伝説となった5大バンドの曲名を、そのままバンド名にしてしまったバンド。これは、マイナーバンドであってもリスナーの目を引くという効果とともに、リスナーにとってはサウンドが想像できるというメリットもある。キング・クリムゾン曲名バンドから10選する。
・ 曲 バンド アルバム
�� Crutches / Discipline [ Unfolded like stairsase 2004 USA ]
アメリカの21世紀バンド・ディシプリンは、ダーク・シンフォ。4人組で、マシュー・パーメンタ―がヴォーカル、キーボード、サックスを担当する。このバンドをトップにしたのは、ヴォーカルの表現力が豊かで、陰鬱ながらも奥行きのあるメロディアスな曲が並んでいるからだ。メロトロンやサックスを背景に徐々に盛り上がりシャウトする様子は、ヴァン・ダー・グラフ・ジェネレイターに匹敵する。静と動に変転する薄暗がりの迷宮。
�� A concrete demand (more) / Indicipline [ A non-obvious ride 1994 Canada ]
こちらはカナダのインディシプリン。メタル・クリムゾンに擬態したダーク・シンフォだ。4人組で、ジャン・フリップ・グーレがヴォーカル、キーボード、ギターのほかに、ヴァイオリンまで弾く才人ぶり。ギターは騒々しいが、ヴォーカルがドライながらきれいなメロディーなので、聴きやすい。途中、ヴァイオリンが入る曲では、鬼気迫る凄腕だ。
�� Vampires blood / Bible Black [ Bible Black 2012 Japan ]
日本で1980年代から活躍しているバイブル・ブラックは、ギタリストのＲＯＺＥさんを中心とするインストルメンタル3人組。アルバムでは、キーボード奏者が加わって、メロトロンを含む多彩な音響を展開している。ギターとキーボードがユニゾンで押しまくる音塊から始まるこの曲は、ギターの泣きが切々として絵画的な幻想を描く。フリップの奏法を完全に身に付けたギターを始め、メンバー全員の演奏技術も最高。
�� Visions / Epitaph [ Epitaph 1971 Germany ]
キング・クリムゾン曲名バンドとしては最初期1971年のエピタフ。ドイツのバンドだが、メンバーは英独混合。エピタフというだけあって、ハイトーンのヴォーカルが叙情的だ。ドラムスやシンバルもそれらしく演奏する。しかしサウンドがなんとなく散漫で薄い。途中に訪れるメロトロンの洪水シーンは至福の心地よさだ。
�� You are / Cirkus [ One 1971 UK ]
イギリスのサーカスも71年。「リザード」が70年だし、この綴りのサーカスというのは特殊なのでクリムゾンを意識したと思われる。サウンドは、メロトロンに加えてオーケストラも使った叙情派シンフォ。当時のクリムゾンのひとつの解釈だったと思う。5人組でヴォーカルはポール・ロブソン。マイナーだが今私が最も望むタイプの極上のシンフォ。
�� Autopotret / Lizard [ W galerit czasu 1997 Poland ]
ポーランドのリザードは、基本的な5人編成のシンフォ・バンド。現地語で歌うミドル・トーンのヴォーカルながら、これがみごとで軽やか・爽やかに歌っていたかと思うと、シャウトしてドラマチックになる。演奏技術も安定。他の曲では、「ピーコック物語のボレロ」を拡大解釈して展開している。
�� The ghost and the teenager / The Watch ( Night Watch ) [ Ghost 2001 Italy ]
イタリアのザ・ワッチは、もとはナイト・ワッチというバンド名だった。ダークなクリムゾン・サウンドを連想するが、そうではなくてピーター・ガブリエル時代のジェネシスにそっくりなのだ。6人編成で、ヴォーカルとフルートのシモーネ・ロゼッティは、顔にペイントまでして、曲も歌い方も擬態している。なぜこのバンド名なのか理解に苦しむ。
�� Dream seeker's mirage / Providence [ And I'll recite on old myth from (伝説を語りて) 1990 Japan ]
日本のプロヴィデンスは、5人組で日本語ヴォーカルを久保田陽子が担当。メロトロンンの瀑布で始まる曲で、中奏でもメロトロンの洪水が刺激的。初期クリムゾンをメロトロン的に解釈したものか。この曲では、途中から男性ヴォーカルが入り、続く男女コーラスを含めてなかなか多彩。シンフォとしての完成度は高い。
�� Rock & young / Happy Family [ Happy Family 1995 Japan ]
こちらも日本のハッピー・ファミリー。4人組のインスト・バンドで、サウンドはアヴァンギャルド。「21世紀のスキゾイドマン」をはじめとするクリムゾンの一方向の発展型だ。弦楽器なしなのにチェンバー・ロックとも言われるのは、ポチャカイテマルコと似た怒涛の暗黒ロックだからだろう。異次元空間からのエネルギーを放射している。
�� Let there be light / 21st Century Schizoid Band [ Live in Japan 2003 UK ]
良いバンド が多いので、ラストになってしまった。本家本元21スト・センチュリー・スキゾイド・バンド。イアン・マクドナルド、マイケル＆ピーター・ジャイルズ、メル・コリンズ、ジャッコ・ジャクスジクと、夢を見ているような奇跡のメンバーだった。この曲はマクドナルドのソロ・アルバムからだが、ジャッコのよく伸びる哀感あるヴォーカルが輝いている。
[次点] 切れた糸 ( The lose ends ) / Starless [ Song of silence 1985 Japan ]
1985年、プログレ受難時代に現われた日本のスターレス。6人編成で男女ヴォーカル。峰松真由美のヴォーカルは、昭和歌謡のようにまったりとしている。クリムゾンと全く似てなくて、なんでこのバンド名を名乗ったのか不明。ギターも歌謡曲のような暗い泣きだ。しかし間奏のツイン・ギターとキーボードはプログレらしくちょっとバトルになっている。
[番外] The bandsman / Circus [ Movin' on 1977 Swisse ]
スイス70年代のサーカスは、ヴォーカル入りのジャズ・ロックながら、爽やかなヴォーカルがシンフォ寄り。ドラムスを始め技巧が卓越していて、青空に突き抜けるようなサウンドだ。管楽器が入ると、リザード期のクリムゾンを思わせる。しかしバンド名の綴りは1字違うので、番外とした。同じスイスのアイランドも1字違い。
（参考）キング・クリムゾンをリスペクトする曲
In the wake of King Fripp / Heldon
Best wishes for Robert Fripp / Believe
Crimson children / 美狂乱
Crimson sunset / Dream Theatre
Petworth house (リザードの変奏曲) / Rainbow Theatre
Crimson / Pangaea
Fallen angel / Pink Crimson
Court of the Crimson King / Arachangel
Court of the Crimson King / Michael Quatro
21st century scidoid man / After Crying
エピタフ／ザ・ピーナッツ
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