中村天風「君に成功を贈る」より。
嫌いな相手には、つとめて親切にしてごらん
自分自身があまり好き嫌いがはなはだしいと、自分もまた、やはり他人(ひと)から好き嫌いに扱われます。
エマーソン(アメリカの思想家)は、「他人に疎んぜられるまえに、他人を疎んずるな」と言っていますね。他人に嫌われるまえに自分が他人を嫌うなという意味です。
だからどんな場合があっても、他人を嫌いになる人間になってはダメだぜ。
人、人のなかで生きているお互いなんだから・・・。
人間同士の間で生きている以上、いつもそこに互いに解け合っていける温かい気分がなくてはダメなんですよ。だから好き嫌いのはなはだしい人は、心を切り替えることです。
あなた方は正直でよろしい。「心を切り替えるったって、どうすりゃいいんだ」って顔に出てる。あのね、私ね、あなた方がなに考えてるとか、すぐにパッとわかっちゃうの。顔見るだけで。
「ああ、今日の晩飯はなにを食べたろうかしらん」とか、「この先生いくつかしらん」とか、「ああ、好いたらしい女がいるなあ」とか、実にいろいろ思っていますねぇ・・・、あなた方(笑)。
天風はね、できる人にものを教えているんじゃないの。できない人に、どうすればできるかを教えているの。でかす方法をやさしく教えるから、とにかく実行してごらんよ。
気持ちを切り替えるというのはね、
「常に嫌いだと思う相手には、つとめて親切にし、優しくするような気持ちに自分を仕向ける」
ということよ、どうだい、言われてみると、訳ないだろう?
大切なことは、最初のうちは、向うのほうでこっちを相手にしないかもしれないってことです。ですからその時も、
「あんちくしょう、この俺がやさしくしているのに、図に乗りやがって・・・」
なんてこと、思っちゃいけないのよ。あなた方、すぐそれをやるからねえ。それじゃ前と一緒だもの。(笑)
ですから、向こうが相手にしなくたって、それだけでやめてしまってはいけないんですよ。こちらの思うとおり、向こうがすぐ思ってはくれやしませんもの。
まして、いままでの自分を考えてみたときに、なかなかそんなにうまくしっくりいかないのが当たり前だと思ったら、小野道風(平安中期の書家、和様書道の開拓者)の見た蛙の、あの話を思い出してごらん。
何遍も何遍もむこうの葉っぱに飛びついちゃ落っこちて、馬鹿な蛙だなあ、と思っていたら、ある日飛びうつっちゃってた。それを見た道風がハッと気づいて、書の道に突き進んでいって、あんな立派な業績を残しえた、という話ですよ。ねえこれですよ。
ですから、途中でやめず、幾度かしくじりを繰り返していても、努力すること。そうしていれば必ずうまくいくんですから。
ログインしてコメントを確認・投稿する