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2017年07月08日21:02

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【オリジナル小説・昔に書いたもの】遠ぼえの聞える日 続き

私は成り行き上、彼氏が出来てこれからデートなのを友達につげ冷やかされながらもいそいで公園に走る。
「なんだよ走ってきたわりには制服も着替えてないのかよ」
「高校生はそんなにひまじゃないの。これでも急いできたんだから」
「そうみたいだな港付属ってと高校でもきょりあるもんなぁ。歩きか」

「貴方は自転車乗れるの?」
「いや四足歩行にそれ望むなよ」
「なら、聞かないで」

「こっち来いよ」
ぐいっとひっぱられると腰に手が回される。私は真っ赤になり抵抗するが動かない。
獣人の女の武器は速さだ。力では敵わない。
「恥ずかしい…離してよ。せめて手を握るくらいで…」

顔が近づいてくる。身構える私。口付けでもしようものなら引っ掻いてやる。
「自己紹介まだだったな兼蕩児猛(けんとうじたける)お前の男になる奴だ」
そういうと長い舌で耳を舐めあげた。

「ひゃん!なにするのよ馬鹿」
今の悲鳴だけで数人に振り向かれるが腰をだかれてるのである恋人達のただの戯れとしか見てもらえないだろう。

「結構、遊んでるって噂だったが男に免疫ないな。おもしれぇ、おもちゃ。感度も抜群だ。蟻賀田狼刃(ありかたろうは)。いい女だ」
「私はおもちゃじゃない。好きでもないのにつきあわされるんだから遠慮もしてよ」
泣きそうな声で言った。まじまじと猛は私を見て言う。出口近くの芝生に腰を降ろされ聞いてくる。

「じゃあ、お前はどんな男が好きなんだ?好きってなんだ?俺はお前を倒したときの征服感を忘れねぇ。マジ犯したくなった。男が女を求めてなにが悪い。好きってのは子孫残すのに役に立つのか?」

「好きになったひとがいるわけじゃないから、解らない。でも猛のやり方は横暴よ。
心がついていけない。どうしてそんなにオスなの。もう少し人間見習って紳士で居てよ。私は猛のよさがわからない」

「強いってだけじゃ駄目か?」
「オスならメスを組み敷くことなんて簡単でしょう。だからオスどうしで取り合う。だけどそこにはメスの意志は組み込まれてない。どこまでも獣的で人に混じって生きている意味を理解できてない」

「生き残るためだろう」
「それだけなの?獣人とはけもののひとと書くのよ?私達の人の部分はどこにあるの?猛はそれを理解しようとしてない」

猛は顔をぽりぽりとかきながら
「人の部分かぁ、女の意思かぁ、強さだけじゃ駄目なのか?面倒な奴だなぁ」
「普通でしょ。猛こそ女の人と付き合ったことないの?」

「五人付き合ってる。うち三人は孕ましたにもかかわらず降ろされてふられてるな。
産めばいいのに俺の子がそんなに嫌なのかね」
私は頭を抱えた。獣人にはけしてめずらしくないがそこまで経験すれば普通改善してくる。この男学習能力0だ…

「例えばよ。私は高校二年生よ。大学にもいきたい。なら六年間は男の人なんて知らなくていいと思ってる。なのに貴方はもう私を抱くことしか考えてない。しかも避妊する気はないときてる。この次点で意見の相違で別れるに値するわ」

「だけど戒律104、喧嘩に負けし女人男に従うこと。戒律違反はおんなの法だぜ」
「そこでどうして女の子を戒律違反させるまでに追い詰めるわけ?」
「戒律違反させる?追い詰める?」

「だから抱いていい?の一言が言えないか?避妊ができないか、せめて今日は抱いても大丈夫そうな日か聞いてくれるだけで違ってくる。私が六年禁欲しろと言ったらわかったって言えないのかってこと。もっと平たく言えばこれからどこへ行く気だったの?いきなりラブホなんて答えた日には殺す気で向うわよ今度は」

「返り討ちにしちまうよ。昨日で強さは読みきった。六年も禁欲しろはそっちの我侭だろ。他に女作っちまうぜ。連れてこーとしたのはラーメン屋だよ」
「承諾なしに?私がパスタ食べたいと思ってたら?」

