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2019年01月14日02:44

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おめでとうございます

皆様、あけましておめでとうございます。

そして、全ての明治大学卒業生および在校生の皆様、帝京・早稲田・天理を破っての優勝おめでとうございます。

1月2日
第55回全国大学ラグビーフットボール大会準決勝

早稲田27
明治 31

帝京 7
天理29

三が日の中で、ただ一日の自由になる日に、今年も秩父宮ラグビー場に行きました。去年までと違うのは、今年は早稲田が久しぶりに勝ち残っていること。昨年末の準々決勝で、慶應義塾に対して劇的な逆転勝ちを収めた早稲田でしたが、奇跡は2度起こりませんでした。かつて12月第一日曜日の定期対抗戦で早稲田に敗れたときの明治は、必ず選手権では巻き返してきましたが、今年もそうでした。

平成11年度の慶應義塾が創部100周年で優勝したので、早稲田も創部百周年だから優勝してくれるのではないか。そんな漠然とした淡い期待の元に前日の酒が残った体でノコノコと青山に出かけた私の希望は、粉微塵に打ち砕かれました。まぁそれでも年越しすらできなかった昨年度までと比べれば、文句を言ってはいけないのかもしれません。「荒ぶる」(注)をまた歌える日は確実に近づいているのだ。今年の早稲田は進歩したのだと思って、涙をぬぐいました。

第2試合が始まっても第一試合の早稲田敗戦で気が抜けた私は、天理対帝京の試合をボーッと座って見ていました。「どぅワーッ!」というどよめきでグラウンドを見ると、帝京の10番(スタンドオフ)松永拓朗(大阪産大付高)が失神して倒れています。オーロラビジョンでのスロー再生を見ると天理の巨漢留学生で13番のシオサイア・フィフィタを無理に止めようとしたタックルが所謂「逆ヘッド」になり、失神して退場を余儀なくされたのでした。女性読者のために解説すれば、ラグビーの10番は、野球で言えば正捕手です。絶え間なく動く状況を瞬時に判断して次々に指令を出す役割です。帝京は、開始5分でそれを潰されました。

「これは、ひょっとして、ひょっとするぞ」という期待は、15分に帝京ゴール前スクラムで天理が押し勝って帝京のコラプシングを誘い、認定トライをとったところで確信に変わりました。平均体重107キロの帝京に比べて一人あたり10キロ軽い天理フォワードは、低さにこだわったスクラムが奏功。

完勝と言っていいスコアで、帝京の10連覇を阻みました。昨年10月に関西の古豪同志社が天理に0−59で完敗を喫した試合を見て、「同志社はたるみすぎとる。やにやってるんだ!」と思いましたが、天理がものすごく強くなっていたのです。

2試合が終わって、会場を出しなに、早稲田の卒業生とおぼしき老紳士と目があって声をかけられました。

曰はく
「2度は勝てないもんだねぇ」

「そうですねぇ。2回は勝てないもんですねぇ」

「まぁ。負けた相手が明治でよかったさ」

「えぇ、明治に負けたのが救いです」

「明治に優勝して貰いたいねぇ」

「えぇ、そうですねぇ」

老紳士と別れ、大混雑する営団地下鉄浅草線の外苑前駅を避けて半蔵門線青山一丁目駅へとトボトボ歩きました。

1月7日
第98回全国高等学校ラグビー選手権大会決勝戦

桐蔭学園24
大阪桐蔭26

西高東低の気圧配置は今年も変わらず。平成最後の優勝校も大阪勢でした。思えば昭和最後の日(1989年1月7日)、早朝に流れた天皇陛下崩御の一報に、高校ラグビーの茗渓学園(茨城)対大阪工業大学高校の決勝戦は中止となり、両校優勝というなんとも煮え切らない結果となりました。

大阪勢はそれからずっと全国ベスト4以上に勝ち残り続けています。福岡が優勝しないときには大阪が優勝という構図は、いつまで続くのでしょうか。かつて何度も全国優勝した古豪國學院久我山(東京都杉並区)は、入試の偏差値が高くなるにつれてどんどん弱くなってしまい、今回は全国大会に出場することすらできていません。ラグビーは、お利口になれば弱くなるというものではないはずですが。

