両首脳とも満面の笑みで手を握り合った。27日、午前9時29分、予定より1分早く、北朝鮮の金正恩朝鮮労働党委員長がついに歩いて軍事境界線を越えた。板門店で出迎えた韓国の文在寅大統領と右手、左手と交互に入れ替えて何度も固く握手。共に手をつないで、境界線の北朝鮮側に渡る予定外の“サプライズ”演出を披露する余裕まで世界に見せつけた。
儀仗隊を伴う歓迎式の後、韓国側施設「平和の家」で首脳会談はスタート。南北分断の歴史に新たな一ページが刻まれた。北朝鮮の最高指導者による訪韓は初めて。
朝鮮戦争後初めて軍事境界線を越え、“敵地”に赴く金正恩について、北朝鮮は党幹部を対象にした教育用資料で、「元帥様が人民のため、命をかけて1人で南側に行かれる」と説明。南北会談を正恩の「神格化」に利用しているが、圧力の拳を振りかざし、融和ムードに取り残された安倍政権は今後どうするつもりなのか。国民が知りたい真相と今後を徹底検証する。
金正恩は単なる「カリアゲデブ」ではなかった。6月にも予定されている史上初の米朝首脳会談を前に「核・ミサイル実験中止」を宣言。昨年、長距離弾道ミサイルを相次いで発射し、米朝間で緊張関係が一気に高まり、「開戦前夜」などと大騒ぎになった当時がウソのようだ。
2月の韓国・平昌冬季五輪参加から始まり、電撃訪中、南北会談など、北が一気に融和ムードにカジを切った背景には何があるのか。
安倍政権は米国を中心とした経済制裁などの「対北包囲網」や「圧力」を要因に挙げているが、全く信用できない。国際ジャーナリストの堀田佳男氏は「核兵器を保有し、米国と対等に交渉できるだけの自信を深めたから」と言う。
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