「パスタ食べたいのか?」
「そうじゃなくて食事はラーメンでいい?と一言くらい建前でも聞けってんの」
「面倒な女だな」

「言っとくけど私が面倒なんじゃなくて女が面倒な生き物なんだからね。それを理解してないからふられるのよ。子供が欲しいなら子作りしたいんだけどとあらかじめことわりなさいよ。強引だから降ろされてふられるのよ。避妊くらいしなさい。私達の体が人間の体とちがってピルを受け付けないのは知ってるでしょう?」

「めんどすぎ女別に作ってそいつとやるわ」
「どうぞ。さようなら。私の言う意味が理解できないのなら一生ふられるわよ」
「お前を手放すといつ言った」
「直系相手に二股かけて無事ですむと思わないでよ」

「そーいや、お前直系だもんな」
「そーよ。子供できたら降ろせないんだから。学校辞めて育てるしかないのよ。だから六年は経験しなくていいって言ってるの。同時に貴方がリーダーになる。人選をあやまった統括者ほど惨めなものはないんだからね」

「リーダーになる資質ならあるつもりだ」
「ただの狼ならね。人としての資質がかけてる」
「うるせぇ女だなぁ」
「なら別れてよ」
「いやだ、俺はお前の強さに感激したんだメスでこんなに強い奴はいねぇ」

「それだってあんたみたいのに捕まるためじゃないわ。好きな人と一緒になりたいから全て背負えるように強くなったのよ。生きられるなら人として生きたい」
私は睨みつけた。人間でいられなくなった日、せめて隣に居てくれる人は強さじゃなく、賢さじゃなく、愛情だけで選べるように私はがんばってきたんだ。

猛が私を包み込む。多分昨日から始めての優しさで
「狼の気質の強い俺にはわかんないけど、狼刃は人間の気質が強いんだな。それが直系に生まれて…随分と無理して生きてきたんだな。女のくせに頑張りすぎだ」


そんなやりとりで始まった。猛と私の付き合いは一年になろうとしていた。不器用な奴で聞かなくてもいいことまで聞いてくる慎重さだ。そして手をつないで歩くとこから進展していない。

バリバリのハードボイルドな映画をみた後に何気なく言われた。
「狼刃も獣人だな。なんだかんだでも強い男が好きだ」
「そりゃ弱いより強いほうがいいけどそれだけなら意味がない」

「俺、結構頑張ってるつもりだけど?」
「うん。正直ここまで我慢するとは思ってなかった。リードとるとこはとって構わないんだよ。今は引きすぎ感あるかな」

「それはどこまでいいのさ?」
「デートコースくらいは決めてくれたほうがかっこいいかなって思う」
「ちぇ、口付けくらいさせろよ」

「したい?さきにいきたくならない?制御できる?」
「うっ、たぶん」
「さっきの映画のラブシーンかっこ良かったもんねぇ」
「あーあそこまで行くと止めれないぞ俺」

「駄目な男だ」
「主人公だって敵さへ入ってこなきゃいくとこまでいってたさ」
「それにはいたって同感だけど」
見詰め合って大笑いする。その日私は誕生日で上機嫌だった。

帰り道、家の近くの公園で一つしかないベンチに座るよううながされて座る。
「誕生日おめでとう。いつ渡すか迷って結局こんなところでになっちゃったけど観光土産屋だったけどみつけたらかわいくって、いつか渡そうと思ってたら二週間とたたずに誕生日だっていうし丁度いいと思って」

「うん。かわいい。これなに?」
「桜貝だと」
「もうひとつ。思い出頂戴」

「俺何ももう持ってないぜ」
「むー、鈍感、女の子がその気になる時って意外と少ないんだからね」
「あー、いいの?どこまで許してくれる?」
「こんな場所で服脱がしたら張り倒す」

この日私達は始めての口付けを交わした


その日、私の部屋で猛に女の体のリズムを説明していた。
「だからだいたいここまでが安全日でここにからは危険日排卵日がここで生理が始まるのはここ。でも本当に安全な日なんてないよ。体が男の人を感じるとリズムは勝手に危険日になっちゃう」

「今は?」
「危険日に入ったあたり」
「どうせなら安全日に説明しろよ。押し倒すいい機会なのに」
「猛?隣にはお兄ちゃんが居て一階には両親が居る。この状況で押し倒したら殺されても文句言えないからね」

