深夜
仕事の後の家路
コツコツ コツコツ
コツコツ コツコツ
高いトーンの
規則正しい
足音
ぼくの背中に
一定の感覚を保ったまま
ずっと
ついてくる
振り向かなくても
わかる距離感
そして
硬く高めのヒール
音のサイクルが
ぼくのちょうど2倍
だから
ゆったりと歩く
ぼくに比べ
急ぎ足で続いている
追いつくでもなく
遠ざかるでもなく
等間隔を保つ
ぼくの歩幅も
等間隔だから
どちらかが
リズムを崩すと
きっと
空気が変わる
けど
そんな時って
何故だか
自分からは
動けない
まるで何かに
捕掴されたかのように
ロックオン
捕らえられている?
ぼく...
睨みつけられた
カエルのように
見えないけれど
刺さる視線に
ターゲットは
ぼく...
そんなに
美味しくは ないのに...
シンクロした歩調が
崩せないまま
交差点に差し掛かる
きっと
状況が 変わる
渡らずに曲がるぼくと
そのまま突き進む 彼女
次第に遠ざかる
足音
深夜の静寂に
ずっと
響き 征き 去る
あしおと
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