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2018年05月26日09:50

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(20)借金を返さない北朝鮮 理不尽なカネの要求は拒否すべし

 下記は、2018.5.26 付の【海峡を越えて 「朝のくに」ものがたり】です。

                        記

 朝鮮半島の動きに関して日本の出遅れを懸念し前のめりになっている向きが気になって仕方がなかった。ここにきて米国側が6月の米朝首脳会談の中止を発表するなど不穏なムードも出てきたが、それまでは経済界でも日朝国交正常化をにらんで小泉純一郎首相(当時)が訪朝し、日朝平壌宣言に調印した平成14年以来の「好機が来た」と期待が膨らんでいたという。

 少し頭を冷やした方がいい。前回も書いたが、北朝鮮が先に過去の悪行を認めてわび、日本人拉致被害者を帰し、核開発を完全にやめ、改革開放経済にも舵(かじ)を切るというならば、南北統一も、日本との国交正常化もどんどん進めればいい。

 ただし、日本に対する「理不尽なカネの要求」には断固として拒否の姿勢を貫くべきだ。日朝平壌宣言には、国交正常化の際に経済的な支援を日本が行うことや、日朝双方の請求権の放棄方針などがうたわれている。昭和40年の日韓国交正常化の例を踏襲したものであろうが、慰安婦問題や徴用工問題をめぐって、いまだに「カネの要求」がやまないではないか。

 その轍(てつ)を踏まないために過去から現在の「事実」をしっかりと踏まえておくべきだろう。まずは現在の北朝鮮への「貸し」についての話から始めたい。

 戦後の日本の商社やメーカー側による、北朝鮮へのプラントや機械類の輸出は、1970年代後半にピークを迎える。だが、北が83年に起こしたラングーン(現ミャンマー・ヤンゴン)の爆破テロ事件で、国際社会から孤立を深めたことを逆手にとって、それ以来北朝鮮はビタ一文、支払いをしなくなった。

 関係者によれば、北の未払い額は、元本だけで約400億円。利子や延滞分を合わせると、計2200億円に上る、と日本側は試算している。日本の関係機関が毎年6月と12月末に、郵送とファクスで「請求書」を北側へ送り続けているが、返済どころか、受け取ったという返事すらなく、ナシの礫(つぶて)だという。

 平成14年の際には、日本の経済支援として、1兆円規模という話もささやかれていた。もしも、国交正常化交渉を行い、政治決着を図るのならば、この「未払い分」相当の減額を考慮するよう日本側ははっきりと主張すべきだろう。

 ■久保田発言の意外な反応

 一方、韓国との国交正常化へ向けた交渉は何度も暗礁に乗り上げて中断を繰り返し、昭和40年に妥結するまで14年間もかかった。日韓双方の請求権問題。いわゆる「李承晩(イ・スンマン)ライン」内での日本漁船の拿捕(だほ)・漁民の抑留。北朝鮮への帰国事業など多くの課題が持ち上がったが、双方の対立は結局「日韓併合」に対する評価の違いに行き着く。

 第3次会談(昭和28年)での「久保田発言」は象徴的な例だろう。互いが相手側にある財産の請求権を主張し合う中で、日本側首席代表の久保田貫一郎(外務省参与)が朝鮮統治における日本の貢献を主張したことに対して、韓国側が「妄言だ」と猛反発、会談は決裂した。

 興味深いのは、当時の日本国内での反応である。“後ろから弾が飛んでくる”ような反発は、さほどなく、むしろ、韓国側への批判が少なくない。当時は終戦からまだ10年たっておらず、日本統治の実相を知る国民が多かった。さらに、韓国が日本の領土・竹島を含めた李ラインを一方的に設定した上、武装した韓国の警備艇が丸腰の日本漁船に銃撃を加えたり、片っ端から拿捕・抑留したりしたことに日本の世論は沸騰していたのである。

 朝日新聞の記事を追ってみよう。10月22日付朝刊社説は「遺憾なる日韓会談の決裂」の見出しで、決裂の経緯に触れた上、《(日本)政府声明にもある通り、韓国側の態度には、「ささ(些々)たる言辞をことさらに曲げ会談全般を一方的に破棄した」ものとみられる節があるのは誠に遺憾である》とし、会談再開で日本人漁民問題の解決を図ることこそが喫緊の課題だと主張している。

 翌23日付朝刊では、「韓国のいい分は無理ではないか−財産請求権の問題」とする国際法の東大法学部助教授・高野雄一の寄稿も掲載。朝鮮内の日本資産について終戦後、米軍政が接収し、韓国に譲渡したという韓国側主張に対し国際法上、無理があるのではないか、と疑義を呈した。同じページで「右翼進出を憂(うれ)う」とした池島信平(文芸春秋編集長)の談話も載せているところが朝日らしいとはいえるが…。

 ■反日沸騰は80年代以降

 日韓会談に携わった関係者によれば、当時の韓国側代表には、日本留学組や京城帝大出身者も多く、一応通訳は同席させていたが、「日本語で話した方が早い。『慰安婦』など理不尽な問題を持ち出す人も少なかった」と振り返る。「反日」が韓国で沸騰するのは“日本発”の歴史教科書問題などが起きた1980年代以降である。

 日韓会談で、日本側がこだわった朝鮮に残した財産の請求権問題は結局、政治的判断で撤回された。だがもし日朝国交正常化交渉を始めるならば、日本統治時代に残した資産の事実は少なくとも念頭に置いておくべきだ。GHQ(連合国軍総司令部)の試算では、日本が朝鮮の北半分に残した総資産額(終戦時)は約8兆8千億円相当に上る。

 これらには、朝鮮北部の奥深い山に分け入り、ダムや発電所、鉱山、工場を築いていった日本人の血と汗が染みついている。それを次週に書く。=敬称略(文化部編集委員 喜多由浩)

                       ◇

【用語解説】久保田発言

 昭和28年10月15日の第3次日韓会談の財産請求権委員会で、韓国側の「日本側が36年間の蓄積を返せというのならば、韓国側としても36年間の被害を償却せよというほかない」という発言に対し、日本側首席代表の久保田貫一郎が「日本としても朝鮮の鉄道や港をつくったり、農地を造成したりしたし、大蔵省は当時、多い年で2000万円も持ち出している」と主張。反発した韓国側が「あなたは日本人が来なければ韓国人は眠っていたという前提で話しているのか」と返すと、久保田は「私見としていうが、日本が行かなかったら中国かロシアが入っていたかもしれない」と発言した。
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 http://www.sankei.com/life/news/180526/lif1805260007-n1.html
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