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2017年04月30日20:53

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映画 T2 trainspotting

T2 trainspotting   ダニー・ボイル監督

20年前のクリスマスイブ、東京転勤のための引越しの搬入を終えたその晩、
東京ミニシアターの震源地・渋谷ライズで前作を見ました。 
渋谷のど真ん中で渋谷サブカルチャーそのものと言える映画を見て、
ああ、これが渋谷、これが東京か!と感慨深かったのを思い出します。
関西人なので東京何するものぞ的な考えで、それまでずっと生きて来てましたが、
東京に来る前の名古屋2年9ヶ月の閉鎖的な土地柄での暮らしでそんな対抗心も消え、
素直に東京の溢れるような音楽、映画カルチャーにはまっていく始まりの夜でした。

前作は喧嘩やドラッグやその幻想(糞?)まみれ、
最後は仲間を裏切るという終わり方で、
必ずしも主人公たちに共感できたわけではありませんでしたが、
彼らなりの行き場のないエネルギー、
スタイリッシュな映像やかっこいい音楽の連続で
かなりの高揚感を感じたのを覚えています。
特にアンダーワールドの”ボーンスロッピー”には興奮しました。

ということで、前作から20年後を同じ監督、
俳優が演じるということで鑑賞して見ました。

前作で盗んだ金を独り占めし、アムステルダムに逃げ、
そこそこの職を得たもののクビになり、おまけに発作で死にかけ、家族にも逃げられ
故郷エディンバラに帰って来たレントン。
親のパブを継ぐも閑古鳥、ブルガリアから来たベロニカと
美人局で恐喝をしているシックボーイ、
妻と子供とも別れ、相変わらず薬をやめられず自殺しようとするスパッド、
二十年間服役し、未だに儲けを独り占めしたレントンを許せずに
脱獄する暴力的なベグビー。
病気、離婚、服役、喧嘩そして相変わらずの薬、真っ当な大人になりきれてない、
相変わらずだらしないままの四人がスクリーンにいました。 
そして歳をとったぶん、かなり惨め。

前作のような高揚感はないですが、
同じように二十年歳を重ねて観客にとっては人生の悲哀を感じる作品でしょう。
全てがうまく行っている人生なんてない、人は簡単には変われない、と。
レントン曰く、”人生を選べ”……なかった人生。

高揚感は少ないですが、それはあくまで前作との比較で、
その辺の映画と比べたら、さすがダニー・ボイル監督、
抜群に音楽の使い方が良くてノセてくれのでご安心を。

前半のレントンとシックボーイとベロニカの悪巧みの話から、
後半はベグビーの復讐劇みたいでちょっとありきたりな感じもしますが、
全体的に見るとスパッドがレントンに自殺を助けられ、
薬を抜くためボクシングをしたり、
ベロニカの勧めで自分たちのことを小説に書くようになり、
彼の更生がストーリーの柱になっているのが前作より後味の良い終わりにつながります。
あとベロニカもなかなかいいキャラで日本人好みの可愛さ、
そしてしたたかな女性の強さを最後に見せつけます。
肝心のレントンはシックボーイや父親と仲直りはできたものの、
また薬を始めてしまったりでちょっと残念。
ちなみに前作で女子高生だったダイアンはちゃんといい仕事に就いて、登場します。
ユアン・マクレガーはそれなりの歳の取り方をしていましたが、 
ロバート・カーライル演じるベグビーは前作では神経質そうな感じだったのが
今作では図太そうな、もろおっちゃんになってて、ほんまに同一人物か?
と最後まで違和感がありました。

前作のシーンも効果的に使われていて懐かしく、
期待した”ボーンスリッピー”も流れるかと期待したら、
スローなテンポにアレンジした曲だったので、それが少し残念。 
やはりあの曲こそが”トレインスポッティング”なので、
それが聴けなかったので前作と同じ高揚感を味わえなかったのかも。
まあ前作の象徴的な曲のテンポを落とすことで、
二十年の時の経過の重さ、同じようには生きられないという
作品のテーマを示しているのでしょう。

ラストは、レントンが電車の絵の壁紙が貼られた子供時代からの部屋で
イギーポップのレコードをかけて(故郷に帰ってすぐの時はレコードをかける
寸前でやめたが、このラストでは吹っ切れたように針を落とした)踊りだし、
そしてレールのように壁紙がどんどん伸びていく。
いつまでも電車が走り続けるかのように。
このシーンがまさに監督らしいこの映画最大のスタイリッシュな映像で、
最後にキメてくれたって感じがして、すごくかっこよかったです。

という感じで前作に続き、彼らの行動に共感はできないけど、
その気分はわかるという映画でした。
そして二十年後の彼らが見てみたいです。 
相変わらず大人になりきれてない60代の彼らを。
そして、こちらも同じ気分でずっと走り続けたいもんです。


なぜか日本版のトレイラーが作られてないので、イギリス版トレイラーを。 
https://www.youtube.com/watch?v=kv65GXBA-po



ちなみに"PARKS パークス"と同じ日にハシゴで
どちらも音楽を楽しめる映画だと思って見たのですが、
見終わってみるとどちらも登場人物が書いた小説、という構造の映画でした。

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