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2019年05月02日16:28

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グリーンブック(Green Book)

 人種差別が色濃く残る1960年代のアメリカ南部を舞台に、黒人ジャズピアニストとイタリア系白人運転手の2人が旅を続けるなかで友情を深めていく姿を、実話をもとに描き、第91回アカデミー作品賞を受賞したドラマ。1962年、ニューヨークの高級クラブで用心棒として働くトニー・リップは、粗野で無教養だが口が達者で、何かと周囲から頼りにされていた。クラブが改装のため閉鎖になり、しばらくの間、無職になってしまったトニーは、南部でコンサートツアーを計画する黒人ジャズピアニストのドクター・シャーリーに運転手として雇われる。黒人差別が色濃い南部へ、あえてツアーにでかけようとするドクター・シャーリーと、黒人用旅行ガイド「グリーンブック」を頼りに、その旅に同行することになったトニー。出自も性格も全く異なる2人は、当初は衝突を繰り返すものの、次第に友情を築いていく。トニー役に「イースタン・プロミス」のビゴ・モーテンセン、ドクター・シャーリー役に「ムーンライト」のマハーシャラ・アリ。トニー・リップ(本名トニー・バレロンガ)の実の息子であるニック・バレロンガが製作・脚本を手がけ、父とドクター・シャーリーの友情の物語を映画化した。監督は、「メリーに首ったけ」などコメディ映画を得意としてきたファレリー兄弟の兄ピーター・ファレリー。アカデミー賞では全5部門でノミネートされ、作品賞のほか脚本賞、助演男優賞を受賞した。(映画.comより)







 さすが名作、オスカーを受賞したのも納得の作品でした。でも、ヴィゴが役作りででっぷり太っていてちょっとショックでした。いくら”がさつな男”って設定でも、だからと言って必ずだらしない体形だ、というのも今どきtypical過ぎるのではないだろうか、と思ったからです。これは不特定多数の観客を相手にしている以上、仕方がないのかもしれませんが、ずっと昔「マディソン郡の橋」を見た時にも、メリルが「主婦の役だから、少し太ったの」と言ってて無性に腹が立ったことを思い出しました。今どき(といっても随分前だが)主婦だから太っているなんて。そんな人、周りにもいませんけど、って感じでした。

 内容に関係ないことをすみません。この作品、主演はやっぱりヴィゴなのですね。アリは”助演男優賞”でしたものね。ここ数年のアリの活躍は目を見張るものがありますね。よく見ると、今までにも何度か見てるんですね。エイドリアン・ブロディの「プレデターズ」とか。今まで全然気づかなかったけれど(すみません)、けっこう出てるんですよね。注目を浴びるようになってからどんどん自信がついているのか、すんごくカッコよくなってると思います。元々長身ですしね。

 今回は、教養が高くてある意味世間知らずな天才ピアニストの役がよくハマってました。カーネギーホールの上の階に住んでるとか、王様のような派手派手衣装は「趣味わる〜」と思ったけれど、あの当時に、黒人でありながらピアニストになった人の苦労を静かに体現していました。決して声高に反発したり、差別を訴えたりするのではなく、大好きなピアノを弾き続けるために、”教養ある白人たちが、黒人が弾くだろうと考える曲”を期待通りに弾き、常に礼儀正しく、品行方正で、それでも威厳と優しさを失わない孤独なピアニストを体現していました。わざわざ南部を回るツアーも、なにかを変えたくてtryしたのです。

 人生は本当に十人十色。使い古された表現かもしれませんが、何をもって幸せというのか。また、幸せは本当に「心がけ次第」なのか。人はそんなにいい面や恵まれている側面ばかりを見て過ごせるものなのか。才能の有無、家族の有無、自分ではどうにもならないコンプレックス。悩みのない人のほうが圧倒的に少数でしょう。それでも、人は人と出会う。家族はもちろん大切ですが、疎遠な家族よりそばにいる友人。そんな、基本的なことを再認識させてくれる映画でした。ちなみに「グリーンブック」とは、当時黒人が泊まれるホテルを網羅して掲載していた冊子のこと。優秀なピアニストだったアリでも、これが手放せなかったのです。今夜リサイタルを開く、そのホテルですら受け入れてくれない悔しさ、悲しさ。見ていて本当に腹が立ちました。肌の色が何だって言うんですか。自分ではピアノも弾けない(いや、教養程度は弾くだろうけれど)金持ち白人たちが、つんとすましちゃってさ。時代のものなんだろうけれどね。言ってしまえば、よくある話なのかもしれない。でも、お勧めです。

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