mixiユーザー(id:6002189)

2019年12月12日04:28

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Working hour

2012年に発表した記事です。ドイツでは法律が、全ての会社員に対し、プライベートな時間を確保する権利を保証している。うらやましいことだ。
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短いドイツの労働時間と効率主義

 ドイツで働かれている読者の皆さんの中には、「ドイツ人の労働時間は、日本に比べてなんと短いのだろう!」と思われた方もいるのではないだろうか。OECD(経済協力開発機構)によると、2011年のドイツの年間労働時間は1411時間で、日本(1725時間)よりも18%短い。
 その最大の原因は、ドイツの労働法である。この国の法律は、企業に対して管理職ではない社員を1日あたり10時間を超えて働かせることを禁止している。日本と異なり、企業監督局(Gewerbeaufsichtsamt)の監視は厳しく、抜き打ちで企業を訪れ社員の勤務時間を調べることがある。仮に平社員を毎日12時間働かせている企業があったとすれば、企業監督局の検査を受けた場合、罰金を課されたり検察庁に告発されたりする危険もある。
 罰金の支払いを命じられた企業は、会社として罰金を払わず、社員に長時間労働をさせていた課の課長に対して、ポケットマネーから罰金を支払わせることがある。だから、ドイツの管理職は社員に「絶対に10時間を超えた労働をしないように」ときつく言い渡す。社員の労働時間が10時間を超えそうになると、PCの画面に警告が出るようになっている企業もある。私はNHKの社員だった時、毎日13時間働いていた。ドイツでは報道機関も10時間ルールを厳守しなくてはならない。
 この国の有給休暇が長いことは、ご承知の通り。ドイツの企業は、「休暇の最低日数に関する法律」に基づき、社員に最低24日の有給休暇を与えなくてはならない。実際には大半の企業が約30日の有給休暇を与えている。ドイツの管理職は、部下に有給休暇を完全に消化させることを義務づけられている。このため、社員は上司が組合から批判されないようにするためにも、休暇を全て取らなくてはならない。この他に、残業時間を年間10日前後まで、代休として消化することを許している企業も多い。つまり毎年40日、つまり8週間も休めるわけだ。大半の企業では完全週休二日制で、日曜日と祝日の労働は禁止。
 しかもバカンス中に病気になった場合、そのことを直ちに上司と人事部に連絡すれば、病気だった日は休暇ではなく「病欠」と認定されるので、後でその分休暇日数が戻ってくる。我が国では考えられないことだ。
 一方日本では、有給休暇2週間の内、実際に休むのは1週間だけで、残りの1週間は病気をしたときのためにとっておく、という話をよく聞く。リーマンショック以降の日本では、人減らしが進んだために労働量が増え、私の知人の中には、毎日終電で帰宅するという人もいる。私はNHKの記者だった時、大事件の取材のために3ヶ月間、土日も含めて1日も休まなかったことがある。ドイツ人には想像もできないことだ。完全な労働基準法違反である。
 短い労働時間にもかかわらず、ドイツ経済は好調だ。DAX市場に株式を公開している大手企業30社の業務利益の総額は、去年初めて1000億ユーロ(10兆円・1ユーロ=100円換算)を突破した。連邦統計局によると、2011年のドイツの輸出額は前年比で11・4%増えて、過去最高の1兆601億ユーロ(160兆1000億円)に達した。貿易黒字も2%増加して1581億ユーロ(15兆8100億円)に拡大。失業率は年々下がっており、バイエルン州では今年5月に失業率が4%を割って「完全雇用状態」を実現した。特殊技能を持ったエンジニアは引っ張りだこで、一部の業種では人手不足が起きている。
 ドイツ人の労働時間は、日本より18%短いのに、国民1人あたりのドイツのGDPは、4万3110ドルで日本を3%上回っている。(2010年・世界銀行調べ)
 OECDによると、2011年のドイツの労働生産性(1時間あたりの国内総生産)は55・5ドルで、日本(39・8ドル)を39%も上回っている。これらの数字を見ると、日独の間には労働効率に大きな違いがあると言わざるを得ない。
 日本の若いサラリーマンの過労死についてのニュースを聞くたびに、私は悲しい思いをする。勤労者の健康と幸福のためにも、わが国の経済の効率性を高めることはできないものだろうか。ドイツ人にできて、我々日本人にできないはずはない。


 
 


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