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2017年01月18日17:00

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【ぼくレス2 2次創作】ショート・ショート「羊神の寝むりの王国」

遠い近い触れられない世界
とあるそんな世界のお話

ここは羊神の寝むりの王国
大小の不可思議な品種の羊たちが一杯そこらじゅうにいる世界
もちろん他の生き物たちもいるけどね

「あーあー、また眠れない夜にくすぶってる奴が羊を数えてるぜ」
そう口を開いたのはかなり大柄な服を着たアルパカだった
通称"ふわもこあるるん”
見える水晶球に
あるるんが不思議な言葉で何かを唱えると

眠れないと言ってた奴は
さらに眠れなそうに布団をガバっとはね上げてぼーっと座ってる
「あちゃ、失敗。おい!!メイ起きろ立ったまま寝てないで助けてくれ」

メイと呼ばれたふわもこな洋服をきた少女が
立ったまま船を漕いでたのを止め眠たそうに眼をこする
通称"夢見メイ"
そしてメイはのんきな声で言う
「これー・・・あるるん失敗したでしょぉ?メイじゃ手に負えないよ」
「ぺこらの姫君呼んできて」

あるるんは仕方なく言われた通り城に向かいぺこらを呼んでくるのです
通称"日辻ぺこら"
この国・・・日辻王国のれっきとしたお姫様である

大きな羊を愛馬として乗りこなし子羊の群れを連れて国中を走り回る
だが性格は温和でのんびりしてた
顔も見せた時もおっとりとした口調で
「何か問題起きちゃいましたかぁ?」

メイが「あるるんが眠れない子をさらに起こしちゃったみたい
これ以上メイが魔法かけたら本当に起こしちゃう」

「あららぁ、本当だわねぇ、今にも起き出しそうだわ」
かなり失礼な言い方で肯定してしまってる事にぺこらは気づいていない
まぁ、ここの国はぺこらには慣れっこだ
城をでて夢見の魔法の手助けしてくれる貴重な姫君だし
なによりも彼女の声を聞くだけで皆どこか眠気を誘われる

水晶の前に座るとぺこらは両手を広げて呪文を唱える
「さぁ、異世界の男の子?もう一度羊数えてね」
そういうと右の手のひらにはミニミニの羊たちがわらわらと居た
それが左手に1匹ずつ移動する
その度にぺこらの小さい声が聞こえるのです
「ひつじが1匹・・・ひつじが2匹・・・眠れるよ・・・ひつじが3匹・・・」
ほどなく水晶球に映し出された男の子は寝てしまいました

そしてぺこらは自分の取り巻きの羊たちに囲まれて
メイが入れた紅茶を飲みます
それが終わるとメイはまたうつらうつらしてるようです

「あるるんは紅茶の葉の栽培上手よね。いつも美味しくいただけるわ」
うるるんは少し得意げに胸を張りました

ぺこらの視線はその頃もう違う1点を見据えてなんか憂いのある顔をします
「増えてきたなぁ・・・眠れぬ人がいる異世界さん・・・この世界も無くなるのかなぁ??」
あるるんが答えます
「存在する異世界中が不眠に落ち行ってもこの世界は無くならないさ
王様がこの世界の神の化身羊たちを狩るような真似しないかぎりさ」

「そうだねぇ、父も祖父も皆羊と眠りを大事にしてきたからーぁ
この世界の住人たちのように好きな時に寝むり
好きな時に働き
ゆったりまったり生きてれば眠れない日なんて無いのにね」
ぺこらは優しげにあるるんに微笑むのでした

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