仮面ライダービルド　第21話

第21話「ハザードは止まらない」

長年ライダーシリーズは殆ど見続けたが、
今回はシリーズ中最も物議が出そうな問題作かもしれない。
これ、子供向けにしては半端な無くハードすぎる。

演出にキャストの演技がもう欝過ぎて、
いつもと違う。

今回に関したらどうだろう？
賛否両方あってもおかしくない。
私は正直、

「よくぞここまでやってくれるとは！」

と思う反面、

「仮面ライダーでこんな姿は見たくなかった…」


主人公ライダーが強化する為に暴走しそうになる。
これは何度もあったけど、
本当に暴走して相手を殺してしまったら…

今回は本当にその一線を超えてしまう。

そういえば最近ではアマゾンズ第2シーズンで、千翼が暴走して大量虐殺してしまう展開があった。
これは本来のアマゾンである本性を表して、意図せずに殺してしまった千翼も生まれるべきでなかった悲しい存在感があったし、そこまでに追い込んだ人間たちの自業自得な所もあったから、
こうなっても仕方ないと思った方。

そして今回。
ビルドハザードフォームに変身した戦兔が、
スタッグハードスマッシュに変身した青羽を、
殺してしまった事に関したらどうだろうか？

今回は、戦兔役の犬飼さんの迫真の演技といい、非常に冷たい雰囲気の演出が、
「人を殺してしまった」感を煽っているが、
本来は別にあってもおかしくない展開である。
青羽自身、次倒されると死ぬ覚悟で再改造された身である。
ライダーの怪人は、元人間が多い。
それなら、最初の本郷猛がライダーとして、ショッカー怪人を倒す（殺す）が彼らも元人間である。
戦兔で例えると、本郷が元親友であったサソリ男を倒した事で悩み続ける事になる。
これは555が倒す元人間のオルフェノクもそうである。

ビルドに関したら、初回でちょっとどうか？と思った、
スマッシュを倒したら人間に戻る。
改造人間設定なのに人間に戻れるとは（但し、第2話の龍我の恋人の例外もあった）
その設定の裏返しが今回来たと言った方がいいと思う。

かなりショッキングな内容で描いてるが、
あそこで戦兎がハザードにならなければ、龍我もそうだし東都市民の犠牲が増えるばかり。
現に青羽も含め、4人は直接的な描写は無くても東都の人間兵士を多数殺している。


ライダーシリーズのタブーは何だろう？
と改めて考えたけど、
敵が、元から人外な者、人間で無くなった者は倒してもいいが、
人間に戻れるものは駄目なのか？
そういえば、ライダーバトルな龍騎の主人公・城戸はモンスターや人間ではないライダーリュウガは倒すけど、どんなに悪でも浅倉のような人間を手に掛ける事は頑なに拒否してた。
別に敵が人間だろうと、本当に悪なら倒してもいいと思う方。
これが一般のアクション映画なら違和感無いのだけど、
ヒーロー物だと変わって来る。

マスターが言った、
青羽も戦兎もネビュラガスを浴びた時点でもう人間ではない。
これが皮肉にも正論であり答えだろう。
でも、今回の描き方が、
「怪人を倒した」
でなく、
「人を殺してしまった」
感で描いてるのが問題だろう。

この事に関する救いというか答えなのは、
一海が戦兎に言い放った、

「お前は何にも悪くねえ。敵も味方も死なせねえなんて、ただのザル事だ」

だろう。
このセリフに集約されてると思う。



私的には、ここまでOKな方。
問題なのはこの後である。


戦兔がマスターことスタークに励まされ特訓を受ける。


これが本来マスターが悪役でなく「おやっさん」だったら、
本当に熱い展開になっただろう。
しかしマスターは、この作品の諸悪の根源のような存在。
これはどうなんだろう？
青羽殺しより、マスター実はいい人？の方に違和感を感じた。

そういえば主題歌流れるOP映像で、いまだに戦兎らと笑顔でピョンと飛ぶ姿がまだあるのはいかがなものか？
これで、実はマスターは味方になって良い人になって、
「実は来るであろう強大な敵の襲来に備えて最強の戦士を育てていた」
と火星にいる別の地球外生命体の敵と戦う為とかの展開だったら、
流石にドン引きする。
マスターのここまで行った悪行を思い出して欲しい。
ライダーシリーズでも1,2を争う外道ぶりなんだが。
それは無いだろうと思いきや、ありそうに感じるのも怖い。
あの第14話の戦兎のセリフ
「「たった今、俺の中で石動惣一は死んだ」
は何だったんだ？になってしまう。

そうなると、このビルドと言う作品、
今後、このマスター石動惣一の真の目的によったら、
大傑作にも失敗作にも、どちらかに転んでもおかしくないように思う。

前の感想で度々書いた、
「敵を倒すカタルシスがない」
本当にこの作品はそんな内容かもしれない。
でも前回のナイトローグ戦ではもっとこんな敵と戦って欲しい
と素直に思った。

以前にマイミクさんのコメントで、
「ライダーでこういう人同士の明確な戦争はあまり見たくなかったな…」
があったけど、今回がまさにそう痛感させられた。

このビルド、まだ21話で半分も行ってないが、
行き着く先はどうなるのだろう？
こんなハード過ぎるライダー作品も第二期以降無かったので、
これがどう転ぶか？と期待ともしかの不安もありつつ最後まで見届けよう。

これはもう子供向けではないような気がする。


最後にビルドハザードフォームは凄くカッコイイ！
黒いライダーは過去に何人もいたが、
こんなにシンプルで真っ黒なライダーも、ダークな雰囲気があってデザインは大好きです。