TOHOシネマズ新宿でボリショイ・バレエの配信による《明るい小川》を観てきた。
ショスタコーヴィチ作曲のこのバレエは、名前はたまに聞くが観たことがなかったので、一度はどんな作品か観ておこうと思って観に行った。
結論から言うと、この作品は、ひどい駄作というほどではないが、けしてよくできた作品とは言えない。 著名な振付師のアレクセイ・ラトマンスキーの手になる喜劇だが、ロシア人は振り付け師もダンサーも喜劇は不得意なのである。
ただ、舞台芸術は、映像になってしまうとそこから得る感動は生の舞台から得るものの半分以下になってしまうものなので、生の舞台だったらもっと伝わるものがあったかもしれない。
主役を演じたスヴェトラーナ・ルンキナはとても魅力的だった。 また、主要な役であるバレエダンサーを演じたルスラン・スクヴァルツォフがジゼル第2幕のジゼル、あるいはラ・シルフィードを彷彿とさせる衣装と振りで、トゥシューズを履いて(トウシューズは女性ダンサーのみが履くもので男性ダンサーは普通は履かない)、女性ダンサー顔負けのトウシューズテクニックを披露していたのは見事で、その場面のみはしらけずに素直に笑えた。
1970年代から80年代にかけてのボリショイ・バレエのプリンシパルダンサーで、《白鳥の湖》の悪魔ロッドバルト役などで重厚な演技を見せてくれていたボリス・アキモフがバレエ団指導者の立場で解説をしていたのは感慨深かった。
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