mixiユーザー(id:5456296)

2018年03月31日18:07

107 view

80年前にドイツが開発 驚愕のエンジン統合制御装置とフォッケウルフ

 下記は、2018.3.31 付の産経ニュース【いまも飛ぶ大戦機】です。

                        記

 第二次大戦期の航空レシプロエンジンは、速度や高度、状況(離着陸・巡航・戦闘など)に対応した燃料流量、点火時期、過給器切り替え、プロペラピッチの調整が、パイロットの必須操作であった。これらの操作を適切に行わないと、定格出力が得られないばかりか、エンジン停止、最悪の場合はエンジン損傷を招くことさえあったのである。ちなみに近代のジェットエンジンは、FADEC(全デジタル電子制御)によって、スロットルレバー1本で統合制御を実現しているが、そうしたデジタルコンピュータがまだ出現するはるか以前、約80年も昔に、スロットルレバーだけでそれらの煩雑な操作を可能とする、革新的な航空レシプロエンジンが実在したのである。


オリジナルのBMW801で飛行可能なフォッケウルフFw190は、現状でフライング・ヘリテイジ&コンバット・アーマー博物館(米ワシントン州)所有機が唯一無二(Photo:Atsushi "Fred" Fujimori)

最先端技術コマンドゲレーテ

 ドイツ空軍フォッケウルフFw190は、欧州諸国では珍しい空冷エンジンの単座戦闘機。搭載するBMW801は、1,700馬力級の空冷星型複列14気筒エンジンである。基礎技術こそアメリカから学んではいるが、燃料噴射システムや環状油冷機構、強制冷却ファンなど、ドイツ独自の技術をふんだんに盛り込んで開発された。

 とりわけ統合制御機構“コマンドゲレーテ”は、先の様々な必須操作を、スロットルレバーだけで可能にした、いわば機械式アナログコンピュータ。当時の列国がついには実用化できなかった最先端技術だった。空戦や緊急発進などの極限状況下において、エンジンの最大効率をスロットルレバー操作だけで確実に引き出せる“コマンドゲレーテ”が、どれほど有用な機構であったかは、戦闘機パイロットでなくても容易に想像できるだろう。


統合制御機構“コマンドゲレーテ”の外観。油圧系=茶色、空気圧系=青色、燃料系=黄色と配管を色分けして、誤接続を起こさせない配慮まで行き届いている(Photo:Atsushi "Fred" Fujimori)

 しかもBMW801系列エンジンは、総計6万基以上も量産され、フォッケウルフFw190だけでなくユンカースJu88、ドルニエDo217などの爆撃機にも搭載された。精巧かつ複雑なコマンドゲレーテを装備しながら、オイルさえ凍り付く冬期ロシア戦線から、砂塵渦巻く灼熱のアフリカ戦線まで、正常に稼働して戦力に貢献したBMW801。その実績は、まさしく卓越したドイツ工業技術の賜物である。BMWを筆頭とするドイツ工業製品が、今もなお全世界でリスペクトされている理由は、単なる高級ブランドイメージだけでなく、優れた工業技術が連綿と受け継がれているからに他ならないのだ。


二分割構造で大きく開くエンジンカウリングは、極めて整備性に優れるのみならず、整備兵の踏み台にもなる考え抜かれた構造。ドイツ的合理主義の一端である(Photo:Atsushi "Fred" Fujimori)

 【プロフィル】藤森篤(ふじもり・あつし)

 日本大学理工学部航空宇宙工学専修コースで、零戦設計主務者・堀越二郎博士らに学ぶ。30余年間、飛行可能な第二次大戦機の取材・撮影をライフワークとする。著書は「零戦五二型・レストアの真実と全記録」「現存レシプロ戦闘機10傑」(エイ出版社)など。

 http://www.sankei.com/premium/news/180331/prm1803310020-n1.html
0 0

コメント

mixiユーザー

ログインしてコメントを確認・投稿する