mixiユーザー(id:5463065)

2017年09月28日18:04

138 view

「やっちゃあいけないよ」に心惹かれ、しかも懲りない性格

明後日9/30の朗読会で私は宮沢賢治さんの『毒もみの好きな署長さん』を読みます。

このお話しについては、賢治さんの弟の宮沢清六さんが、「実はこの人達のようなのが賢治の好きでたまらなかった人間型であったようだ」というコメントをうろ覚えながらずいぶん昔ラジオかなにかの番組の中で聴いたことがありました。

プハラという名前の国の法律に「火薬を使って鳥をとってはなりません、毒もみをして魚をとってはなりません。」とありました。
毒もみというのは、木の皮と木炭を混ぜたものを水中にもみだすことで、これをやると魚はみな毒を飲んで死んでしまうという漁法です。そこで、この漁法を取り締まることが、この土地の警察の重要な職務になっていたのですが、ある時この町に新任の警察署長がやってきて間もなく、この町の河で毒もみを使って漁をするものがあらわれます。
此の禁を破ったものを取り締まるべき警察のしかも警察署長さんが、あろうことかやっちゃあいけないよと国の法律で定められているにもかかわらず、『毒もみ』が大好きで毒もみの事となると全く夢中になってしまう人だったのです。 
はじめ署長は熱心に犯人を捜しているみたいでしたが、『毒もみ漁の犯人は署長ではないか』という噂が子どもたちの間からはじまって、その噂があまりに広がるので、とうとう困った町長が署長のところに訪ねていって話をすと、署長はあっさりと自分が犯人であることを認めます。

このお話しの結末はこう書かれています。

『・・・さて署長さんは縛られて、裁判にかかり死刑ということに決まりました。
いよいよおおきな曲がった刀で、首を落とされるとき、署長さんは笑って云いました。
「ああ、面白かった。おれはもう、毒もみのことときたら、まったく夢中なんだ。いよいよこんどは、地獄で毒もみをやるかな。」
 みんなはすっかり感服しました。


宮沢賢治さんの童話のなかでも、この作品は滅多に語られることがないちょっと変わったお話です。ばぶさん風にどう読み込めるかお楽しみに。

10 3

コメント

mixiユーザー

ログインしてコメントを確認・投稿する