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2019年03月07日00:19

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ホーキングなどいらない

先ほど、何の気なしにNHKをみていたら、昨年亡くなったスティーブ・ホーキングの特集をやっていた。
ホーキング博士といえば、宇宙物理学の大天才で、理論物理学から理論のみでビッグバンの謎を解明したりなど、もはや説明不要だろう。(実は僕はその仕事内容をあまり知らないのだが・・)
そのホーキング博士が、生前最後に著した、世界へ向けた遺言とも取れる本が世界的に話題になっているそうだ。
NHKでメインテーマとしていたのが、その本で、ホーキング博士は、今をときめくAI,人工知能について、警鐘を鳴らしているということ。
人工知能の発展により、遠い未来には人工知能が自ら意志を持ち、人間と敵対する存在になる、というもの。まあ、そうなるのには、まだまだ余程の歳月がかかるんだろうが、鉄腕アトムが現実に起こりえたとしたら、確かに怖い世界だろう。
人間が作り出した人工知能が、人間を超えて勝手に動き出すとなると、人間は太刀打ちできない。そのうち、自らが生み出した人工知能に滅ぼされる運命に陥っていく。
実際に、まだまだ、そこまで至るのはSFの世界だろう。
だが、人工知能が将棋の竜王だかを破ったニュースは記憶に新しいし、チェスの世界チャンピオンはもう20年も前にスーパーコンピュータに破れている。
AIの職場進出は現在進行形で進んでいて、今まで人間が苦労してやっていた単純作業などはAIが変わりにやってくれる時代は確実に来ている。
ホーキング博士のような科学者は、人類の飽くなき進歩は素晴らしいものであるという立場に立つし、その業績には尊敬の念を抱く。僕にも科学的探究心は多少はあり、科学のことを調べたりするのはとても楽しい。科学雑誌「ニュートン」などで最先端の科学について読んでいる時は時間を忘れるほど楽しんでいる。
が、反面、人類の進歩がこのまま行き過ぎると、どこかで絶対に破綻してしまうだろう。進歩主義史観者は、それが人類の幸福な姿だというが、果たして本当にそうなんだろうか?

漫画界の巨匠であり、鉄腕アトムの作者の手塚治虫は、生前、
目覚しく科学が進歩をしていったとしても、人間が触れてはいけない領域がある
といったことを言っていた。
手塚治虫の漫画といえば、近未来だとか医療だとか、科学的なものが多く、まだ日本が戦後間もないころで、都市整備も殆どされていない頃に、全国に張り巡らされた高速道路などを描き、その未来予想がかなり当たっていた作品が多かったことが、手塚治虫の凄さだと言われているが、その手塚治虫も、行き過ぎた人類の進歩にはだいぶ警鐘を鳴らす作品が多い。
例えば、「ブラックジャック」で、まさに人工知能が病院の管理から患者の治療から全て行っている話があったのだが、その人工知能が故障し暴走するという内容だった。そこで人工知能がコンピュータで割り出した人物に自分を修理させるように人間に指示をだすのだが、その人物がブラックジャックだったという流れ。
あの話なんかも、まさに今日NHKで放送していたホーキング博士の人工知能への危機感に通じるものがあるだろう。
僕も、思想的にはそっちかなあと思う。
昔、アポロが月面着陸したときに、搭乗員で、精神を病んだものが出たという話を聞いたことがある。その理由は、地球からみた月の世界は非常に神秘的で、神々が住む世界だと宗教的に思われてきたのだが、実際にその世界に降り立ってみると、空気もなく岩と砂しかない「死の世界」だった、ということがわかってしまった。信仰心が我々日本人より強い欧米人であれば、なおのこと、その価値観の転覆に精神が追いつかないだろう。
日本人は、むしろ目の前の現実を受け入れることに耐性があるほうで、今まで信じてきた価値観が突如ひっくり返っても、その現実を受け入れその中で進化していく。
明治維新や戦後の改革などまさにそうだし、そのために短期間で高度経済成長を成し遂げ、日本の風景を180度変えてしまう。
だが、それが行き過ぎた先は、どうも破滅しか見えてこない。
将棋の話でいうと、やはり将棋の名人は、神格化され絶対的に強い存在であるべきなのだが、そこに人工知能が入ってきてあっさり負かしてしまう。これなど、まさにコンピュータ技術を絶対化していく営みであり、昔から続いてきた将棋の世界の伝統を一瞬で破壊してしまうものだ。
ホーキング博士は、「人間には限界はない」と言う。
自身も、身体のハンディキャップを乗りこえ、前人未到の仕事を成し遂げた人であるし、「人間には限界はない」という権利はありその言葉には恐ろしいほどの説得力があるのだが、限界を乗りこえて進歩していった行き先はどこなんだろうか。
人間は地球上でなければ生きられない生物だが、それが科学の発展に伴う人口爆発で、地球のキャパシティをオーバーしたときに(というか今まさにそうだろ)、宇宙開発を進め、宇宙に住居を求めるのが正しい選択なのか?
僕は、それこそ人間の傲慢じゃないかと思う。
機動戦士ガンダムの世界のように、スペースコロニーを作って人類が宇宙に移住する宇宙時代の到来があり、そのうち重力に縛られない宇宙適応能力者ニュータイプが生まれ始め、人類の歴史は新しい局面に突入する。
物語としては面白いが、人間は重力の中でしか生きられないし、どんなに科学が発達して本来死ぬべき人たちが生き延びることが出来ても、地球の自浄作用によって、地球に適量の人口に戻っていく。そういうのが正しいあり方のような気がする。
人間には人間の分があるんじゃないのか。人間など、所詮は動物の一種に過ぎないじゃないか。
地球も、宇宙も、人間ごときがコントロールできる領域なんかじゃない。
本来は、謙虚に、敬虔な心をもって、共存していかねばならない場所のはずだ。
限界を知る。分を知る。運命を受け入れる。
本当は、この世界はホーキング博士などいらない世界なのだ。
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