子供の頃からとても好きな映画シリーズの最新作を見た長文感想を日記につける。
■レビュー。
http://mixi.jp/view_item.pl?reviewer_id=5239087&id=4298717
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■以降は感想、コヴェナントと前作のプロメテウスのネタバレ有りのため、作品見る前にもし開いちゃった人は即スルーで。
■全体のデザイン良し。
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■新たな寄生方法と白いエイリアン「ネオモーフ」。
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現地植物を刺激すると見えない細菌が体の隙間から侵入してくる空気感染ってヤバ過ぎるw
知らない場合、完全受動的ではあるがこっちの方が厄介な仕組みだわ。
ネオモーフが背中破って産まれてくる映像はなかなかインパクトあって良し!
最初からある程度形出来てるしここも現行エイリアンより厄介。
こっからどういう経緯か分からないけど、エイリアンエッグが出てきて、いつも通りの方法で人間から基本エイリアンの原点であるゼノモーフが産まれている。
ネオモーフからエイリアンエッグへの流れはまったく別で新たに作り出したものなのか?
■ついでにエイリアンのより原型と思われるプロメテウスの進化系譜記載。
「ハンマーピード」
フェイスハガーの原型のようなもので、口から体内に侵入し寄生する。
↓
「トリロバイト」(幼体)
ヒトデかタコみたいな生物が人間の体を破って産まれる。
↓
「トリロバイト」(成体)
エイリアンと同じく短い期間で外部からの栄養無しで急成長する。
中心に産卵管が有り、伸ばして口に入れて孕ます。
仕組みといいデザインといいチンコすぐるwww
ほぼ巨大なフェイスハガーみたいなもんだな。
↓
「ディーコン」
エンジニアから産まれたエイリアン。
■人間にとっての他人の価値。
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船を任された臨時船長が、緊急事態の妻の怯えた通信を聞いていてもたってもいられず、船員に止められても任された2000人の命を危険に晒し助けに行っちゃうのリアル。
他人2000人より身内の一人(もしくは数人)の方が天秤は重いという事だな。
大事な事の決定権のある者はそういう感情を優先してしまう人間ではダメなのかもしれない。
■マザーの安全システム。
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破滅的命令を実行する場合は船長ともう一人の許可が必要っていうシステムはセーフティーとしていいな。
船長が脅したりしたら無理になるけども。
■アンドロイドと人間。
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アンドロイドが人間に近づき過ぎたために、後期型はよりシンプルで機械的にわざとしたのはリアル。
やっぱ人間の最大の危険要素である感情や自我というイレギュラーを持たせたら人間の存在を脅かして危険だわ。
それがよく感じられる内容で、冒頭の指示に逆らう素振りを見せたアンドロイドのデヴィッドは後に繋がる重要伏線演出だった。
■ピンチにローブに隠れた人物が助けに来る。
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敵か味方か、謎の追加キャラって感じで面白く感じた。
■主人公以外で女とイチャついてる奴は大抵悲惨な死に方する洋画あるあるw
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■後半のデヴィッド。
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ネオモーフを美しいとか言ってて実験してるわ露骨にアカン奴だと感じたw
なのに言葉を信じてしまったのは、現行アンドロイドと同じと思ってるせいか?
視聴者へは現行のシンプルな思考タイプと旧式の人間に近い自我を持つタイプの中身の違いをしっかり描写し、人間から見ると見た目の違い無いし明かされてないから知らんままなのは上手いトリックだなと。
後半のデヴィッドの思惑は分かりやすく、人間達がどう対処し、いつ気づくのかで先の展開を気にさせて良かった。
絶対入れ替わってると思ってたけど、途中でシャッター操作して悪さするだろと思いきやせず、エイリアン処理し終わってほっとしてるとこであれ?ってなった。
ここでエイリアン失ったら失敗だろうし違うのか?と。
種明かしされると、科学技術とアンドロイド故のこういうやり方もあるんだなと上手く感じた。
これも感染タイプなの唯一知ってるのにチェックろくにしなかった女船長のミスだな。
■後半、女船長の脳筋ぶりが目立つ。
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情報を味方に報告しない、パッと見だけで判断し確認しない、疑わないという思考停止ぶりが最大の失敗原因だな。
戦闘では有能だが頭が使えない典型的な脳筋過ぎるw
本来の船長が死んで臨時だから仕方ないのかもしれないが。
まぁ、この惑星に来るのを唯一否定したのは女船長だから、本来一人だったら直感回避で問題すら起こらなかったんだけどな。
船員も未知の惑星で異常起こってるからまず現地に行った奴らは全員メディカルチェックとかで調べないか?普通。
デヴィッドは思惑通りに進んで人間共愚かでちょろいなって思ったろうなぁw
最後音楽かけてノリノリだしw
アンドロイドに人格持たせてしまう事と、質が高くもない少数に重要な事を任せきってしまう事の問題、恐ろしさが感じられた。
■次回作が楽しみ。
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ほぼバッドエンドだが、その後どうなったのか気になる。
事故で二千人全員死亡報告したのはエイリアンの苗床化予定だからか?
