宇宙英雄物語を今更、語る

先日、OVAのラムネスを見たので、
思い出しついでに伊東岳彦の「宇宙英雄物語」について語りたいと思う。
私が宇宙英雄物語に出会ったのは既に、コンプで連載が休載していた頃で
単行本が５巻まで出ていた時だった。
まあ面白い漫画で、SF好きな私は一瞬で夢中になってしまった。
休載といっても、事実上、最終巻だと思っていたら、どこから火がついたのか
数年後、ウルトラジャンプで連載が再開する。
それに合わせて、６巻の単行本になるまで溜まらなかった、コンプ連載時の話が続きで収録された。
だが、フタを開けてみても、ウルトラジャンプでもなお、打ち切り同様の最終回を迎えることになる。
あれだけ壮大にはじまった漫画の結末が、あのような形で終わるとは正直、夢中で読んでいた私にはがっかりであった。
きっと賛否あったと思う。
私は否の方だ。
とりあえず、１つの答えが提示され、物語は完結した。
しかしながら、一方でトムとジェリー、ヤッターマンとドロンボー一味のように、悪と正義の追いかけっこは続く、という形で幕が閉じられている。
それから宇宙を悪と正義に分けた戦争を起こした、原因となるそれが、連載打ち切りに合わせて取ってつけたような、非常にどうでもいい、私としてはナンセンスなものであったことも一因である。
「イタダキマン」最終回のピースと一緒だと私は思った。
私はナンセンスだと思うのだが、場合によっては哲学的なものである。
メタ世界、ループ世界を持ち込むのは、私は物語として「逃げ」だと考える。
打ち切りを回避する方法として用いたのだとすれば仕方がないと思うが、この点は残念である。

宇宙英雄物語があのような形で終わり残念でいると、数か月後にまた伊東岳彦の漫画がウルトラジャンプで連載される告知が打たれる。
「アウトロースター」である。
宇宙英雄物語の続編というふれこみで連載がはじまり、宇宙英雄物語を期待していた私は見事に裏切られることになる。
悪い意味でである。
伊東岳彦だし、好きだから読んでいたが、２年くらいで打ち切りになった。
しかもアニメにもなった。
アニメの方が漫画より先に、放送の都合上、最終回を迎えた。
アニメの良い点、原作の方が良い点、両方あったが、原作が先に終わったアニメに寄っていった感が否めないのは、私だけの感想ではないと思われる。思いたい。
アウトロースターの最後、なんだあれ？
ふざけんな！と当時の自分も言ったと思うし、今も強く思っている。
途中までは良かった。
宇宙英雄物語の冠がついているが、まったく別の漫画だと思えば、
実質、別の漫画である訳で、冒険活劇として面白く読めていた。
曲者ぞろいのウルトラジャンプの中で、勢いがある訳でないアウトロースターは、メカやアクション、ギャグがそこそこあって、中二病心をくすぐる漫画であったのは事実だ。
ウルトラジャンプ自体、読む人間を選ぶ。
悲しいかなウルトラジャンプはアフタヌーンには成れなかった訳である。
宇宙英雄物語とアウトロースターを比較すると、断然にアウトロースターの方が中身がない漫画になっていた。
くさい、中二病なセリフと引き、だけで描かれた漫画である。
まだコンプ連載時は群像劇やギャグが盛りだくさんで面白かったが、アウトロースターは、大人で渋くカッコイイをテーマに描かれていると思われるが、これが漫画の内容と合わなかった。
ならば、ギャグを、ギャグなシーンを描かなければ良かったのだろう。
伊東岳彦っぽい絵が顔を出す。
渋さとギャグが噛み合わないのだ。噛み合っていなかったのだ。
ヒルダ登場から死ぬまでは、最大の見せ場にして、盛り上がりここは読むべき所である。
アウトロースターはここだけ読むべきである。
ヒルダの件は、非常に熱く、燃える展開だからである。
なぜこれを最初から最後まで描けなかったのか。残念の一言である。

打ち切りの漫画に理由をつけても仕方がない。
というのも、正直、エピローグで漫画が打ち切りになってしまった為、漫画の全体像やこれからの展開がまるで見えないのである。
壮大すぎるエピローグで、壮大すぎて打ち切り。
よって、アニメで描かれた展開に、原作の最終回が寄っていってしまった訳である。
なんで、こいつら仲間になってんの？え、龍脈って？
伏線が張ってないのに、伏線回収しちゃってる、稀有な漫画である。

アニメ自体もよく分からない終わり方だし。
原作も似たようなもんだし。
本当に、宇宙英雄物語の冠なしでやって欲しかったなぁと思う。

最後に、コンプ連載時を含め、宇宙英雄物語は6巻くらいまでは神漫画である。