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2017年02月23日11:22

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独裁者の本質をとらえた言葉 

 下記は、2017.2.23 付の【産経抄】です。

                       記

 ヒトラーを風刺するチャプリンの映画「独裁者」が公開されたのは、第二次大戦の最中である。ナチス・ドイツは、撮影段階からさまざまな妨害活動を行ってきた。

 ▼米国では2014年、北朝鮮の金正恩朝鮮労働党委員長を笑い飛ばすコメディー映画「ザ・インタビュー」が制作された。作品の質では比較の対象にはならないものの、北朝鮮政府が上映を阻止しようと躍起になった状況は似ている。

 ▼映画の制作会社にサイバー攻撃を仕掛けたのは、工作機関「偵察総局」だったといわれる。韓国政府によれば、クアラルンプールの空港で正恩氏の異母兄、金正男氏が殺害された事件を主導したのも、同じ工作機関である。ただ防犯カメラは、実行犯の女が正男氏に毒物をなすりつけて逃走する一部始終をとらえていた。工作員の男たちが犯行直後に出国する映像も残されている。

 ▼テレビのワイドショーは、正男氏の息子、金ハンソル氏が、5年前にフィンランドでインタビューに応じた番組まで引っ張り出してきた。ハンソル氏はなんと、正恩氏を「独裁者」と呼んでいる。金正恩体制についての記録映画を連日見ているようなものだ。皮肉なことに、へたなコメディー映画の何倍もその異常さを伝える宣伝効果がある。

 ▼チャプリン研究家の大野裕之さんによれば、「20世紀の世界でもっとも愛された男ともっとも憎まれた男」が、「独裁者」をめぐってメディア戦争を繰り広げた(『チャップリンとヒトラー』)。

 ▼なかでも独裁者に間違えられたユダヤ人の理髪師が演説するラストシーンは、敵の肺腑(はいふ)を衝(つ)く。「ただ愛されない者だけが憎むのだ。愛されない者と血の通わぬ者だけが」。これほど独裁者の本質をとらえた言葉を他に知らない。

 http://www.sankei.com/column/news/170223/clm1702230003-n1.html
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