元松下政経塾塾頭をされていた上甲晃氏の講演内容からです。
磨くのは背中
松下政経塾の入塾試験の日です。
私は、幸之助塾長が、塾生の入塾試験において、どのように人を見るか大変興味がありました。
ドアをノックして塾生が入る、数人の試験官は一斉に入り口を見る。ところが、幸之助塾長だけは下を向いているのです。
面接が終わって受験生が立ち上がる。試験官は受験生の点数をつけるため一斉に下を向く。塾長だけが、受験生の出て行く姿をじっと真剣に見ているのです。他の試験官と逆です。
何故かと聞いてみると「入ってくる時は、よそ行きや、面接が終わってホットして出て行く時のほうが、ふだんの姿に近い」と言われたのです。
どんな世界でも、入っていく時はよそ行きで、出て行く時に人格が現れものです。
そういえば、あるホテルの支配人の話を思い出しました。
チエックインする時には人柄は分らないが、使い終わった部屋を見ると、ご本人に会わなくても、その客の人柄が分ると言っていました。
電気はつけっぱなし、ビール瓶は転がっている、洗面台は使い放題・・・・・。これでは、どんな立派な紳士でも、所詮この程度の人ということになる。金を払っているのだという気持ちになれば、什器備品も全部使わないと損だ。片付けたらいいのに、片付け自体が損のような気になってくるものです。始末癖の悪い人は、絶対偉くはなれないと思う。
私は、塾生に宴会に行った場合、宴会が終わった後のことを教えています。
お皿や鉢の中に、タバコをねじ押して、灰皿もお椀も一緒くたにする人は、どんな立派な団体でも、所詮その人達の人格はたいしたことはない。
人生のすべての場面で、我々は後姿で人格が問われている。磨かなければならないのは自分の背中であります。
出所進退という。入ってくる時はよそ行き、出て行くときに本音が現れる。「退」ということが非常に大切だと思う。
(以上)
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