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2018年08月16日11:43

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「持久戦に備える」「世界に破壊的な影響」 中国の有識者は米中貿易戦争をどう見ているのか?

 下記は、2018.8.16 付の産経ニュース【中国観察】です。

                        記

 米国の追加関税に対して中国もすぐさま報復措置を打ち出すなど、米中の貿易摩擦が深刻化している。中国の王毅国務委員兼外相が米国に対する「反撃」が必要な状況だと述べるなど、中国側もトランプ米政権に一歩も引かない姿勢を強調している。中国金融界の有識者からは「持久戦に備えなければならない」や「世界のバリューチェーンに破壊的な影響をもたらす」といった分析が出ている。
(外信部 三塚聖平)

 民間シンクタンクの野村総合研究所(NRI)は、日中金融界の有識者らが両国の金融市場に関する政策課題について意見交換する「日中金融円卓会合」を6月上旬に都内で開いた。NRIが中国のシンクタンク「中国金融40人論壇」と2012年から共同で開いている研究会で、第8回となる今回は「世界経済回復の挑戦」がテーマ。米中貿易摩擦の先行きが不透明な時期だったが、グローバルな貿易摩擦の影響・対応などについて議論された。中国金融界の有識者が「米中貿易戦争」をどう見ているのかという点に絞り、8月上旬に公表された議事概要から一部を紹介したい。

 著名エコノミストの余永定・中国社会科学院学術委員は、米国が中国に厳しい姿勢で臨む理由について(1)米国は対中貿易赤字が非常に大きいとし、トランプ大統領は毎年5千億ドルに上ると主張している(2)米国は中国が世界貿易機関(WTO)のルールを順守していないと考えている(3)米国は中国が不当な手段で米国の技術を入手したと考えている−との3点を挙げる。その上で「これらに関して、中国の学者は異なる見方を持っている」とトランプ政権の見方に異議を唱える。

 余氏は、その異議の理由のひとつとして「貿易赤字は多角的な問題で、二国間だけで評価するのは適切ではない。中国は米国に対して貿易黒字だが、日本を含むアジア諸国に対しては貿易赤字になっている」と指摘。その上で「例えば、米国が中国に対米貿易黒字を減らすことを強要するなら、中国はその他の国に対する貿易赤字を減らすことになり、国際分業体制と世界のバリューチェーン(付加価値連鎖)に破壊的な影響をもたらす」と世界に与える悪影響を強調した。

 また、余氏は米側の対応について「中国の買いたい物を米国は売りたくない。もし米国が輸出をさらに開放してハイテク製品の中国向け輸出禁止を緩和すれば、米国の中国に対する巨額の貿易赤字は大きく変わるはずであり、この点でも米国の貿易赤字に関する主張は不公正だ」と訴えた。

 今後の米国との交渉については難しさも指摘した。

 「米中貿易摩擦は、1〜2回の交渉といった短期間に解決できるものでないと認識すべきだ。日米の間にも依然として貿易摩擦が存在するように、米中間にも10年単位で貿易摩擦が存続する可能性がある。中国は『持久戦』に備えなければならず、同時に、中国の改革開放のプロセスが米中貿易摩擦の影響を受けないようにし、逆に外部ショックを利用してそのプロセスを加速すべきだ」(余氏)

 一方、中国金融40人論壇の哈継銘・高級研究員は、貿易戦争の火種となった中国のハイテク産業育成策「中国製造2025」が「米国で過度の警戒を引き起こした」と分析。その上で「中国製造2025は実際には綱領的な文書で指導的スローガンの色彩が強かったが、非市場的な手段で米国と競争しようとしていると誤認された可能性が高い」との見方を示した。

 その上で「トランプ政権が25%の追加関税を課す製品は、主として中国製造2025に関連した製品。しかし、中国の対米輸出で最も規模が大きいのは、携帯電話、家具、玩具、アパレルといった低付加価値で労働集約型の製品なので、米国の対応による中国経済への影響は限定的だ」との見通しを強調した。

 ただ哈氏も米中貿易摩擦の長期化を予想する。

 「米中貿易摩擦は長期的な問題で原因は単純ではないが、米中両国には経済的な相互補完性が強く、協力の余地が大きいことを認識する必要がある。米中両国は世界の貿易体制の維持の責任と義務を果たし、WTOの枠組みを通して争いを解決すべきだ」(哈氏)

 日本側からは1980年代の日米貿易摩擦の経験を説明するものが目立った。

 経済産業省出身の津上俊哉氏は「1980年代の日本経済は現在と完全に異なり、鉄鋼から家電・自動車・半導体といった製品で、欧米の同業者を追い詰めていた。このため、欧米は一種の恐れ、ひいては大きな反感を持った」と振り返る。その上で、現在の中国の状況を「中国製造2025が3年前に発表されたときには米国人は何も言わなかったのに、今になって騒ぎ始めたのは、この間に中国のニューエコノミーが想像以上に進化したことに気づき、急に不安に駆られ始めたからだ」と分析した。

 日銀出身の高橋亘・大阪経済大教授は「対米貿易摩擦の際の日本と足元の中国とを比較すると、最も大きく異なるのは中国がアジアのサプライチェーンの一翼を担っていることだ。米中の貿易摩擦は中国のみならずアジア全体の問題でもある」との見解を示した。

 日中金融円卓会合に出席したNRI北京の神宮健・金融イノベーション研究部長は「米中貿易摩擦についてすぐ解決すると思っている人はおらず、なかなか解決するのが難しいという反応だった」と述べた。

 http://www.sankei.com/premium/news/180816/prm1808160004-n1.html
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