mixiユーザー(id:7846239)

2018年11月03日22:03

74 view

ティーレマン&SKD:シューマン交響曲全曲演奏会

【演奏曲目】
シューマン
 (1日目)
 交響曲 第1番 変ロ長調 Op.38「春」
 交響曲 第2番 ハ長調 Op.61
 (2日目)
 交響曲 第3番 変ホ長調 Op.97「ライン」
 交響曲 第4番 ニ短調 Op.120(1851年改訂版)

ドレスデン国立歌劇場管弦楽団(管弦楽)
クリスティアン・ティーレマン(指揮)

2018年10月31日(水)/11月1日(木),19:00,サントリーホール


今週はティーレマン&ドレスデン国立歌劇場管弦楽団(SKD)が演奏するシューマンのツィクルスを聴いて来た。想像していた演奏とは少し違っていて多少戸惑いを覚える。ひとつには期待が大きく膨らみ過ぎていたためだろうし,座った席も一因だろう。

ティーレマン&SKDが演奏するシューマンにしては,想像以上に流麗な演奏だった。やや速目のイン・テンポで颯爽とした演奏だったため,アゴーギクが弱いという印象を与える。また,アクセントも抑制気味だった。勢いで弾き切ったような演奏で,細部をじっくりと彫琢することは重視していないようだ。とはいえ,オーケストラの卓越した演奏水準を堪能できるツィクルスであったことは事実だ。

このような印象を持ったのは,座席を選ぶにあたってミスをしでかしたことも大いに関係がありそうだ。席は前から8列目で,ステージに向かってかなり右側の34番。ステージに向かって右から,第1ヴァイオリン,チェロ(その後ろにコントラバス),ヴィオラ,第2ヴァイオリンという対向配置の第2ヴァイオリンがすぐ目の前。弦楽セクションのバランスも良くないうえに,弦と管のバランスはさらに悪い。金管も木管も遠く離れたところで鳴っているようにきこえる。チケットが売り切れることが気になって,座席の位置をあまり考えずに買ってしまったのが間違いのもとだ。ホールの響きの癖をよくわかっていなかったせいもある。

4曲のシンフォニーの演奏を良かった順に並べると,おおよそ第2番,第4番,第3番,第1番となる。両日とも初めに演奏した曲より後から演奏した曲が良い。第1番と第3番は,ティーレマンが要求する速目のテンポにオーケストラがほんのわずか戸惑っているような印象も。これら2曲では,アンサンブルが狂うということは当然なかったものの,どこかしっくりの馴染まないところを残したまま最後まで突っ走った感がある。その点,休憩後に演奏した第2番と第4番では,アンサンブルがビシッと決まっていた。

あと,弦楽器群のアンサンブルと管楽器群の個人技を比べると,断然,後者が突出していた印象が強い。とりわけ,かつてペーター・ダムが在籍していたホルンのセクションの活躍が目覚ましい。速いパッセージを安定した音程で軽々と吹いてしまう様子はまさにホルン演奏のお手本であり,その音色もそこらのホルン吹きとは次元が違う。第4番のフィナーレでのホルンは強く印象に残る。「ライン」のホルンも雄渾そのもの。トロンボーンも見事な演奏を披露してくれた。輝かしいけれども十分に柔らかくふくよかな響きには惚れ惚れとする。弦5部の中で感心したのはチェロ。あれほど気品あふれるチェロの合奏を聴くのは何年振りだろう。

小振りな2管編成は響きの厚みよりも機動性で勝るが,ティーレマンの速い棒について行くだけでも並外れた俊敏さが求められる。それに加えてフレーズのニュアンスを可能な限り表現しつつ,本来の意味でのヴィルトゥオージティを発揮するというのは並大抵のオケにできることではない。

ティーレマンが設定した若干速目のテンポもオーケストラのテクニックに全幅の信頼をしてのことだろうし,そこにシェフとオーケストラとの強固な信頼を読み取ることができる。最初から最後まで疾走することでシューマンの交響曲の高揚感を表現する意図も理解できないわけではない。ただし,個人的にはその点を十分に感じ取ることはできかったが。

残念なことに,各交響曲のディテールについては,正確に覚えていない。想像していた演奏と異なることに気を取られてしまったからかもしれない。

チケットが高額なこともあって,会場を見渡すと85%から90%程度の入り。もう少し慎重に席を選ぶべきだった。また,このホールの響きの癖に無頓着過ぎたのもまずかった。もっと後方の中央寄りの席で聴いていれば,このツィクルスの印象が大きく違っていた可能性が大きい。演奏の詳細も記憶していたとも考えられる。この日の客席の埋まり具合を見ると,あまり慌てて席を決める必要はなかった。

このツィクルスを聴いた最大の副産物は,シューマンのシンフォニーをより深く理解できたことだ。この全曲演奏会に備えて,4曲のCDを聴き込んでその面白さがよくわかった。ベートーヴェン風の響きをシューマンの流儀で凝縮したようなフレーズが4曲のあちらこちらに散りばめられていて,聴いていてたとえようもなく楽しい。ベートーヴェンの伝統を後の作曲家に受け渡す役割をシューマンは演じていたのか。
4 2

コメント

mixiユーザー

ログインしてコメントを確認・投稿する

<2018年11月>
日 月 火 水 木 金 土
    123
45678910
11121314151617
18192021222324
252627282930