1月12日
第55回全国大学ラグビーフットボール大会決勝戦

明治大(関東対抗戦4位)22
天理大(関西リーグ1位)17

ありがとう明治。おめでとう明治。

帝京に組み勝った天理の異常に低いスクラムの威力は確かでした。スクラムでは帝京以上に強い明治も苦戦しました。しかし、明治はラインアウトの分析という、かつての明治では考えられなかった知性を発揮し、試合中に10回あった天理ボールのラインアウトで5回もボールを奪い取り、関西勢として昭和60年の同志社以来34年ぶりの優勝を阻止し、自身の22年ぶりの優勝に繋げました。

今回の監督は就任1年目の田中澄憲(きよのり)ですが、彼は前監督の丹羽(にわ)政彦時代からヘッドコーチを務めています。「豪快」「奔放」ばかりが売りだった明治に、サントリーでエディ・ジョーンズ(現イングランド代表監督)の分析手法を学んだ田中の知性を加えたのは丹羽の功績でした。そして、その基礎を作って丹羽にバトンタッチしたのが、前々監督の吉田義人(よしと)です。

この試合は、JsportsとNHKの両方で中継されました。Jsportsは、優勝を喜ぶ丹羽や新日鐵釜石元監督の森重隆(もりしげたか)をアップで写し「松尾勇治さんは本日は仕事だそうですよ〜」なんで言っていましたが、さすがはNHKです。記者席で肩をふるわせる吉田の姿を見つけるや、ドアップで撮影。

長い長い低迷に終止符を打ち、22年ぶり13回目の優勝を明治にもたらした、吉田・丹羽・田中という3人の指導者の苦労と功績は、明治の歴史の金字塔です。なにしろ最後に優勝したのは、今の4年生が生まれた年だったのですから。

帝京大の岩出監督にもお礼申し上げます。彼が10年以上前から取り組んだ、早稲田を倒すための数々の手法は素晴らしかった。

ニュージーランドで有望な留学生をスカウトして入学させると共に、寮に管理栄養士を入れて学生の食生活と体重を管理する。

試合に出られない多くの選手のそれぞれに役割を与えることで公式戦に出られなくてもそれぞれが部内での自分の価値を実感。

一人一人の適正に応じたきめ細やかな進路(就職)指導を通じて、受験生父兄の信頼を勝ち取り、我が子を帝京に進学させたいと受験生の父兄に思わせることに繋げる手法。

はじめは選手に強制した管理から選手が自主的に取り組む自己管理へ。

そうやって帝京は強くなったのです。

岩出監督が帝京大学で行った改革は、今やどこの大学のラグビー部でも取り入れる「指導のスタンダード」になって、日本ラグビーのレベルを底上げしています。そしてなによりも、流大(ながれ・ゆたか)、堀江翔太、松田力也などなど、現在の日本代表選手に多くの帝京出身の選手を送り込み日本代表のレベル向上に果たした実績は、認めない人はいないでしょう。

帝京が重ねた九連覇は、すでに帝京大学を卒業した卒業生にも大変な自信を与えたことでしょう。かつて帝京といえば高校野球や高校サッカーでの活躍ばかりが有名で、「帝京って大学もあったの?」と言われることもあったそうです。大学の存在を知っている人も、「帝京大学?あぁ、あの薬害エイズ問題の」。

これでは卒業生は、自身の母校を隠すようになってしまいます。帝京が年々優勝を重ねるにつれ、観客席には卒業生とおぼしき中高年の数が、確実に増えていきました。

「ラグビーの強豪帝京大学」。卒業生が自分の大学に感じた自信と誇りは、今後の帝京にも大きなプラスとなるでしょう。

9月から始まった日本のラグビーシーズンは、大学選手権決勝での明治優勝を以て終わりました。2月のシックスネーションズ (欧州6カ国対抗戦)開始まで、多くの男性はしばしの休養と奥様孝行、家族サービスに励むでしょう。

さて、明治は復活しました。次に復活すべきは早稲田です。慶應義塾と違って、早稲田には「トップアスリート特別選抜」という、学力だけによらない入学者選抜制度があるのですから、有望な高校1・2年生に今から目を付けてスカウトしましょう。

でも、有望な高校生を根こそぎ取ってはダメにして、「人材の墓場」と揶揄された、かつての明治のようになってはいけません。

早稲田が負けてガッカリで、でも明治の復活に力づけられた、平成30年の正月でした。

注:「荒ぶる」について、一般の方はご存じないかもしれません。お知りになりたければ石を投げてみてください。「石を投げれば早稲田に当たる」とは言い古されたことわざです。あなたが石を投げて、それにぶつかった人はきっと早稲田です。その人に「荒ぶるというのはどういうときに歌うのですか」と聞いてみてください。きっと教えてくれます。
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