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2019年04月20日16:29

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クァルテット・ベルリン・トウキョウVol.11&12

<Vol.1>
ベートーヴェン: 弦楽四重奏曲 第4番 ハ短調 Op.18-4
モーツァルト: 弦楽四重奏曲 第14番「春」 ト長調 K.387
メンデルスゾーン: 弦楽四重奏曲 第2番 イ短調 Op.13

2019年4月13日(土),16:00開演,ふきのとうホール

<Vol.2>
ドヴォルザーク: テルツェット ハ長調 Op.74 B.148
バルトーク: 弦楽四重奏曲 第2番 Sz.67
シューベルト: 弦楽四重奏曲 第15番 ト長調 D887 Op.161

2019年4月14日(日),16:00開演,ふきのとうホール

守屋 剛志(ヴァイオリン)
ディミトリ・パヴロフ(ヴァイオリン)
グレゴール・フラーバー(ヴィオラ)
松本 瑠衣子(チェロ)


ふきのとうホールのレジデンス・アンサンブルとして第2期の活動が始まった。年2回,1回につき2度の演奏会の演奏会が行われ,1期3年として12回の演奏会が予定されている。1回あたり3曲の弦楽四重奏曲が演奏されるならば,計36曲の弦楽四重奏曲を聴くことになる。

第2期のVol.1とVol.2のプログラムは,第1期の選曲方法に若干修正を加えたのではなかろうか。第1期の演奏曲目は,おおむね古典派,ロマン派そして現代音楽からそれぞれ1曲が選ればれていたように記憶している。ところが今回は,第1日目にベートーヴェンの第4番,モーツァルトの第14番とメンデルスゾーンの第2番,そして第2日目にはドヴォルザークのテルツェット,バルトークの第2番,シューベルトの第15番というプログラム。1日目は弦楽四重奏団の演奏会で頻繁に取り上げられる曲目が並び,2日目もバルトークとシューベルトは弦楽四重奏団の演奏会の定番といって差し支えないだろうし,残りの1曲もドヴォルザーク である。このような選曲に聴衆は敏感に反応して,1日目はチケットが完売したものの,2日目はいくらか空席があった。第2期も第1期のような攻めの姿勢を崩さないでほしい。あまり演奏される機会は多くないものの完成度の高い現代作品を選りすぐって取り上げるのがクァルテット・ベルリン・トウキョウのセールス・ポインだった。細川俊夫やクルタークなどの作品を初めて聴いたのは彼らの演奏会である。そのお陰で音楽的な視野が一気に広がったのは言うまでもない。古典派,ロマン派,現代作品からそれぞれ1曲というフレームを崩さないで,未知の傑作を次々に紹介してほしいものだ。

今回,あらためてクァルテット・ベルリン・トウキョウの演奏を聴いて気が付いたことがある。この弦楽四重奏団は,アーティキュレーションに細心の注意を払い,メロディー・ラインの微細なニュアンスを造形するポリシーを採ってはいないということだ。それよりも,なめらかな弦の美しい響きで旋律美を紡ぎ出そうとしている。以前から,彼らの奏法はロマン派の音楽に向いていると感じていたものの,その理由を言葉で説明することが難しかった。これはこのカルテットの音楽観に由来するので,たんに技術的な問題として片付けるわけには行かない。けれども,古典派とロマン派の作品は現在のアプローチで対処できたとしても,現代作品をこの方法で表現するとすれば,似て非なるものに変容してしまいかねない。クァルテット・ベルリン・トウキョウが演奏する現代音楽に比較的簡単に馴染めたのもこうした理由があったから。その反面,彼らが演奏するバルトークやショスタコーヴィッチの作品を聴いたとき,何か少し違うと感じた理由でもある。このアンサンブルが音楽の造形方法を変更することは望むべくもないが,この点を心に留めておくのは今後も何かと役立ちそうだ。

もう1点今回気付いたことがある。アンコールで「ソーラン節」を弾いたとき,第1ヴァイオリンと第2ヴァイオリンが独奏する箇所があった。二人とも,ある意味とてつもなく巧い。技術的に巧いばかりでなく,出す音が溜息が出るほど美しく磨き抜かれている。滴り落ちそうな美音である。これは先程の点に大きく関わってくることで,このカルテットが何を志向しているのか,彼らの音楽観がどのようなものなのかを知る上で,重要な手掛かりとなる。ドヴォルザークのテルツェット,つまり「弦楽三重奏曲ハ長調」を選んだのも,希代のメロディーメーカーであるドヴォルザークの作品に近親感を抱いていたことと無関係ではないだろう。あとシューベルトの第15番も同じ理由からだろう。このカルテットのあまり陰影の深くない演奏は,長所でもあり限界でもある。ドヴォルザークのテルツェットは初夏のボヘミアの草原を吹き渡る薫風のような爽やかな演奏で,シューベルトの作品もこの作曲家が抱える深刻な側面はほとんど目立たない。否定的な面は,メンデルスゾーンの第2番はベルチャ弦楽四重奏団のような彫りの深さが足りず,表層的な作品の表面的な演奏といった印象を与えてしまう点だ。

順調に行けば,クァルテット・ベルリン・トウキョウとは今後も長い付き合いになることだろう。長所なかりでなくネガティヴな面も含めて,彼らの特徴に対する理解が深まった。以前のようなもどかしさが少しは解消されたのは,上手に付き合っていく上でメリットになるだろう。
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