小池都知事が忍び足でスピード成立を目指す「デモ封じ条例」。都迷惑防止条例を改め、つきまといや名誉毀損の要件を大幅緩和し、捜査当局の腹ひとつで、デモや取材活動をも取り締まりかねない。
そんな危険な重要条例案を、たった1回の審議で強行採決の意向だから、ムチャクチャだが、その審議が19日、都議会の「警察・消防委員会」で行われた。
傍聴には定員の倍の40人が詰めかけた。デモ封じ条例について、当初は共産のみの質疑予定が、注目の高まりで全会派が質疑。ただ、審議はわずか1時間余りで、内容もお寒いもの。
条例案に賛成とみられる自民・吉原修、公明・橘正剛両都議は、「市民運動の取り締まりにつながらないか」とアリバイ的に懸念を示したが、警視庁の市村諭生活安全部長が「乱用防止の項目がある」「正当な理由があれば対象外」と答弁すると、アッサリ納得。都民ファーストの会(都F)の石毛しげる都議に至っては、「改正の必要性」を質問しただけで持ち時間を1分残して終了。周りの都議から「早いな」とからかわれる始末だ。
結局、反対の立場を明確にしたのは共産だけ。大山とも子都議が、条例を改めるべき実態、つまり「立法事実」をただすと、市村部長は「把握していない」の繰り返し。
例えば、条例案のつきまといには、ストーカー規制の「恋愛感情が伴う」という制限はなく、「ねたみや恨みなど悪意」でアウト。「安倍ヤメロ」の掛け声も悪意とみなされれば、デモが「つきまとい」と解釈される恐れもある。市村部長は昨年の恋愛以外のつきまとい相談件数は「17件」と答えたものの、大山都議に「悪意が認められる」や「重大事件に発展した」件数を聞かれると、「統計がない」と言ってのけた。条例を改める切羽詰まった実態は、ひとかけらも示せなかった。
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