「留守に呼べよ」
「うちが空になることはまずないわよ。直系なんだから」
そんな話をしているとママが入ってくる慌ててノートを閉じる私。

「風鈴ちゃんが家出したらしいの。あさから帰ってこないって」
「今度はなにやらかしたのよ風鈴は」
「獣型で生活している獣人の話をしたらどうしてなのか一度聞いてみたいって独り言のようにそんなこと言っていたらしいわ。冗談だろうと思ってたけど」

「まずいわね。連中は夜になると動き出す。殺されかねない」
「山は三つある手分けして探すしかないか。俺昇り山行く、狼刃、双子山頼む」
「お兄ちゃん二人を貸してママ。猿山をお願い」

「気をつけなさい。獣化してる連中は弱くはないわ。戦う前に知らせて。連れてきたらお仕置きじゃすまない。一族にさらすからそのままうちへ運びなさい」
「ママ!そこまでしなくとも。まだ13歳よ」
「何度も危険を冒してるわ。今度は直系が直接動くのよ。その重大さを知らせねばならないの」

「とにかく日が暮れちまう。そんな話は後だ風鈴を探すぞ」
お兄ちゃん達と猛と私は急ぎ山に向った。

中腹まで来る風鈴の匂いがする。やっと捕まえた。遠吠えをする。ここにいると。
日は沈んだ急がないとこの山に獣化した獣人たちがいないことを祈った。が、運がない。きっちり現れた。私は上着とスカートを脱ぎ獣型化する。

戦闘が始まった。ほとんどは雑魚。一発で首を食いちぎってく。殺しの経験は始めてだったが手加減してては風鈴を守れない。それでも時々離される。その間に聞こえる悲鳴。風鈴!慌てて戻って食いつく連中を殺していく。思ったより数が多い。

途中から風鈴が人間なのがばれた。獣化してる連中には犯す対象にもならない食い物だ。殺される。できる限り離れない様に戦おうとすると不利になる引きずり込まれる。中央で足四本をやられ急所をはずして体中食いつかれる。それが一匹の鳴き声とともに皆四散した。

あれがボスか。私は人型に戻った。連中は交尾しかできない。犯されるぐらいなら死んだほうがましだ。足を食いちぎられる。動けない私はただ歯を食いしばって耐えた。傷をつけては『獣化しろ!』と命令してくる。ごめんだった。

遠吠えが聞こえた。あれは猛の声。間に合うか、殺されるか。ボスはとりあえず邪魔者を消しに言ったみたいだ。今のうちに風鈴を避難さ・せ・・・・私は悲鳴に近い遠吠えをあげた。手も足も引きちぎられ首から大量の血を流す。とにかく治癒をかけるどうにか助かって……

その行動を止めたのは長兄だった。次兄が足と手を拾ってくる。食い尽くされほとんど骨だけで…
「狼刃、冷静になれ。もう死んでる。生きてたとしても手足無くして生きるのは過酷だ。死んでよかったんだよ。この子は、生きて帰れば仲間にさらされる」

「兄貴、風鈴連れて先に帰ってて。私もこのままじゃ動けない回復して帰るから」
「早まるなよ」
「未来の統括者よ。簡単には死ねない」
形だけ笑って見せて治癒に入る。

手足の再生が終わったところで声がかけられた。
「すげーな、直系の治癒能力って言うのは」
猛も足を引きずってくる。胸からも血を流してた。隣に座るのをみて私は彼の胸を舐めた。それごとに傷が塞がっていく。

「風刃、先に自分の傷を治せ。俺はもつ」
私は自分の傷をいっきに治すと彼の体に手を当てて頭の天辺から足先まで傷ついてるのをやっぱりいっきに治した。

「舐める必要はないんだ。すげー感じたのに」
「あれは無意識でよそ事考えてたから」
「風鈴のことか。お前が遠吠えをあげたとき悲鳴そのものだったから死んだとは思ったよ。それよりもお前が心配だった。人型になって足引きちぎられながらも操は守ったんだな」

「別に猛の為じゃないし、あんな連中にやられるくらいなら死んだほうがまし」
「嘘でもいいから俺のためっていえ、風鈴が死んで神経がこわれるんじゃないかと思った。連中のいいようにされて身も心もぼろぼろじゃないかと思った。

