昭和オヤジ論

まもなく時代は平成から令和に変わる。
平成も31年とよく続いたと思うが、僕らはもはや昭和世代としてふた昔前の人間になっていくんだろうな、って思う。
平成生まれの新入社員が来たときに「とうとう平成生まれが来たよ」なんて言ってたのも今は昔。平成元年生まれは既に31歳で中堅どころとなっている。
そのうち、「とうとう令和生まれが来たよ」って平成生まれが言い出す時代が、そんな遠くない未来にやってくるのだろう。
世代格差というのは、どの時代もある。僕ら昭和生まれは、平成生まれに、「昭和世代の頭固い時代遅れのジジイ」って言われるんだけど、僕らも、明治大正生まれは「時代遅れのジジイ」だったし、昭和でも戦前派や戦中派には「融通の利かない頑固ジジイ」っていうのがあった。
平成生まれは、今は自分が最先端をいっていると思っているが、この先10年後、20年後はきっと「時代遅れの頑固ジジイ」になっていくのだろう。
このように時代は繰り返される。
だからどの世代だからダメな連中っていうのは基本的には存在しない。

最近のことだが、僕は平成生まれの20代後半の奴に批判された。
「昭和の価値観」「昭和のヤンキー文化から抜けていないDQN」「男性主義のハラスメント親父」「脳筋バカ」などなど。
確かに当たっていると思うし、その中でも良い面も悪い面もある。
ヤンキー文化というか、80年代の不良文化というのは、自分が望む望まざるに関わらず、自分の下地としては確実に存在しているし、どこか体育会系のノリ、例えば先輩はたてるし、後輩は言われなくても先輩のために雑用をしろ、みたいなとこはある。
売られたケンカは買わなきゃ男じゃない、女子供には優しくしなきゃいけない、なんかも、僕らの世代の価値観ではある。
男は男らしく、女は女らしくっていうのが基本で、ナヨナヨしい男は軽蔑される。
実際にそれが出来ている出来ていないは別にして、少なくともそういう価値観を持って生きているのは確実だ。
まあここは世代というよりも、個人に依存するところが大きいので、単純に「昭和だから」「平成だから」とはいえないと思うのだが・・
僕が批判された原因は、その20代後半の野郎が、ナヨっとしていて腕相撲も女に負けるような奴なのに、口ばかり達者で、常に自己正当化をする。その上、女を泣かすくらい口で言い負かせて悦に浸っているんで、ちょい腹が立っていたっていう前提があった。それで脅し気味に「ふざけてんじゃねえよテメエは！」みたいなことをやったの。
その場は、お得意の口八丁で、及び腰に逃げていったんだが、陰で散々、上記のようなことを言って僕を非難していたらしい。
それもそれで恥ずかしい限りなんだが、僕らは少なくとも普段は温厚な（僕は普段温厚よ、ホントだよ！）年配者から、キツいこと言われたら、かなり落ち込んで、反省するものだった。
ちなみに僕も若かりし頃は相当ナマイキで、先輩からキツい説教くらったことは一度や二度ではない。当時は今以上に、先輩は後輩に厳しかったし。
だから言われること自体は、いわば若い者の特権ではある。だけど、言われたらそりゃー、シュンとなったし、出来てない自分を恥じたものだが、それが今時の若者には全くないことがビックリする。まーこれもジジイになったっつーことなのかなー。
男女同権だとかいうのも昔より相当浸透はしているんだが、同権だからこそ、女にも男と同じように傷つくような言動をしても良いと思っている輩も実際にいる。
これは、結構危険なことで、一旦そういう習慣が出来てしまうと、性格のねじくれた男は攻撃の矛先を女子供に向けるようになる。ちょっと強そうな男にはいかないで、弱いほうに安易に流れていくのだ。そして弱いものいじめをすることに対して、「自分は正しいことをしている」という歪んだ正義感が生まれてしまうので、改めようとすることは決してなく、余計にタチが悪い。

そもそも、世代に関係なく、これだけは守りたいっていう価値観ってあるんじゃないかなあ。そりゃ、ヤンキー文化だとかハラスメントだとかを賞賛する気は毛頭ないが、
男は強くあるべき、だとか、男はグダグダと愚痴を言わずに行動で示せ、だとか、女子供には優しくしろ、だとか。普段ならこっぱずかしくてそんなことは言わないが、自分の底にある信条として、持っていたいものだ。
例えば、平成生まれをやたら誇示するその軟弱男は、屁理屈でも何でも、理屈で言い負かせば「俺は全て正しい」と思っている。なので、こちらが怒っていても、理屈をネチネチ言って、「ほら僕の言ってることって正しいでしょ？」とドヤ顔している。
いや、そうじゃないんだよ。
その姿そのものが、みっともなく、カッコ悪く、女々しく、情けないんだよ、ということに気づいていないというか、そんなことはどうでも良いと思っている。
まあ、昔だったらとっくにぶん殴られているような部類の人間なんだが、昨今はいろいろあって殴られることなどないので、ますます助長していく。
何が正しいか、何が正しくないかなんて僕にはわかんないが、これからそういう輩が主流になっていくかと思うと、かなりゲンナリするのだ。
令和時代には、そういう人間が駆逐され、もっと気骨ある人間が主流になる時代になってほしいと、昭和のオヤジは切に願うのでした。