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2018年07月26日23:05

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野田総務相を襲うスキャンダルの意外な波紋 なぜ金融庁は事前に「ご注進」したのか

 下記は、2018.7.26 付の 東洋経済オンライン に寄稿した、安積 明子 氏の記事です。

                       記

 野田聖子総務相は、このようなスキャンダルを乗り越えて、次期自民党総裁選に出馬できるのだろうか。

 野田事務所の秘書が、無登録での仮想通貨交換業の違法性を金融庁から指摘され、調査を受けていた企画会社の関係者を同席させ、金融庁から調査内容についてのレク(説明)を受けていたことを朝日新聞が7月19日に報じた件が原因だ。

 企画会社に関与する芸能人と野田総務相が親しいことから、今年1月にこの奇妙なレクが行われた。この会合について、野田総務相は「(調査を止めよ、という)圧力ではない」と記者団に語った。しかし、永田町でそれを信じる者はほとんどいない。

 「省庁の見解について聞くだけなら、秘書が省庁に問い合わせてその結果を業者に伝えるのが普通のやり方。業者をレクの場に同席させるというのは、事務所との“特別の関係”を憶測されても仕方ない」(自民党秘書)

「朝日新聞が情報開示請求している」

 問題はこれにとどまらない。この面接記録について朝日新聞の記者が5月2日に金融庁に情報開示を請求したが、5月31日の開示決定通知の前に金融庁が野田総務相側に通知していたことが発覚した。野田総務相が近しい記者と5月下旬に懇談した時、「朝日新聞が情報開示請求している」と漏らしていたのだ。

 金融庁の情報公開担当者が書面でもって総務省大臣官房総務課の日程担当者に手渡したのは、情報開示請求した朝日新聞記者に決定通知が知らされる以前の5月23日。担当課長が判断し、国会担当審議官にも相談したうえで決定したという。

 「閣僚に対する情報開示請求なので、情報共有したほうがいいと思った」

 7月25日に開かれた立憲民主党の公文書管理法ワーキングチーム第6回会合で、金融庁総合政策局の担当官は臆することもなくこう述べている。その言葉からは、「われわれは閣僚の味方だ」という発想がにじみ出る。森友学園問題や加計学園問題で一躍注目されることになった“忖度”という文字が浮かんでくる。

 もっとも情報開示請求がある場合、「請求者の個人情報にマスキングをかけて対象者に知らせることは珍しくない」と金融庁は述べている。朝日新聞記者が野田事務所のレクについて情報公開請求したケースも、記者の個人名は個人情報ゆえに伏せられたという。

 だが野田総務相には「朝日新聞が情報公開請求をしている」と知らされている。情報開示請求の際に記者が差し出した名刺でもって、金融庁は「朝日新聞記者」という事実を把握していたのだ。法人名は保護される個人情報には入らないので、「朝日新聞」からの請求であることを漏らしても問題はないというスタンスだ。

野田総務相は「第三者」に該当

 「一般論として事実行為を第三者に伝えるのは、法に違反するものではない」。総務省行政管理局情報公開・個人情報保護推進室の担当官は、次のような論拠で正当性を主張した。

 行政機関の保有する情報の公開に関する法律(以下、情報公開法)の第13条には、「開示請求に係る行政文書に国、独立行政法人等、地方公共団体、地方独立行政法人及び開示請求者以外の第三者に関する情報が記載されているときは、行政機関の長は、開示決定等をするに当たって、当該情報に係る第三者に対し、開示請求に係る行政文書の表示その他政令で定める事項を通知して、意見書を提出する機会を与えなければならない」と記載されている。野田総務相はこの「第三者」に該当するというわけだ。

 こうした言い分は一見して緻密に見える。しかし、実は非常に杜撰(ずさん)なものだ。法に基づいて右から左へと単純に動かしているのならともかく、国民の知る権利を前提とする情報公開法の精神を顧みようというかけらも感じ取れないからだ。

 なぜ、金融庁は情報開示決定通知を出す8日も前に、野田総務相側に情報開示請求が行われていることを知らせたのか。その間に不都合な事項を消すなんらかの工作が行われる危険もある。というのも、レクの間に金融庁がとった記録は公文書ではなく、保存義務はないものだからだ。

 次になぜ金融庁は野田総務相側に「朝日新聞」と知らせたのか。「朝日新聞」は法人で個人情報保護法の対象にはならないかもしれないが、これにより「朝日新聞の記者が情報開示している」という情報が伝わり、相手方を警戒させる結果となる。

 立憲民主党の会合では、「法の不備かもしれない」と法改正の必要を示唆する意見や、「(開示請求者に対する)妨害工作が生じかねない」と危惧する意見も出た。

法人名は申請書には記載されていなかった

 さらに「朝日新聞」という法人名は情報開示の申請書に記載されていたわけではない。あくまで、記者が名刺を出したにすぎないのに、その情報までなぜわざわざ金融庁は野田総務相側に知らせたのかという点だ。

 野田事務所が1月30日の金融庁のレクに同席させていたのは、無登録で仮想通貨交換業を行った企画会社で、金融庁は2月19日にその企画会社を行政指導している。金融庁はこの問題の内容を詳細に知るだけに、大手新聞社の名前を見て危機感を抱いたのではないだろうか。とすれば、金融庁の今回の行為は取材妨害となりかねない。

 そもそも金融庁が情報公開法第13条の「第三者」を「野田事務所(秘書)」ではなく「野田聖子総務相」としたのはなぜか。金融庁は1月30日のレクが秘書の業務のひとつというよりも、野田総務相の意向の下にあったことを強く感じ取ったのではなかったか。

 「情報公開法の趣旨に照らし、好ましくない行為だった。情報公開制度の信頼低下につながるおそれがあると思っている」

 説明のために立憲民主党の会合に出席した金融庁総合政策局の担当官は、会合の冒頭でこう述べた。もともと金融庁は「国民のため、国益のため」をモットーとし、コンプライアンスやルールに厳しい省庁だ。今回の問題はそのような金融庁が陥った穴といえるが、この問題はさらに根深いものをはらんでいるのかもしれない。

 https://www.msn.com/ja-jp/news/national/%e9%87%8e%e7%94%b0%e7%b7%8f%e5%8b%99%e7%9b%b8%e3%82%92%e8%a5%b2%e3%81%86%e3%82%b9%e3%82%ad%e3%83%a3%e3%83%b3%e3%83%80%e3%83%ab%e3%81%ae%e6%84%8f%e5%a4%96%e3%81%aa%e6%b3%a2%e7%b4%8b-%e3%81%aa%e3%81%9c%e9%87%91%e8%9e%8d%e5%ba%81%e3%81%af%e4%ba%8b%e5%89%8d%e3%81%ab%ef%bd%a2%e3%81%94%e6%b3%a8%e9%80%b2%ef%bd%a3%e3%81%97%e3%81%9f%e3%81%ae%e3%81%8b/ar-BBL47kw#page=2
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