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2017年11月10日15:48

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アオハルの話

 三週間ほど前のことだ。

高3の息子を助手席に乗せて、近所のブックオフに向かっていた。しばらく走っていると息子が、「バンプオブチキンの新しい曲かけてもいい?」と聞いてきたのでいいよと答えた。彼のiPhoneからその曲が流れだしたとき、ああ、こりゃ聞いたことがあるな、と思ったので、「これってさ、『アオハルかよ』の曲?」と尋ねると、そうだよと返事が返ってきた。しばらく二人で黙って聞きながら走った。ふと柄にもなく感慨めいたものが湧いてきたので、それがつい口をついて出た。

「坊っちゃんはいま、というか、これからがアオハルなんだもんなあ。俺のアオハルはオカ君が死んで終わったなあ。まあ40近くまでだから、それでもずいぶんと長い方だったと思うけどね」

その日は雲が多い日だった。時々晴れ間があるかな、というような日。そのまましばらく走っていると視界の左側で息子がしきりに右腕で顔を拭っているのが見えた。泣いていた。ぼくに気取られないように、声を殺して。

だからぼくもまったく気づかないふりをして、いつも通りチンポコやらウンチョスやらの話をした。そうしてふたりでゲラゲラ笑った。

DATA:Leica M6 Summicron 50/2 Kodak Tri-X 400 f5.6 1/50
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