Z200 オーバーホール 14 カムチェーン取り付け
Z200の腰上オーバーホールの続きです。
前回は、
「Z200 オーバーホール 13 シリンダヘッド組み立て」
https://mixi.jp/view_diary.pl?id=1970502891&owner_id=436214
でした。
今回のお題は、
シリンダヘッドを載せ、カムチェーンの取り付けです。
まず、シリンダヘッドをケースに嵌め込みます� �
シリンダから顔を出しているカムチェーンは、
片手の指で簡単に曲げることのできる、それなりの強度を持った、
φ0.7mm程度のステンレス針金で、
直上にあるフレームから吊ってあります。
この針金を、シリンダヘッドの側面に開いた、
カムチェンが通る場所を潜らせます。
針金に適度な柔らかさが必要と申しあげた理由がここにあります。
そうしたら、針金を引っ張って、カムチェンを潜らせます。
潜らせたら、針金をフレームに巻き付けて、
カムチェーンを吊ります。
ただ、サービスマニュアルには、カムチェーンをスクリュードライバーに
引っ掛けて、シリンダヘッドのオイルラインの穴に挿しておけ。とあります。
お好きなやり方で良いと思います。
シリンダヘッドをシリンダのドエルピンに嵌め込みます�◆�
このとき、Ｏリングやガスケットが、ずれていないことを確認します。
いずれもシリコングリスを糊の要領で塗布しておき、
ずれない様にシリンダに張り付けておくのがコツです。
最後の嵌め込みはプラステックハンマーで軽くこづくと作業が楽です。
シリンダヘッドがシリンダに載りました��。
スタッドボルトは、新品を使うすべきですが、
今回はワイヤブラシで錆を落としてから、
花咲Ｇ水溶液に１週間漬け込んで錆を完全に落とします。
真鍮ブラシで花咲Ｇで付着した灰色の皮膜を磨き落とし（※１）、
表面にシリコングリスを薄く塗ったのち、
先端のねじ山には二硫化モリブデングリスを着けて、
シリンダヘッドに挿入し、
指で回る程度のトルクで仮止めしておきました�きァ�
ここで、硬くて指で回らない様ならば、
そのスタッドボルトは使用すべきではなく、
ダイスでねじ山を回復させるか、
2019年現在、メーカに在庫があるので潔く新品にするのが無難です。
※１：せっかく酸化膜が構成されているので
除去しない方が返って錆びにくく、好都合だったのかもしれません。
ただ、高温のオイルに触れるので取り除きました。
賢明な読者は、��を見て、
カムチェーンをどうやってカムシャフトに嵌め込むのか疑問に思い、
筆者のポカミスに苦笑していたに相違ありません。
まったく、その通りでして、
正常なチェーンは横方向には遊び程度しか曲がりません。
果たして、一度、カムシャフトを抜いて、
カムチェーンを潜らせるようにカムシャフトを再度嵌め直しました�ΝА�
お恥ずかしい限りです。
この備忘録が、私の次回のオーバーホールで役立つことでしょう。
さて、カムチェンスプロケットの内周に、
二硫化モリブデングリスを薄く塗って、
カムチェーンに通していた命綱の針金を外し、
スプロケットの歯を嵌め込みます�─�
この写真では、スプロケットの右側にチェーンを嵌めていますが、
クランクシャフトは時計回りですから、
右側ではなく、左側の方が賢明です。
それから、クランクの位置は予め、
圧縮上死点付近であることを見ておきます。
これは、
https://mixi.jp/view_diary.pl?id=1970072236&owner_id=436214
で書いた、
「クランクシャフトのボルトの頭には
マジックでTマークに向きを「←」で書いておきました。」
の落書きが、役に立ちます��。
コーケンのスピンナハンドルは、ソケットの嵌め込み方で、
ソケットの向きが変えられます。
今回は「←」の向きと丁度一致しましたので、
ハンドルの柄の向きが、Ｔマークのおよその位置だと判るので便利でした��。
通常便利に活用するラチェットハンドルでは、自由に回ってしまうので、
この手が使えない上に、左右に素早く回せないので、かえって不便です。
適材適所、スピンナハンドルの面目躍如なるワンシーンですね。
さて、カムチェーンをスプロケットに掛ける際に便利なのが
ピックツールです��。
繰り返しになりますが、
スプロケットの左側にカムチェーンを掛けて、
クランクシャフトを少しだけ時計方向に回すと、
自転車のギアチェンジ機構の様に、
いとも簡単にカムチェンがスプロケットに嵌ります。
自転車のチェーン外れを治す。あの要領です��。
ただ、クランクシャフトをぐるぐる回すのは厳禁です。
最悪、バルブとピストンが干渉し、壊れてしまいかねません。
さて、この時はまだ、カムチェーンスプロケットの「KZ200」マークと、
シリンダヘッドの内側にある合わせマークはピッタリには一致していません��。
クランクシャフトのＴマークを合わせて��、
ピックツールでカムチェーンを起こして、
一山ずつ、適正位置となる様にずらしていきます��。
写真の左側が天の向きで恐縮ですが、
読者は首を左に９０度傾げて見てください�亜�
プロケットの「KZ200」マークと、
シリンダヘッドの内側にある合わせマークが一致し、
カムシャフトのＤＯＴが右側に来ています。
かつ、クランクのＴマークが一致している状態になりました。
これは、
https://mixi.jp/view_diary.pl?id=1970072236&owner_id=436214
の「基準点」に合わせられたことになります。
カムチェーンスプロケットをカムシャフトに嵌め込み、
ボルトを締めます�院�
私の様な手先の不器用な者は、
いきなりラチェットハンドルを使うのはご法度です。
指で締まるところまで締めこんで、
そのあと、トルクレンチで規定トルクで締め付けます�押�
写真のトルクレンチは、
東日製作所のプリセット形トルクレンチ、
QL25N-MHで、トルク調整範囲が5〜25［N・m］です。
https://www.tohnichi.co.jp/
「↓ONLY」と書かれた向きに、
一回だけ「カチッ」と云わせれば、規定トルクです。
それから、トルクレンチの保管は、
最低目盛に合わせておくそうで、
確かに、その旨が取扱説明書に明記されています。
私は、ばねに負荷が掛からない様にするのが良かろうと、
勝手な解釈をして、
最低目盛を超えて緩い方へ回して保管していました。
最悪、ばねが外れて要修理となる場合もあるそうで、
以後気を付けるようにしたいと思います。
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