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2017年01月22日22:16

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映画「沈黙 サイレンス」

今日の朝に109シネマズ大阪エキスポシティで鑑賞
マーティン・スコセッシ監督の新作!

「沈黙 サイレンス」Silence

江戸時代初期、ポルトガルのロドリゴとガルペの神父は、キリシタンであるキチジローの案内で日本は長崎にたどり着く。
日本でキリスト教の布教をしてたフェレイラ神父が信仰を捨てた真相を知るために。
キリシタンを弾圧していく日本でロドリゴは、信仰心を押し通そうとするが…


マーティン・スコセッシ監督は好きな監督の1人であります。
そんな監督の新作は遠藤周作の原作を映画化した作品。
日本を舞台に江戸時代初期のキリシタン迫害を描いた内容。

私はキリスト教信者でもないし、日本人だから一応仏教ではあるがそんなに信仰してる訳でもないです。
なので、このテーマの作品でどう感じてどう理解できるか?
スコセッシ監督だから期待は大きいけどちょっと観る前の不安はあった。
でも、見終わって感じたのは宗教や信仰に対してそう難しく受け取るより、
何か、人間としての本質を問うような作品に感じた。

正直良かった。

一概にこうとは言えた立場ではないけど。
何か来る物があった。
見てる最中より、見終わってから思い返すとじわじわと
この作品の本質が見えて来たような気もする。
いや、人間としての本質と言った方がいいか。

スコセッシ監督でキリスト教と言えば、過去作に「最後の誘惑」があった。
イエス・キリストを神ではなく、1人の人間として描いた作品。
最後まで人間として全うして終えたと仮定した内容だった。
これは当時、信者から上映反対運動が起こった問題作だったけど。

そしてまたこの題材に挑んだのは?
監督自身も聖職者になろうとした時期があったそうだ。
その時の悩み葛藤が遠藤周作の小説に一致する物があったのか。

思うんだけど、
外なる者への不信感、人間同士の関係が気薄になったかもしれない現在にも当てはまる様な気がする。
一つの国の中でも思想が対立したり、身近に言えば近所付き合いが昔より無くなった今にも言えるような。
別にどの宗教が良いか悪いかは分からない。
一つの宗教の下に人間同士の絆が繋がるのだとこの映画から感じた。
人種や宗教など関係無く、人間って外なるものに不審を抱く性質があるような気がする。
そこにこの映画のテーマにも感じた。

昔、映画かドラマなのかキリシタンを見つけたらすぐに処罰するイメージがあったけど、
キリシタンを弾圧する人たちは、キリスト教を捨て仏教を信仰しろ説得してるのであった。
監督の描き方で良かったのは、両宗教を尊重して描いてる点。
言う事聞かないから罰して処刑するのは許されない事なのは確かだが、
両者の言い分も納得できる。

スコセッシ作品と言えば、劇中音楽がよく流れるのだが、
この映画は監督にしては珍しく劇伴が殆ど無い。
あるとしても太鼓や笛のその地に住む人の流すものだけ。
まさにタイトルどおり沈黙した内容だ。
見てて、目を背けたくなるような残酷な場面も所々あるが、そこには耐え難い沈黙がある。
静かな映画だけど内容が非常に重い。

スコセッシが良いのは日本人としての本質もよく理解して描いてる点。
監督始め、スタッフがよく下調べして理解した上で描いてるのはよく分かる。
ハリウッド映画というより、あるべき姿だった日本映画のように感じた。


キャストも豪華で全ての演技が素晴らしかった。


ロドリゴ神父役のアンドリュー・ガーフィールド
「アメイジング・スパイダーマン」2作でスパイダーマンとしてお馴染みの彼です。
スパイダーマンことピーター・パーカー役を既に降りた後の作品としたら、演技派としてまた違う面が見れて良かった。
所々に言うたどたどしい日本語に親しみがあると同時に悲しくも感じた。
次回作がメル・ギブソン監督の「ハクソー・リッジ」の主演でこれもまた日本との絡みを描いた内容。評判が高いので早く観たいものです。

ガルペ神父役のアダム・ドライバー
もう今ではスター・ウォーズシリーズのカイロ・レン役としての印象が強いです。
でも今回は全く違う役どころ。

キチジロー役の窪塚洋介
役者陣の中では彼が一番良かったと思う。
出てる作品は何度か見た事あるけど、今回の役は来る物があった。
このキチジロー、弱くて卑怯な奴なんだけど、この映画の中では特に感情移入したキャラだった。
もしも自分がこの作品世界の人間だったら、逃げたくは無いけどキチジローみたいになるかもしれない。
このキチジローこそ、人間の弱い部分と本音を体現したキャラだと思う。

通辞役の浅野忠信
もうハリウッド映画には常連となってお馴染みでもあります。
監督もご存知ですぐ抜擢したのも分かる。
今回も安定した演技が良かった。

モキチ役の塚本晋也
監督としてもお馴染み。
やせ細った体で磔にされるのは痛々しく凄かった。

上筑後守役のイッセー尾形
演じたキャラのインパクトが凄かった。
独特の台詞回しといい、出てくるとそのシーンを支配するような。
最初は悪い人と思いきや、見て行くうちの彼の言い分も理解出来るのも良い。

フェレイラ神父役のリーアム・ニーソン
キリスト教を捨て仏教徒になってしまう役。
そんな彼の和服を着てる姿が意外と似合ってた。
また長い髪を後ろに束ねてて、その容姿にSWシリーズのクワイ・ガン・ジンみたいだった。

モニカ役の小松菜奈
以前、デビューの「渇き。」を観た事があった。
作品はもう一つに感じたけどキャラにインパクトあった。
今回は顔中泥だらけになって痛々しい役だった。

ジュアン役の加瀬亮
この人といえば「アウトレイジ」シリーズの石原役の印象が強いです。
海外の映画もよく出ていて、特に好きなのは「永遠の僕たち」の日本兵の亡霊役。
今回は出演シーンは短いが、あの最後は強烈過ぎて…

奉行の役人役の菅田俊
仮面ライダーZXです!
ライダー好きな私には、菅田さんが出ると「おっ!」と感激。
ハリウッド映画では「キル・ビル」や「ラストサムライ」にも出てます。
今回は脇ながらも目立った役だった。
キリシタンに踏み絵させて虐める怖い役。
あの声にあの顔だからな… 「踏め!」というドスの利いた声にジャンパーソンのビルゴルディを思い出したよ(笑)

他にもいろんな人が出てますが、
妙にインパクトがあったのは、片桐はいり。
ほんの1シーンだけですが、印象に残るのはあの特徴ありすぎる顔だからか?


大変、重いテーマの作品です。
この作品の本質を見出したようでまだ見出してないような?
でも凄く良かったです。
スコセッシ監督らしい映画と思う。
また再度拝見したら見方が変わるかもしれない。
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