でもお前意外と冷静だ死んだ風鈴に治癒かけてるくらいですんだ。でもそれって正常じゃない。一度壊れちまえ」
そういうと猛はのしかかってきた。逆らうに逆らえない力、疲労もあいまって私は猛に蹂躙された。

「ひどい、風鈴の死んだ場所でやっと自分の身を守りぬいた場所で猛が私を滅茶苦茶にするなんて…」
「別れたいなら別れてやる。でも今は泣けよ。犯されたことに死んだことに襲われたことにお前は涙一つながしちゃいないじゃないか」

その言葉を聞いて私の涙は溢れ出した。何に泣いてるのかわからない。ただただ大声を出して泣いた。泣き疲れてきて声も涙も枯れると猛が唇を合わせてくる。二度目は自然に受け入れた。さっき抵抗したのが嘘のようにただ静かに。

「帰るか。服がないな」
「私はある」
そう言うと上着のチャックを閉めスカートをはく。

「ちゃっかりしてるな。」『上に乗れ』
猛が獣化していう。わたしは上に乗りしがみついた。狼が朝日が昇りかける中駈けて行く私を乗せて。

「日が昇っても帰ってこなかったら探しに行こうと話してた所よ」
「ごめんなさい。少しその」
「おれが抱いて泣かして、抱いた」

ママが睨みつける。はっきしいってきょわい。
「うちの女系を抱く意味はは承知してて?」
「してるつもりだよ。できてたら責任は取る。そうじゃなくてもいすれは…」

「狼刃は?いいの彼で」
私は戸惑った。一年半を振り返ってみる。嫌い?好き?無理やりの初体験。その後の優しさ。彼の態度は何?せっかく上手くやっていけると思ったのに私の見込み違いだった?別れた方がいい?

涙がまた溢れ出した。いやだ人前で泣くのはらしくない。なのに止まらない。猛が口付けしてくる。親の前なのに!抵抗するが抑え込まれる。こんな無理やりでも相手に反応しそうになる。半年間受け入れてきたせいだ。

「涙はやんだろう」
びくんと反応する私。本当だ。今抵抗しようとするほーへ集中して。母親の手が伸びる。顔をなでられてやさしく笑う母が居る。

「多少、乱暴みたいだけど狼刃には丁度いいわね。女に戻ってる。ただの恋する少女に…好きな人と一緒になりたいからと兄たちよりも強くなって見せた貴方が、いずれ統括者にならないからと覚悟を決めてそれでも割り切れなくて荒れてた貴方が
ここにはいない。貴方の涙なんてみたの何年ぶりかしら」

「ママ…猛」
私は交互に顔をみやる。私だけわけわからない感情の渦に流されてた。ただ母が猛の存在を認めたことにより私の選択肢は無くなった。たった一ヶ月の間に婚姻と婚約者発表が行われ落ち着くのに3ヶ月ほどかかった。


再び私の部屋で私は自分の戸惑いを正直に話す。すると猛はため息ついて
「俺でもあの数を相手にするのは命がけだった。だからかなり興奮もしてた。一番はあの状況でも泣かないお前が居た。心を許しかけた俺に乱暴されればさすがに泣くだろうとは想像がついた。

お前には泣くことが必要だと思ったんだよ。後のは俺の欲だ。他の男にとられるのは我慢できなかつたし、お前は泣いて弱ってた。今度は逆に落ち着かせる必要があった。家の前で泣き出したのはお前が受け入れたくない乱暴な男を受け入れちまったからだ。

なんで受け入れたか解らずに涙のスイッチが入ったんだよ。風鈴が死んで身を犠牲にしてまで守った身をあっさり蹂躙された後だったからな。口付け一つで涙を止められる自信はあった。お前は気付いてないみたいだが完全に惚れられてるのわかってたしな。

お前俺を舐めたろう。始めてのことでわからないかもしれないがあれは求愛の証だ。なまじ治癒能力があるせいでわかってなかったみたいだけど、おれは気付いてた。
だから無理やりでも最悪はおきないと思ってたよ」

「私はいつから…」
「誕生日の日だよ自分から求めたろーが、おれはその日を待ってたから忘れない」
私は生き物の急所である首筋の脈動を舐めあげる。甘んじて受れていた猛が逆に私を舐め上げてくる。ゾクゾクッとしたものが背筋を走る

そのまま深い口付けを交わす。猛の手か服に手がかかっても何も言わずに口付けに夢中になっていた。


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