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2017年02月11日08:44

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きりしま事件再訪




奥野誠亮さん 1913年(大正2年)7月12日 - 2016年(平成28年)11月16日
おくの せいすけさん。

華麗なる一族の長でいらっしゃる、と聞いております。 昨年11月に103歳を一期に遠行された由。

さて、ここに畏友フィロさんの「GHQに没収された本―総目録」 サワズ出版 2005年9月 に対する優れた書評があります。
フィロさん; http://mixi.jp/show_friend.pl?id=1218228
書評; http://mixi.jp/view_item.pl?reviewer_id=1218228&id=1227594

圧巻の書評の〆はコレです:

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最後にこのリストの増補改定版を作った編者たちの仕事には、心底敬意を表します。
しかし、彼らのダブルスタンダードな価値観には、とうてい賛同できない。
ゆえに敢えて星1つとさせていただきます。
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そして、注目すべきはこの事実のご指摘です。
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戦前戦中の日本は、新聞紙発行条目(1873年太政官布告352号)、出版条例(1872年、明治4年)、讒謗律(1875年)、出版条例(1875年)、新聞紙条例(1875年)、出版法、新聞紙法(1909年)、映画法、治安警察法(第16条)、興行場及興行取締規則(警視庁令第15号)などなど、数々の法律で「言論弾圧」を行ったわけで。

エロや左翼系の出版物はもちろん、政府と意見の合わない右翼思想、宗教、オカルト、不敬にあたる文学、果ては音楽にいたるまで、GHQのそれより遥かに範囲は広かったわけです。
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たしかに、連合国総司令部は俳句の弾圧はしていない、と聞いております。 

S18年6月、山本大将がボ島上空でP38編隊に襲撃されたことを大本営が発表し、軍艦陸奥が乗組員により柱島沖で爆沈させられ、ソロモン諸島では激戦、クルスク会戦の頃の由ですが、同人誌『きりしま』は次の俳句を掲載したそうです。

  われら馬肉 大いに喰らひ 笠沙雨
  熔岩に 苔古り椿 赤く咲く

この2句を『きりしま』同人が共産主義者である証拠として、摘発したのが、鹿児島県警察でした。 鹿児島日報記者2名と販売局員の計3名の俳句愛好者が起訴された由。 記者2名は起訴猶予、販売局員は懲役2年・執行猶予4年の言い渡しを受けた、と。

で、これを立件したのが、奥野誠亮(29歳)氏、鹿児島県警察部特高課長です。

奥野さんは24歳時に内務省入省、戦後は自治省事務次官を経て、50歳時自由民主党から地元奈良県で立候補、13期連続当選され、引退時は、長男・信亮氏に地盤を譲られたそうです。 次男・正寛氏は新制・東京大学経済学部名誉教授、の由。 ご一族には、宝塚のスターもいらっしゃる由、華麗なる家系と言えましょう。


このように、我が国においては、連合国総司令部が為したよりもはるかに、きめ細かい治安維持行政を行っていた、と言える、と思います。 高度な行政、と言えましょうし、官僚としての奥野氏が高い評価を戦前・戦後に受けていた、ということもご経歴は示しているようです。





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