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2017年06月27日10:47

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タカタ、破綻でも開き直る経営者の重い責任 「何が悪かったんだろう」と高田会長兼社長

 下記は、2017.6.27 付の 東洋経済オンライン に寄稿した、宮本 夏実 氏の記事です。

                       記

 エアバッグの異常破裂問題で経営が悪化したタカタは6月26日午前、民事再生法の適用を東京地方裁判所に申請した。裁判所の管理下で事業を継続しながら再建を目指す。米国でも同様に米連邦破産法第11条(チャプター11)に基づく再生手続きを開始する。

 「なぜこの(異常破裂)問題が起こったのか不可解」「何が悪かったんだろう」「当時の試験では予見不可能だった」

 裁判所への申請後、タカタの高田重久会長兼社長は東京都内での記者会見でそう話した。自らの経営責任を省みるどころか、このような事態に陥ってもなお、開き直るような態度を見せた。

最後まで当事者意識に欠けていた会長

 異常破裂の原因となったのは、車の衝突時にエアバッグを膨らませるために必要なインフレーター(ガス発生装置)に入っている、「硝酸アンモニウム」とよばれる火薬の材料だった。高田会長はこの安全性についての見解を述べる中で、「(他社が利用していない硝酸アンモニウムを採用するという)選択は、当時の経営陣がかかわっている」とも語った。

 米国だけで死亡事故が11件、国内でも2件の負傷事故が起きている。そんな非常事態で経営破綻に追い込まれた企業の現経営トップとして、あまりにも当事者意識に欠ける一言だった。

 さらに繰り返し主張したのが「安全性に自信を持ったものを提供した」という点だった。現実に事故は起きているが、異常破裂の原因は究明できていない。ドイツの解析機関であるフラウンホーファー研究機構が調査しても原因がつかめなかったことを根拠に、高田会長は「事故が起きる条件はわかるが、(事故の)再現性はない」と述べた。

 原因を究明することもできない技術を世の中に送り出すこと自体、「安全」を標榜する部品メーカーの企業姿勢として正しい選択だったのか。検証能力を超えた技術の活用に限界が生じたことに対して、謙虚な姿勢を見せることはなかった。

 タカタの負債は今年3月末時点で約3800億円。だが最終的な総額は現段階で未定だ。これまでに自動車メーカーがタカタに求償した債権は、自動車メーカーが引き当てたリコール費用のごく一部にすぎない。

 自動車メーカーとタカタの間で責任分担を巡る協議は続いており、大半のリコール費用は自動車メーカーが肩代わりしたままだ。この巨額費用の負担の行方は、民事再生法の手続きの中で確定される。自動車メーカーが債権を届け出た時点で、タカタの負債総額は1兆円を超えるとみられる。

新生タカタは中国企業の実質傘下に

 スポンサーには、外部委員会により候補に選ばれた中国・寧波均勝電子傘下の米自動車部品メーカー、キー・セーフティー・システムズ(KSS)が就くことで基本合意に至っている。KSSはエアバッグやシートベルトなどタカタの持つほとんどの事業を約1750億円で買い取り、2018年の第1四半期中をメドに新会社に移行する。ただし、硝酸アンモニウムを使うインフレーターの製造・販売事業は、KSSは引き継がない。

 そうして残された事業を引き継ぐのが、旧タカタだ。受注残やリコールの代替品として必要な硝酸アンモニウムを用いたインフレーターを製造する。旧会社は2020年3月までに必要分の製造を完了し、その後、精算する方針だ。

 インフレーターの不具合が出始めたのは、10年も前にさかのぼる。2008年11月以降、自動車メーカー各社は不具合の有無やその原因を調査するためにリコールを実施し、対象範囲が徐々に拡大してきた。

 膨らむリコール費用に経営が圧迫されたタカタは、2016年2月に外部専門家委員会を設置。当初の計画では、2016年末には再建案の策定を終えるはずだった。

 再生への道筋が定まるまでに予定よりも半年遅れたことについて、高田会長は、「10社以上の自動車メーカーの合意を取り付けるためには、われわれの想像を超えるプロセスが必要だった」と説明。スポンサー選定を巡っても、自動車メーカー各社が合意するまで難航した。

 ステークホルダーの多さから混迷したタカタの再建だが、一連のリコールに関連する米司法省への補償金の支払いの期限が、2018年2月に迫ってきていた。KSSから事業の売却額が払い込まれる時期から逆算すると、現時点でも残された時間はほとんどなかった。

 時間が迫る中で最後まで埋まらなかったのが、再建の手続きをめぐる意見に関するタカタとスポンサー、自動車メーカー、銀行などとの間の深い溝だ。

 複雑に利害関係が絡み合う今回のケースを、関係者それぞれとの協議に基づき進める私的整理が難しいのは明らか。裁判所の管轄下で公平かつ透明性のある法的整理が現実的だった。だが、タカタ側が安定供給のために私的整理を希望し、スポンサーなどが提案する法的整理を最後まで飲み込まなかった。

信用不安が法的整理の引き金に

 今月16日以降、民事再生法の適用を申請するとの報道が相次ぎ、部品の仕入れ先や出入り業者との取引条件が悪化。主要な従業員の離職懸念が高まったうえ、金融機関の融資姿勢も厳しくなってきたことで、法的整理の方針を固めた形だ。

 法的整理により部品の安定供給が滞ると指摘してきたタカタだが、実際は、メインバンクの三井住友銀行は250億円を上限とするDIPファイナンスでタカタを支援することで合意。日系自動車メーカーらも民事再生手続きの期間中の資金繰り支援を提供するため、民事再生法の手続きの中でも部品の安定供給への準備が整いつつある。

 私的整理にこだわる理由は何だったのか。「経営者の立場よりも(6割の株式を握る)大株主としての地位を優先したのではないか」。記者の質問に高田重久会長は、「そういうことは一切ない。安定供給以外で、何らかの条件をつけてほしいという要望は言っていない」と一蹴した。

 「安定供給」を建前に、早期決着を図る選択を誤ったのではないか。その経営者としての責任をどう感じているのかの疑問は終始、晴れなかった。高田会長はKSSへの事業譲渡が完了するまで経営トップにとどまる。とはいえ、再建までの期間を長引かせた責任は重い。

 今日6月27日には当初の予定通り、定時株主総会が開かれる。上程される議案の一つは、現取締役6名の再任だ。創業家が議決権の6割を握るため可決される可能性は高い。ただ、民事再生手続きの中でタカタは債務超過に陥り、株式は無価値にすることが前提となっている。株主からは厳しい声が飛びそうだ。

 http://www.msn.com/ja-jp/news/money/%e3%82%bf%e3%82%ab%e3%82%bf%ef%bd%a4%e7%a0%b4%e7%b6%bb%e3%81%a7%e3%82%82%e9%96%8b%e3%81%8d%e7%9b%b4%e3%82%8b%e7%b5%8c%e5%96%b6%e8%80%85%e3%81%ae%e9%87%8d%e3%81%84%e8%b2%ac%e4%bb%bb-%ef%bd%a2%e4%bd%95%e3%81%8c%e6%82%aa%e3%81%8b%e3%81%a3%e3%81%9f%e3%82%93%e3%81%a0%e3%82%8d%e3%81%86%ef%bd%a3%e3%81%a8%e9%ab%98%e7%94%b0%e4%bc%9a%e9%95%b7%e5%85%bc%e7%a4%be%e9%95%b7/ar-BBDiCoA?ocid=LENDHP#page=2
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