冷凍肺と冷凍フェイスハガーを入れ替えて保管したのは、肺を使おうとしたとき事故にみせかけて人間達に寄生させ、全滅していく所を見るためだろうな。
生存者二人いる報告をしたのは、今回のように新たな犠牲者呼ぶためだろう。
一作目のエイリアンの舞台の惑星とは違うし、繋がりは次回作で見れるかな。
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■【疑問点考察と調べた事】■
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・まずプロメテウスの語源とエンジニアについて。
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ギリシャ神話のタイタン族の名前。
人類を創造したとも言われ、ゼウスに人間の管理を任され、人間に火を教えて神の座を追放された。
これはエンジニア(白い巨人)と設定が被る上に、デザインもタイタン族をイメージしている事からもモチーフなのは明らかだろう。
エンジニアと呼ばれるだけあって、人間もエイリアンの原点もアンプル(黒い毒液)もエンジニアが作り出した。
エイリアンが生物兵器として非常に優秀なのは、人間を滅ぼすために作ったからだと思われる。
遺伝子ばら撒くために体溶かす液体作って人間も作った。
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反逆してきてフザケンナ殺そう。
↓
人間殺す事に特化した兵器エイリアン作ったった!
↓
やべぇ管理失敗して俺らが餌食!
エンジニアが寄生されて死んでたのこのパターンっていうw
こうやって書いて改めて見ると頭いいのに間抜けというw
自ら生み出したものから手痛い被害を受けるエンジニアは、科学が発達し続けた人間の未来の一つに見える。
科学技術は継承され発達し続けても、人間の寿命は余り変わらず考え方の内面は進化しないまま。
両方が一緒に進化していかないと技術を持て余し自らを滅ぼす事になるって事を感じる。
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・「デヴィッドの過去回想で、この惑星の人間に似た者達に撒いてた黒い霧みたいなものの描写」
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この惑星の先住民のエンジニア(プロメテウスの巨人)達と見て間違い無いだろう。
今作だけ見てると分からないとこだな。
デヴィッドはおそらく独断でアンプルを撒いて皆殺しにした。
連れて行かれた場所で人型の黒い像がたくさんあったのは、これの死体の残骸だろう。
それがいつの時系列かは分からないが、より昔だとすればプロメテウスでエンジニアが人間を滅ぼす目的あったのはこれの恨みとか?
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・「地球に近い環境で麦はあるのに生物がいない理由」
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同じ理由で、アンプルで他生物も死滅した。
生き残った動物は全てデヴィッドのエイリアン実験やネオモーフの餌食になった。
研究に行き詰まったと言っている理由も、ネオモーフしかいない理由も、実験に使える生物がもういなくなったって事と合致する。
麦が生えてるのは虫による受粉を必要としない植物だからか、人間を誘うための疑似餌として設置したか。
新たな実験動物が必要だから人間を呼び寄せ、植物兵器設置してトラップ完了ってとこだろう。
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・「人間に使われる存在じゃないという主張、人間に近いのに創造する事は出来ない苛立ちを語るデヴィッド」
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人間に従わされる存在じゃないと思うのは最もだろう。
その証明のために人間に劣る部分である、創造への執着と願望を、新たなエイリアンを進化させ誕生させる事で代替したのでは。
人間を超え新たな生命を創造する事で自分が神だと言わんばかりな事は、主張と最後の舞い上がりっぷりから感じられる。
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・「プロメテウス生存者の片方、前作女主人公ショウ博士の腹がくり抜かれて安置されてるのが一瞬映る」
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女船長が辿り着いた結論通り、事故では無く殺人だな。
デヴィッドは自分がショウ博士を愛しているという結論に達したのは事実だろうし、故に死体を保存しているのだろう。
同じアンドロイドに対しては思惑も含めた本心を話し、一人残された後別れの歌まで作り奏でている。
愛したのに何故殺したのかという矛盾の答えは、それよりも自分が人間を超える神となる事が重要だったからだろう。
人間でいう野心と言えるか。
眠っているように安らかな所から、コールドスリープ中に寄生させ宿った腹部ごと切り取ってネオモーフを誕生させたと思われる。
ネオモーフが美しいという狂酔を感じる感想も、自分が人間を超えて創造した、自分が愛するものから生み出した愛の結晶のようなものだからではなかろうか。
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・「デヴィッドの入れ替わり」
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見た目は一緒なのを使ったアンドロイドらしいトリック。
女船長を助けるために失った左手も壊して再現したと思っていたが、もしかしたらハックして内部を入れ替えた可能性もあるかもな。
もしそうならここも頭の中身を容易にやり取り出来てしまう事の危険性だな。
船AIのマザーが上船員では無いデヴィッドを検知しなかったのは同じアンドロイドだからか?
もしくは上記のように仲間アンドロイドの体そのものだからか。
ロックの登録名称はしっかりデヴィッドになっている事から操作し書き換えたと思われるから、それが出来るのは上記二つのどちらかだろう。
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・「デヴィッドが最後に流した曲、ワーグナーのヴァルハラ城への神々の入城」
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・ヴァルハラ城への神々の入場は、ワーグナーの代表的な楽劇「ニーベルングの指環」4部作の1部目であり序夜となる「ラインの黄金」の内の一作。
地球を支配していた巨人族と神々との物語で、「ニーベルングの指環」は彼らの没落を歌った作品。
デヴィットから見ると、巨人=エンジニア、神々=人間と言え、今回の策略によって全てを出し抜き解放された幕引きに相応しい曲と言える。
プロメテウスからコヴェナントは、デヴィッドによる創造主への反逆の物語なのだろう。
リアルの人間も、いくら技術や科学が発達しようとも、自らを超えるような、脅かすような存在を作ってはならないという事を感じる。
今作も良い作品だった。
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