているのが苦痛になった時もあったのは事実。

また、メインの人物以外の被写体がぼけている。
(これって正式には何っていうの?out of focus?)
これが、なんというか・・・勇気というか、挑戦というか、いやはや、おったまげました。

私は詳しくないですが、フー・ボー監督、ハンガリーのタル・ベーラ監督を師を仰いでいたようですね。
(この前『サタンタンゴ』見逃してしまったし・・・たらーっ(汗)

犬、ケーキ、マッチ棒、老人ホーム。。。
印象的な場面の数々。

中でも、面白かったのが、老人ジンが、中盤あたりからずっと手に持っている、ビリヤードのキュー。
杖代わり?というわけでもない感じで、改めて考えたら、英語の「cue」って、きっかけとか、手がかりとか、合図っていう意味があるのよね。
キューをずっと手に持っていたのは、惨めな現実から逃げ出すための、何か手がかりを求めて・・・という意味だったのかもしれない。

エンディングが、めっちゃいいんです。
それまでの暗さに耐えてきたのが、報われたというか・・・。
4時間の先にあの場面で本当に良かった!!

全体的には・・・もうちょっと短くてもよかったのでは?とは思いました。
それでも、フー・ボー監督の才能をスクリーンから目に焼きつけられたことが嬉しい。
でも、次作がもう無いということが・・・あまりにも寂しく、哀しく、残念です。
魂の力作に拍手と合掌。。。4つ☆

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