「わすれ――草、わすれ――草は、いらんかえ―――」と、花売りの売り声が聞こえてきました。
わすれ草とはユリ科の多年草で、葉は細長くて、夏に大きなユリに似た橙赤色の花を一日だけ咲かせます。
「ほう、わすれ草とは珍しい名だ。おい、どんな草か、わすれ草を見せておくれ」
「はい、ただいま」
「何だ、
葉っぱばかりしげって、つまらぬ草じゃないか。これは何か、薬にでもなるのかい」
「はい、わすれ草を干した物をタバコ
にして吸えば、苦労をわすれ、夏には暑さをわすれ、
冬には寒さをわすれ、年を取っても年をわすれます
」
「そいつは不思議な草だな。おもしろい、買おうしよう。して、値段は?」
「はい。え――――、・・・」
花売りは、しばらく考えて言いました。
「・・・いくらか、わすれました・・・」
ちゃんちゃん
( ̄ー ̄)
それをいい事に、タダで「わすれ草」を全部もらった客の甚兵衛
は、一儲けしようと町へくりだしたそうな。
売るたんびに
値段をわすれ、結局わが家への道をわすれ警察
に保護されたそうな
( ̄ー ̄)みなさんも、夏にわすれ草にはくれぐれも注意
なさ―――れモンミ
(15.2.22)
ログインしてコメントを確認・投稿する