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2017年04月05日14:22

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デヴィッドボウイ大回顧展

天王洲アイルに、デヴィッド・ボウイ展を見に行ってきました。
(ちなみに画像はどれも会場で撮ったものではありません。会場は撮影禁止)

頂き物のチケットがあったので、終了前にと平日夕方駆け込みました。
彼のことは前から知っているしファンではあったけど、さほどディープなファンじゃない。
スターマンのシングルを買い、「地球に落ちてきた男」のいたいけさで陶然となり、次々繰り出されるミュージックビデオをひたすら追いかけてビジュアル先行音楽性後攻で邪に萌えてた類でして。
チャイナガールでひらめくロングコートに恋し、ブルージーンのビジュアルにエンドレスで見とれ、ミックジャガーとのデュエット、ダンシングインザストリートでひーひー身もだえしてたという、完全に横入りのミーハーだったんです。
80年代、耽美系少女漫画の描き手側であったもののおよそ7割(当社比)は、♂の美形というとデヴィッドボウイ。といった具合に、彼の造形が美の原点として刷り込まれていたんじゃないかな。(大島弓子木原敏江大矢ちきを筆頭に。代表選手・belneセンセイ)
ボウイ自身も、自分の美貌と造形と魅力と才能を余すところなく自己プロデュースして、現代の美のイコンとして君臨し、あらゆる創作者のミューズとなった。そういう存在だと思います。自分も、いずれ伝説となる凄い人をリアルタイムで追い続ける幸せに浴しているという幸運に感謝してました。
そして、思ったより早く彼は召され、「スターマン」になってしまった。

大回顧点は、彼に魂を奪われた人の琴線をわんわんと震わせる構成だったと思う。実に深く立体的に、彼の世界に染まらせていただきました。
彼の着た服、書いた楽譜、PV、周辺の人々の証言、音楽、描いた絵、デザイナーの言葉、音楽の移り変わりとともに変化していった彼自身の軌跡の可視化。

なかでも、わたしが一番仰天したのは、彼の「絵」の才能です。
コスチュームのデザイン、演出、作曲楽器演奏、その才能は多くの人の知るところですが、さらに彼がたぐいまれなる才能を発揮していたのは「絵」でした。
中でも会場で見て驚いたのは三島由紀夫の肖像です。何という迫力、深い絵力。

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彼は三島の作品はもとよりその生き方散り方にすごく興味をひかれていたとか。(三島の絵はベルリンの自宅のベッドの上に飾ってあったそう)

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そしてイギーポップの肖像。一目でわかるイギーポップテイストが凄い。どれも、エゴンシーレとムンクが憑依したような、北欧的な暗さと深さがあります。

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Child In Berlin・ベルリン時代の絵。これは会場にはありませんでした。

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ボウイとイギーの縁は深く、イギーはボウイの死後、「彼が僕を破滅から救った恩人だ」と言っています。
彼はどのようにしてイギーの恩人になったか?

イギーは過激なパフォーマンスで知られるパンクバンド「ストゥージズ」のボーカリストでした。
しかしステージ上で刃物で自分を傷つけたり血まみれになったりとにかく目も当てられない大暴れをしたので、一部のアナーキーな連中にもてはやされただけで音楽性はちっとも評価されなかった。
余談ですが、彼のシンパであった若者の一人に若き日のジョニー・デップがいます。
ジョニーは元々ミュージシャン志望で、16のころから仲間と「The KIDS」というバンドを組んでギタリストをやってました。そしてイギーのバンドの前座を務めてたことも。(考えてみれば無名のティーンでこれはすごい)
ジョニーにとってはあこがれのパンクスター、イギーにとにかく何かひとこといって気を引きたくて、べろべろに酔っぱらって勢いを付け、(当時17歳)イギーに近づいてこう言ったそうです。「おいイギーポップ、この豚の餌野郎」(Iggypop、Piggyslop)イギーは無礼なガキにムカついて「このクソガキあっちへ行け」と吐き捨てた。
ジョニーはそれだけで満足だったそうです。迷惑な奴。後に二人はいい友人になるわけですが。
閑話休題。
ストゥージスが解散した後、行き場をなくしたイギーは、彼をリスペクトしてくれたボウイの助けを借りてソロ活動を始め、一応の成功をおさめます。その頃がイギーの第一のヒット時期と言えるかも。
がそれも長くは続かず、所詮パンクの帝王、パンクブームが去ればそれまで。イギーは薬で身を持ち崩し、もはやこれまでと思われた。
そのイギーが、デヴィッドボウイと共作したのが、「チャイナ・ガール」
これRVで結構人気出ましたよね。曲はともかくあの画面構成がわたくし大変好きでした。
これがジョニーのヒットアルバム、「レッツ・ダンス」に収録された。
(皮肉なことに、ボウイマニアの間ではこのアルバムの評判は散々ですが、とにかく売れたんです)
ちなみにイギーもコンサートでよくこの「チャイナ・ガール」は披露してます。
イギーは共作したこの曲で大金を手にし、また這い上がることができた。そのあとイギー自身の曲も売れ始め、第二の最盛期を迎えることに。それからも彼のアルバムをボウイは精力的にプロデュースして、生涯の親友となっています。

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ついでに、ジョニー・デップが主演した映画「クライ・ベイビー」でもイギー・ポップはジョニーと共演してます。監督はあの怪作ピンク・フラミンゴのジョン・ウォーターズ。
そして、ジム・ジャームッシュ監督の名作「デッドマン」でもイギーはジョニーと共演してます。女装の変なおっさんとして。

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また、ジョニ―自身が監督主演した映画「ブレイブ」にもイギーは出演し、さらに音楽を担当しています。かようにプライベートでもジョニーとイギーは親交があるのです。ファンにとっては嬉しい話。

私的な話に流れましたが、とにかくこの回顧展。濃いです。会場の最後に展開される空間は、ボウイファンならしばらく出てこられなくなること必至。
4月9日までです。入場はチケットに指定された時間ごとに区切られてます。まだのボウイファンは、是非に!
ただし一緒に行く相手は選んだ方がいいかも。ボウイに何の知識もないうちのダンナは、会場入り口で聞こえていた「ジーン・ジニー」のメロディに「これ、知ってる。セサミストリートでしょ」と抜かした。あとはひたすら退屈そう……(´・ω・`)


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会場を出て、サルバトーレでピザ食べた後、川辺を散歩しました。この橋が好き。

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