明日から、いよいよ「ベートーヴェンの森」。第１回の副題は＜皇帝＞＜運命＞。そこで今夜は
ルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェン(1770〜1827)作曲
ピアノ協奏曲第５番変ホ長調「皇帝」Ｏｐ．73
指揮：パーヴォ・ヤルヴィ
Ｐｆ：仲道郁代
管弦楽：ドイツ・カンマーフィルハーモニー・ブレーメン
本曲のＣＤは３枚ある。本盤は一昨年10月、仲道さんのコンサートで買った。その名も
「プレイズ・ベートーヴェン」。仲道さんはベートーヴェンのピアノソナタ全曲演奏会を２回も
やるなどベートーヴェン弾きとして知られるピアニストであるが、本曲は交響的な曲でオケの
良し悪しも大事な点。その点でパーヴォ・ヤルヴィさんが自身が芸術監督を
務めるドイツ・カンマーフィルハーモニー・ブレーメンを指揮しての演奏となると
Ｎ響首席指揮者だけに気になる。
パーヴォ・ヤルヴィさんのベートーヴェンは速い印象がある。ところが聞き直すと仲道さんも
速いテンポで応じている。私は今回のベートーヴェンの森の第１回は速いテンポの公演に
なるのではないか、と実は勝手に予想している。
先程、本曲は交響的な曲であると述べたが、冒頭の華麗なピアノのカデンツァを聴くと意外かも
しれない。案外ピアニストは休みが多い。時には伴奏に回る。
しかしながら、ベートーヴェンが付けた愛称ではないが５番はピアノ協奏曲の皇帝である。
壮麗で突き抜けた明るさがある。Ｏｐ．73の頃は難聴がひどく
なって１〜４番で務めていた初演のソリストを譲った。苦しくない筈はない。内面の苦しみを
突き抜けて生み出された音楽なのである。冒頭のカデンツァと書いたが、譜面にはカデンツァ
禁止とある。ピアノ協奏曲の場合はピアニストがカデンツァを持ち込んだりするものだが、それを
禁止している。実際、演奏時間が37分と大曲である。にも関わらず３楽章構成。バランスで
言えば第１楽章が長大。変ホ長調で勇壮な旋律が奏でられる。そこに仲道さんが華麗な音を
挟む。第２楽章はホルンで始まる、ゆったりとした長い旋律。本盤は適当な速さ。ブリッジ
パッセージを経て終楽章へ。ここはピアノが大活躍する。そしてオケと掛け合ってティンパニーの
連打で終わるのか、と思えば楽章冒頭の旋律が再現されて唐突に打ち切られる。
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