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2018年04月01日16:36

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闇の王子ディズニー

「闇の王子ディズニー」(上下巻 原題 WALT DISNEY Hollywood's Dark Prince)という本を読んだ。

日本語版は1994年に発行されて、当時ぜひ読みたいと思っているうちに絶版になってなってしまってずっと残念に思っていたのだが、先々月アマゾンで入手することができた。

私の子供のころはウォルト・ディズニーはまだ健在で、幼児期には彼自身が毎回解説者として冒頭に登場する「ディズニーランド」というテレビ番組をよく見ていた(その番組についてもこの本に記述がある)。また、遊園地のディズニーランドは、やはり子供のころ、仕事で渡米した父が本国のディズニーランドを訪れて「子供だましだと思っていたら大人も十分に楽しめる実によくできた遊園地だった」と話してくれたのが強く記憶に残っている。日本にディズニーランドができたのは大人になってから、父の没後だったが、行ってみて父の言葉通りであることを知った。

これも子供のころ、ディズニーの死亡記事を新聞で読んだこともはっきりと覚えている。正確な年は思い出せないでいたが、この本を読んでそれが1967年、私が9歳だったときのことだったのを知った。

この本は書名から想像されるような暴露本ではない。筆者の思想を基にした評価は加えず、ウォルト・ディズニーの才能、業績は正当に評価しつつ、熱烈な反共主義者でFBIの協力者として赤狩りに加担したり自社での労働運動を弾圧したり自分の意にそぐわない社員は容赦なく不当解雇したりといった影の面を、資料や当事者の証言を調査することによって明らかにしている伝記本である。また、彼の幼少時のけして幸福とは言えない体験と自信の出生への疑問から形成された彼のすべての映画作品の根底に流れる精神を的確に分析している。ディズニーの遺族やディズニー社が激怒したという話は聞いたが、訴訟はされていないようなので、この本に書かれていることは事実なのだろう。

テレビで優しく子供たちに語りかけていた「ウォルトおじさん」、そして優れた映画や遊園地で今でも人々に夢を与え続けているディズニー。その裏の顔を知ることができて、たいへん面白い本だった。
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