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2017年11月25日15:14

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「新日本論」−私たちが知らない「韓国から見た日本」 韓国版『GQ』で「最近の日本」特集

 下記は、2017.11.25 付の産経ニュースの記事です。

                       記

 日々、報じられる嫌韓、嫌日とは果たして真実の姿なのか。長い歴史のなかで友好と敵対を繰り返した日韓関係にどう向き合うのか? そんな課題が切迫している現在、僕たちは韓国人からも学ぶことがあるはずだ、と思った。

 北朝鮮情勢が緊迫の度合いを高めている。ニュースで伝えられるのは、北朝鮮の挑発とドナルド・トランプの言動。いずれも芝居がかっているからだろうか。私たちは、この状況にどこかリアリティを持てないでいる。

 本来、こういった状況において日本がいちばん連携しなければならないのは、ともに”当事者”である韓国のはずだ。だが、日本と韓国の間には、むしろ北朝鮮問題以上にリアルな緊張感がある。韓国は反日国家で、韓国人はみんな日本が嫌い。ネット上ではもはやそれが”常識”であり、その反日感情に対抗するように嫌韓の言葉が並べ立てられている。

 そんなタイミングで韓国版『GQ』8月号に掲載されたのが、20ページにもわたる「最近の日本はこうなっている」という大特集だ。〈日本について触れるのは敏感なこと。だから十分に警戒しながら〉と前置きした上で、旅行、アイドル、音楽、米、グルメ、ロボット、自動車の7ジャンルについて日本の近況、さらには韓国との比較について詳細なレポートを掲載している。抜粋にはなるが、7名の筆者が日本をどのように見ているのか、紹介しよう。

 日本のホスピタリティは飽和状態?

 まずは、エディターのジャン・ウチョン氏による旅行に関するレポート。氏は東京や京都、大阪などの大都市だけではなく〈川端康成の『雪国』の舞台である越後湯沢〉など、多くの地方都市にも足を運んでいる。

 私は最近、日本ではありえない光景をいくつか目にした。銀座のあるセレクトショップで、「うちの店は試着できない」という店員と客が言い争いをしていたのだ。また青山にある他の店では、店員が客を追い出すような扱いをしていた。そのあとに招待客のみのイベントがあるのだという。このような客への対応も日本らしくないと感じた。

 もしかすると、日本のホスピタリティは、ひとつの飽和状態に達してしまったのではないだろうか。10なら対応できることも100を超えると破綻してしまう。日本を旅行する最大の魅力は、「いらっしゃいませ」という言葉に代表される丁寧で物腰の柔らかいサービスだ。いままでそれは、どんな職業にもどんな街にも息づいていた。東京オリンピックに向けて、日本にはさらに多くの観光客が訪れるだろう。それはチャンスでもありピンチでもある。日本らしいホスピタリティを失わないで2020年の夏を迎えてほしい。

 ポスト宮嵜駿の最有力候補

 カルチャーのレポートは、SMAPの解散に触れたアイドル論や山下達郎の音楽性に迫ったシティポップ論などが並ぶ。なかでも日本人以上に詳しいと思われるのが、新海誠や庵野秀明の近況を伝えるファン・イウン氏の「宮嵜駿以降のジャパンアニメーション」だ。業界では神と呼ばれる宮嵜駿は1970年代から40年近くトップを守り続けた人物である。日本アニメを世界に発信した功績は言うまでもない。ポスト宮嵜としてまず名前が挙がるのは『君の名は。』を大ヒットさせた新海誠だろう。彼の強みはストーリーに溶けこんだ豊かな感性だろう。彼の感性は、2000年代以降のハリウッド3DCGアニメに慣れてしまった観客の目を再び日本アニメに向けさせることに成功した。次回作に期待する声は高いが、現実は厳しいようだ。質の高い制作チームを維持するのは難しい。彼は次回作のためにまず新しい制作チームを作らなければならないのだ。

 『時をかける少女』で知られる細田守は、新海が登場するまではポスト宮嵜の一番手だった。『サマーウォーズ』『おおかみこどもの雨と雪』『バケモノの子』などは、人気は高かったものの作家性に欠けていた。細田は自分だけの独創的なビジュアルを作ることができなかった。実写映画のようなストーリーを進める能力には長けているが、そのストーリーにあう最適な絵を見せられなかった。

 庵野秀明は誕生20周年を超える『新世紀エヴァンゲリオン』以降、日本アニメ界においてゆるぎない地位を築いてきた。しかし彼はアニメよりも実写映画に力を入れているようだ。総監督を務めた『シン・ゴジラ』は大ヒットを記録し、続編の制作も決まっている。『エヴァンゲリオン』の劇場版の制作は進んでいるらしいが、庵野の立場は監督というよりもはやプロデューサーに近い。

 だが、ここに来て思いがけない人物が”ポスト宮嵜”に名乗りを上げた。誰あろう宮嵜本人が2013年の引退宣言を撤回し、長編制作復帰をアナウンスしたのだ。彼の”空席”は結局彼にしか埋められないのだろうか? 活力を取り戻した日本アニメ界で、もうすぐ新しい王が現れると私は信じている。

 日本車のデザインの行方

 産業論で興味深いのは、自動車コラムニスト、ゴ・ジョンシク氏の「日本車の弁論」。特に賛否両論が多いレクサスのデザインについての言及は鋭い。

 日本車のデザインはどこに向かっているのだろうか。過剰なラインを目立つ素材で作り、派手に見せる。2010年頃から、まるでガンダムのようなロボットキャラに似たクルマが続々と登場するようになった。こういったデザインで最も話題になるのがレクサスだ。日本より海外で注目されるブランドにおいて、このような過剰なデザインを採用したことは、多くの人を困惑させた。すべてを飲み込みそうな大きなスピンドルグリル、ヘッドランプやブレーキランプも破壊的なデザインだった。破壊的なことが悪いわけではない。だが、この破壊はカッコよくなかった。それはトヨタ帝国崩壊の前兆のようにも思えた。

 だが、昨年モーターショーでデビューしたレクサスLCを見たとき、鳥肌が立つほど驚いた。スピンドルグリルがカッコよく見えたのだ。滑らかなラインと絶妙のバランス。ヘッドランプとの相性も抜群だ。もしかしたらこれまでの怪異なデザインは、ここに辿りつくのに必要な回り道だったのかもしれない。私たちがそれを理解し、デザインが成熟するのに時間がかかっただけなのかもしれないと思えた。なぜならば日本車は、進化することをやめたことがないからだ。

 韓国について知っていること

 日本語訳にして2万字以上にわたるすべてのレポートを読んだが、そこには反日の欠片もなかった。彼らは日本を理解し、冷静にかつ愛情をもって私たちの国を評していた。日本人は、韓国の街を、音楽を、食事情を、韓国の自動車を、これほどの情熱を持って語れるだろうか。感情的な罵り合いは、何も生み出さない。聞きかじりの断片的な情報だけで何かを判断するのは、危ういことだ。互いを知り、互いを受け入れる。そのための第一歩として、”食わず嫌い”をやめて、韓国という国と向き合うべきではないだろうか。

 韓国版『GQ』8月号

 元1Dのハリー・スタイルズを表紙に起用した本号では、2PM、SHINee、INFINITEなど、今をときめくK-popスターが多数出演。ファッション、カルチャーのみならず、1つのテーマに基づいた独自視点のコラムページを毎号、20ページ以上掲載するなど、読み物も充実のボリューム。

 http://www.sankei.com/gqjapan/news/171125/gqj1711250001-n1.html
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