mixiユーザー(id:1665264)

2020年01月06日10:24

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査読コメントに見られる研究者の悪意

こんなニュースを見つけた。

GIGAZINE:論文の「ひどいチェック」が科学の発展を妨げているという指摘
https://gigazine.net/news/20200104-rude-reviews-pervasive-harmful/

日本で研究活動をしていたことがある私自身は、一度も悪意ある査読コメントをもらったことはなかったけど、世界には世界の事情があるんでしょうなぁ。

・・・もしかして、私が査読者の悪意に気が付かなかっただけなのか!?

カントールの師の一人にして当時の数学会の大物だったクロネッカーは、整数比で表せる数、つまり有理数のみを数として認め、有理数ではない数は存在しないという立場だった。これに対してカントールは、整数比で表せない数、つまり無理数も数と考えていた。

クロネッカーは、弟子のカントールが自分とは異なる数概念を持つことを許せなかった。彼は、カントールの研究のみならず人格まで誹謗中傷し、さらに、学術雑誌の編集委員会にカントールの論文を掲載しないよう圧力をかけた。

クロネッカーのカントール潰しは見事に功を奏し、カントールに理解を示す者は、彼のもう一人の師であるカール・ワイエルシュトラス、彼と同じく無限を研究していたリヒャルト・デデキント、自らが主宰する雑誌に彼の論文を掲載し続けたヨースタ・ミッタク=レフラーしかいなくなってしまった。自身の研究を発表する場を失い、研究に関する意見交換ができなくなったカントールは、孤独な研究を強いられ、ついには精神を病んでしまった。

クロネッカーが学会の第一線を退き、ダーフィト・ヒルベルトやバートランド・ラッセルら次世代の研究者が、無限論や集合論の革新的な重要性を理解するようになった頃には、カントールはもはや、まともな研究ができなくなっていた。

FWMINGWAY:理系夜話 第9話 いじめで名を残す
http://femingway.com/?p=1555

一応補足しておくと、クロネッカーはただの大物ではない。当時の最先端を行く超一流の大物だった。「クロネッカーの青春の夢」と呼ばれる、彼自身は解けなかった代数学の超難問は、数学上極めて重要な予想と位置付けられていた(ちなみにこの問題を証明したのは、日本人の高木貞治)。しかし今日では、こうした業績よりも「カントールをいじめ抜いた数学者」として数学史に汚名を残している。

なお現代の数学は、1920年代に完成した公理的集合論、すなわちツェルメロ=フレンケルの公理系(ZF)か、ZFに選択公理を追加した公理系(ZFC)によって基礎づけられている。しかし、哲学者のルートヴィヒ・ヴィトゲンシュタインは、クロネッカーの系譜に繋がるライツェン・ブラウワーの数学的直観主義を強く支持し、世を去るまで無限論や集合論を認めようとはしなかった。

・・・全然の関係ない話で終わってしまったが(苦笑)、学術雑誌の「査読」というシステムとその問題点については、同じニュースサイトの以下の記事を参照のこと。

GIGAZINE:「査読」のシステムはどのようにして学術の世界に普及していったのか?
https://gigazine.net/news/20190922-rise-of-peer-review/

GIGAZINE:「論文の査読システムは決して万能なものではない」という指摘
https://gigazine.net/news/20190806-peer-review-not-gold-standard/
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