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2018年01月25日16:21

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虚像の経済大国「中国」…地方政府が「GDP水増し」を自白し始めた理由

 下記は、2018.1.25 付の【石平のChinaWatch】です。

                       記

 中国政府発表の国内総生産(GDP)などの統計に、かなりの水増しがあるのではないか、という疑念が以前から根強くある。それを裏付けるかのように最近、一部の地方政府が発表した自分たちのGDPや財政収入などの数字に、水増しが確かにあることを「自白」し始めた。

 先陣を切ったのは東北地方の遼寧省だ。昨年1月に開かれた同省の人民代表会議で省長の陳求発氏は、2011年から14年にかけ、同省複数の地域で税収を実際よりも多く見せかけ、統計数字の水増しを行ったことを認めた。

 中華人民共和国の成立(1949年)以来、地方政府が自らが行った水増しを認めたのは初めてのことである。さらに今年1月、統計数字の水増しや捏造(ねつぞう)を自白する地方政府がまたもや現れた。

 まずは今月3日、内モンゴル自治区の「経済工作会議」において自治区党委は、以前に公表した2016年の自治区財政収入の530億元(約9200億円)のうち、全体の約26%に相当する140億元程度がまったくの水増しであり、最初からありもしない架空の「収入」であったことを認めた。

 党委はさらに、既に公表済みの同年の「大規模工業増加値(付加価値増加値)」の約40%に当たる2900億元が実は水増しであることを認めて、この2900億元の「存在しない増加値」を正式に取り消すと発表した。

 続いて今月11日、直轄市である天津市浜海新区の政府は次のような発表を行った。以前に公表した浜海新区の2016年のGDP総額(1兆2億元)のうちの3348億元(約5兆8千億円)がまったくの水増しであって、統計からそれを除外するとした。

 「約5兆8千億円」といえば、経済大国日本のGDPの1%以上に相当する巨額なものである。浜海新区政府の自白の一つで、それが「そもそも存在しなかったもの」として、統計上からいとも簡単に消えてしまった。

 以上、今年に入ってから、地方政府が統計数字の水増しを認めた2つの事例である。そこからうかがえるのは、まず、中国国内における統計数字「水増し問題」の驚くべきほどの深刻さだ。

 たとえば内モンゴル自治区が行った大規模工業増加値の水増し総額と、天津市浜海新区が行ったGDPの水増し総額を合わせると、10兆円を優に超えてしまう。もし、中国全国33の省・自治区・直轄市が同じ規模の水増しをやっていたら、その総額は一体どれほどになるのか。

 中国が公表した2016年のGDP総額は74兆4127億元(約1290兆3千億円)である。上述の2つの地域のような水増しが仮に全国範囲内で行われていたのであれば、中国のGDPの一体何割が「ただの嘘」となってしまうのだろうか。

 こうしてみると、「世界第2の経済大国」という中国の位置づけは虚像の部分がかなり大きいことがよく分かる。問題は、「中国の虚像」を暴露してしまう「水増し自白」を、各地方政府はどうして今になって始めたのかであるが、その理由もいたって簡単だ。

 中国の省・自治区・直轄市の大半は、中央政府からの財政補助で何とか地方財政を賄ってきているが、ここ数年、自らの財政収入が伸び悩む中央政府は、各地方政府に対し、地方の経済成長の水準や財政収入の伸びに応じて自力で財政を賄うことを求め始めた。

 そうなると、一部の地方政府は今までに発表したGDPや財政収入の水増しを認めざるをえない。認めた上で中央政府に財政補助の継続を懇願するのが彼らの唯一の生き延びる道だからだ。

 今後、水増しを認める地方政府が、どれほど出てくるのだろうか。
 
                       ◇

【プロフィル】せき・へい

 1962年、中国四川省生まれ。北京大学哲学部卒。88年来日し、神戸大学大学院文化学研究科博士課程修了。民間研究機関を経て、評論活動に入る。『謀略家たちの中国』など著書多数。平成19年、日本国籍を取得。

 http://www.sankei.com/column/news/180125/clm1801250006-n1.html
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