【質問 kérdés】
朝鮮戦争参戦は,中国にどのような影響をもたらしたのか?
【回答 válasz】
A・V・トルクノフによれば,中国にいっそう悪い結果をもたらしたという.
以下引用.
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朝鮮戦争は,中国にいっそう悪い結果をもたらした.
中国は国際的にきびしい孤立状態に置かれ,何十もの国家が承認を拒否し,国連にも加盟できなかった.
中国は米国の基地に取り囲まれ,ワシントンは台湾という中国領土を,中華人民共和国をねらう「不沈空母」へと変えた.
北京にはソ連に頼るしか選択が無くなり,「弟分」の役割に甘んじざるをえなかった.
この不釣り合いな同盟こそ,中ソ対立を呼び起こし,ひいては中国共産党の内政外交を急進的方向へと追いやった.
------------A・V・トルクノフ『朝鮮戦争の謎と真実』(草進社)
一方,スターリンの側から見れば,彼の毛沢東および中国指導部全体への疑念は完全に晴れたか,そこまで行かないにしても軽減した.
ソ連は中国に多大な軍事援助を行い,ソ連にとっては中国が最重要の同盟国になった.
中ソ対立が起こるまでは.
一方,中国は対外路線を武力闘争から平和共存へと転換.
1954年のジュネーブ会議では中国は,その新しい認識を携えて登場することになる.
台湾問題については,朝鮮戦争によってアメリカの軍事力の強大さを身をもって体験したことにより,中国は台湾「解放」を国内問題であると国際社会に対して明確に位置づけつつ,そこで生じる紛争を局地化していく試みを模索するようになっていった.
中国国内では,朝鮮戦争は中国の国防力の近代化を開始・進行させた.
中国は朝鮮戦争を通じて,ハイテクを使用した戦争というものをいやと言うほど学び,ソビエト連邦からの多大な援助を得て国防力の近代化に邁進することになった.
中国指導層は,中国独自の国防産業を育成する必要性を切実に感じ,以後,中国の軍需産業はソ連の軍事技術を複製しながら発展していった.
また,中国は朝鮮戦争中,トルーマン政権およびアイゼンハワー政権から,朝鮮半島の中国部隊および北朝鮮部隊に対して核爆弾を使用するという脅しを受けたことから,中国独自の核武装を目指すことになった.
1954〜1955年の台湾海峡危機時にも,アメリカから核の脅しを受けたことにより,1955年春,中国共産党中央委員会政治局は核爆弾開発を最終決定.
1964年10月,最初の核実験に成功する.
中国国民に対しては,朝鮮への介入を「偉大な勝利」と宣伝した.
現実的に見れば,何十万もの中国人兵士が命を落とし,中国経済再建を犠牲にして軍事目的のために何億ドルも投入したことは,大きな負債以外の何物でもなかったが,中国軍が米国/国連軍を中国−朝鮮国境から38度線まで退けたことをもって,中国共産党はこれを勝利と呼んで現実を塗り潰した.
そして,毛沢東の時代に中国全土を席巻した様々な政治的,経済的,社会的,文化的な革命を正統化するために使用され,(多くがパトリオティズムのかたちで表される)革命ナショナリズム,すべての党/国家政策に対する人々の「内面的支援」を鼓舞した.
毛沢東死後,「改革開放」プロセスが展開されるにつれ,中国の近代化への道のりに関する毛沢東流「共産主義」のイデオロギー的正統性が揺らいだ際には,中国の朝鮮戦争の経験に関する物語は,中国人のナショナリズム/パトリオティズムの感情に訴えることによって,(実際には,共産主義以外のものである)中国の「共産主義」国家の継続的な存在を正統化するために効果的なツールとしての役割を担った.
【参考ページ Referencia Oldal】
https://kotobank.jp/word/朝鮮戦争
http://www.nids.mod.go.jp/event/forum/pdf/2006/forum_j2006_06.pdf
http://modernchina.rwx.jp/magazine/22/osawa.pdf
http://www.y-history.net/appendix/wh1602-033.html
http://www.meridian-180.org/ja/chinas-north-korea-policy-interview-chen-jian-part-1?_ga=2.46400612.298135596.1494246490-192027246.1494246490
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