その男の話しを聴いて帰宅。大成功したドイツ古典直熱三極管真空管アンプを聴きながら気分よく聴いています。
マイミクさんもご覧になられましたが、長野県歴史館の館長さんによると、土偶を見た見学者の帰りの顔は難しい顔をしているのはいなくて、みんな笑顔になるという。
それが精霊の姿とされる本物だけが生み出す霊的パワーかもしれません。
国宝に認定されている全国5体の土偶のうち2体は長野県茅野市から出土。
そのために出来た今回の展示会で、人の頭越しに見なければならない、東京などでの混雑展示会と違って、360度から30cmまで近づいて上下まで観察できます。
その2体を掘り出した男とは現尖石縄文考古館の館長さんです。
その掘り出した状態からの講演は聴いてほんとよかったです。以下は記憶にある要点です。
・土偶にもランクがあって、国宝クラスの土偶は最上クラスのものである。
実際に他の土偶と比較すれば、その造形美、作りの丁寧さ、大きさなどからわかります。
・土偶が掘り出されたのは墓であったことがわかる。
4層の土が人為的にかけられていて、最下層の地層からは人間の骨の成分が強く検出される。
・その上に2層の土がかけられて、穴が掘られて土偶が一緒に埋葬されている。
それも横寝の姿で遺体と顔を見合わせた形で埋葬された可能性が高い。
・縄文のビーナスの方は、墓のサイズから幼女の可能性。
・縄文仮面の方は成人と埋葬。
・4層に土をかける埋葬の仕方、他の墓からは簡易な土偶であったり、土偶そのものがなく、器程度のものがあることなどから、縄文時代のその部落の最上級縄文人の可能性が高い。
・土偶の足は意図的に折られて、胎内にその折った破片が有機物とともに収納されていた。
有機物はおそらく赤い漆と推測される。
この行為から、埋葬にかかる縄文人の再生を願った宗教観の可能性が高い。
・土偶の足の裏はすり減っていたので、長い間陳列されていた可能性が高い。
・墓はどれも東西を向いていて、土偶の方向からは西を頭にして埋葬される風習があったことがわかる。
・食べ物までわからないが、別の遺跡からは川や海の近くに住んで、矢尻や魚や鹿の角などで作った現代と形状は変わらない釣り針からは、遡上する鮭ら魚、海ではクジラ、マグロ、河豚、鯛まで採取していた。
また矢尻でイノシシや鹿を射止めて食べていた。
炭水化物は栗から。
・長野県の黒曜石は糸魚川、青森の三内丸山ほかあちこちの縄文遺跡から発見されているので、だいぶ広い範囲で交易していた。
・その交通手段は船である。
・縄文人の数はおよそ100万人程度であって、食べ物を巡って争いも不要だったのか、傷ついた人骨はなく、殺し合いはなかった。
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