【時評】復旧から復興。もとに戻ろうとしてはいけない

大災害で自宅や店舗、工場が被害を受けた。
誰もがもとの生活に戻ろうとするだろうが、充分に考えるべきだ。
再建をあきらめ、町や村から離れる人もいるだろう。
亡くなられた方も多い。
もう、もとには戻れない。昔の町や村は戻ってこない。

だから町や村の再建は、もとに戻ろうとしてはいけない。

被害を受けた建物の修理や再建が終わり、街並みが整うまで、5年や10年はかかる。
神戸は大都市だったから、20年以上が過ぎても、まだビルの建設がつづいている。
自分や家族はそのとき何歳になっているのか、計算してみればいい。
いま10歳の子供は、10年後には20歳。大学生か社会人。
親の仕事を手伝っているかもしれないし、都会の大学に入学しているかもしれない。
時代もかわり、流行もかわり、世界経済もかわっている。

もとに戻ろうとしたら…、
10年後、復興がおわったときには、時代遅れの街になっている。
人口も減り、構成もかわっている。
昔の町や村を想像して再建すると、復興に失敗する。
失敗しないためには、10年後を予測し、未来の日本に復帰するつもりで再建するのだ。
10年後、町の人口はどの程度になり、構成はどうなっているのか。
10年後の町に必要な施設はなんなのか。
そのぐらいは予測してから、復興計画を練るべきだ。
神戸市長田の復興の失敗と、灘・六甲道の成功が教訓になるだろう。

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