暗闇
この言葉が発するイメージは
その言葉の意味のままで
決して明るいものではない
でもぼくは
暗闇が 好き
ふと目を覚ましたとき
まわりは全て真っ暗で
何も見えない
音すらもすべて吸い込まれる
自分がどこにいるのかも
わからない
自分が目を
開けているのか
閉じているのかさえ
感じることが出来ない
一切の刺激を失った
暗闇の中
認識 把握する感覚を奪われたとき
人は大きな不安に襲われる
想定外の動揺
未知の恐怖
目の前に
何があるのかすらわからず
無意識に探ろうと
手を前に伸ばす
そして
微かに触れた
指先の感覚
確かに覚えのある
指先から伝わる熱量
そっと指で
確かめるように
形をなぞってみる
そして
ゆっくりと握る
その手を
覆い尽くされた全ての
恐怖も 不安も
それら全てを瞬時に
優しく包み溶かしてしまう
やすらぎと解放の空気
底知れぬ暗闇の中でしか
感じることが出来ない感覚
毎日
夜通し光が消えることがなく
決して
音が途切れることがない
この世界の中で
ぼくには
ぼくの時の流れを
断片的に途切れさせる
暗闇のときが
必要なんだと
感じた
あの手に触れる
確かな感触を
決して
忘れぬように
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