パリを訪問中のトランプ大統領は10日、フランスのマクロン大統領と会談。冒頭、不満をぶちまけたのが、NATO(北大西洋条約機構)を巡る防衛費負担の不公平だ。マクロンはあっさり屈服。「マクロンはすぐ了解した。シンゾー、次はおまえだ」――。トランプの胸中が聞こえてくる。
トランプが「欧州を支援したいが公平でなければならない。現在、負担は主に米国にのしかかっている」とグチると、マクロンはすぐさま「われわれはNATOでの負担をもっと共有しなければならない」と応じたのだ。
NATOは2024年までに全加盟国の防衛費負担をGDP比2%にする公約を掲げている。ところが、NATOの統計によると、今年、加盟29カ国の中で2%をクリアしているのは、米国(3.50%)、ギリシャ(2.27%)、エストニア(2.14%)、英国(2.10%)、ラトビア(2.00%)のわずか5カ国。マクロンのフランスは1.81%と未達組。トランプの逆鱗に触れたわけだが、次に牙を向けるのは日本だ。
日本の今年度の防衛費は過去最大の5兆1911億円を計上しているが、それでも17年度の名目GDP比は0.94%。軍事評論家の前田哲男氏が言う。
「NATO各国はフランスに追随して、防衛費負担2%の目標達成に向けて努力することになるでしょう。その流れを受けて、トランプ大統領がGDP比1%以下の日本に目をつけるのは間違いない。在日米軍の経費や米国製武器購入など防衛費の大幅増額の要求を強めるはずです。要求に対しては、平和憲法や、長年の“国是”ともいえる『防衛費のGDP1%枠内』を“盾”に抵抗すべきですが、9条改憲に前のめりの安倍首相には難しいでしょう」
今年7月のNATO首脳会議で、トランプは加盟国の防衛費負担を4%に倍加することを主張している。「シンゾー、まずおまえがGDP比4%を実現して、NATOをリードしろ」――。トランプならそんなことも言い出しかねない。
GDP比4%なら防衛費は20兆円を超える。トランプの言いなりで、平和憲法嫌いの安倍政権なら絵空事ではない。社会保障や防災はヨコに置かれ、軍事大国まっしぐらだ。
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/241499
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