むかし、一人の役人が罪人の坊主をごそうするための
旅をしておりました。
途中の宿屋で、この坊主が言いました。
「お役人さま。もうすぐ江戸でございます。お世話になったお礼に、これでもどうぞ」
坊主は自分の
お金で酒
を注文すると、役人にたらふく飲ませて役人を酔いつぶしてしまいました。
そして坊主は役人の頭を毛を丸坊主にしてしまうと、その首になわをかけて逃げてしまったのです。
さて、しばらくすると役人が目を覚ましました。
「ああ、良い気持ちだ。うまい酒
であった」そしてまわりを見ると、坊主がおりません。
「しまった
逃げられたか
」
役人はあわてて外に飛び出そうとして、頭が涼しいことに気づきました。
頭に手をやると、自分が坊主頭で、おまけに首には〇なわまでかけてあります。
「おおっ
坊主はおれであったか」
役人は大声で言ったあと、ふと首を傾げました。
「さて、罪人の坊主はここにいるが、役人のおれは、どこに行ったのだろう?」
ちゃんちゃん
(15.3.1)
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