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2018年07月04日10:08

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『ファントム・スレッド』感想

〜1950年代のロンドン。唯一無二のデザインと職人技術で英国の高級婦人ファッション界の中心に君臨する仕立て屋のレイノルズは、ウェイトレスのアルマと惹かれ合い、彼女を新たなミューズに迎える。レイノルズにとってミューズは創作に不可欠なインスピレーションと一時の癒しをもたらす存在、それ以上でもそれ以下でもないはずだった。しかし若く情熱的なアルマは、恐るべき愛の力でレイノルズの心に入り込み、彼が長年かけて築き上げた孤高の領域をかき乱していく〜
<公式HPより>

日本ポスター
フォト


英語版ポスター
               フォト

一言で表すなら・・・
「心を乱されたくない仕立て屋が、心をかき乱されてしまう作品」

観賞後すぐに思ったのが「ダニエル・デイ=ルイスの引退作が・・・まさか’こういう’作品だとは!」
凄まじいテンションが必要だったり、まるで役の本人そのものと思われる役より・・・なんだろう、このレイノルズは、見た目からもちろん素敵な男性なんだけど、不思議な可笑しみに溢れている。
仕事には徹底した完璧さを求める(仕事に夢中になっている間は、相手にどう思われようが、まるでお構いなし)反面、どうにも、ちまちました日常のこだわりがあって、その両方が合わり、なんともユニークかつ面倒くさい人物(笑) 
こういう役を最後に選ぶっていうのが、なんともダニエルらしいのかも?

公式HPので、町山智浩さんの解説にもあったけど、まさに、彼の引退への決断っていうのが、この作品のレイノルズの終盤の姿と重なる感じで、それも興味深く。。。

冒頭からエンディングまで、様々なダニエルが堪能できます。
ダンディでチャーミング。ジェントルマンだけど、どこか子供っぽい素振りもあって・・・表情や、しぐさ、その全てが魅力的。

そうそう、'コインや髪を服の中に縫い込む'のくだりで思い出したんですが。。。
イギリスから持ってきたウチのカーテンにも、下部にしっかりとコインが縫い込まれていたんです。重しのため?コインじゃなくてもいいんじゃないの?とは思ったものの・・・やはり伝統なんですかね?

レイノルズはアルマの’完璧な体’を愛した。
今までのモデルと同じように、いつか、その魅力が無くなれば、消える存在のはずだった。
だが、アルマは違った。レイノルズを心から愛し、自分だけのものにしたいと思った。
アルマは弱った時のレイノルズが好きだった。いつもはアルマに対して支配的なレイノルズが、弱った時には、優しく、穏やかで、扱いやすく、甘えてきたりもして、愛おしい存在となるのである。

レイノルズの母親への想い、他の女性への嫉妬、レイノルズのために計画したサプライズすら台無し。アルマには苦難の日々。
それでも、なんとか克服してついに結婚までこぎつけたのに・・・何かにつけて上手くいかない2人。レイノルズの心は離れていってしまう。こんなに愛しているのに・・・。

そしてアルマがとった行動!(これは2度目だが、1度目より更にパワフル!?)
「あなたには無力で倒れていてほしい」
レイノルズの反応には・・・ちょっと驚き。でも、妙に納得できたり。
まさに「降参」でしょうか?これも、愛。あれも、愛。

この作品、食事場面がどれも印象的。その中でも一番は、やはり朝食場面。
「朝のスタートは大事。朝につまずくと、その日1日をつまずくことになる」ということで、朝食の静けさ&動きはレイノルズにとって重要。でも、アルマは最初、それに気づかない。
わかってからは気をつけるようになるが、結婚後はまた元に戻って、わちゃわちゃ。
食事風景と車の運転は、レイノルズとアルマの上下関係を表すように作られていて、その変化が興味深い。

ジョニー・グリーンウッド(レディオヘッド)音楽が本当に素晴らしい。
エレガントで流れるようなメロディのピアノ曲は、上質なドレス生地のなめらかな美しさそのもの。

1回目はやや長く感じたけど、2回目はかなり面白く観れた。1回目は単に眠かったのかもあせあせ(飛び散る汗)
思ってた作品とかなり違いましたが、ダニエルの演技とポール・トーマス・アンダーソン監督の世界に魅了されて、満足、満足!
4つ☆
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