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2017年01月17日15:28

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【ぼくレス2 2次創作】癒しのカフェレストラン「モカの店」

ぼくのレストラン・・・この世界ではほぼ95%のレストランをチェーン化してる
最大にして最強のシステムを提供してる財閥である

その提供に乗って若いオーナーがメキメキと腕をあげている
ここにその一人の若者がいた
名前を「青山 モカ」という
親が珈琲好きで付けられた名前だが・・・可哀そうと言う事無かれ
彼はそんな事は気にした事は無い
着実にその道を究めようとしている

カフェ部門の青山モカの店・・・提供されるのは皆最初こんな名前だ
命名は好きに変えられるが彼はそんな名前など気にする人ではなかった

腕さえ良ければ名前などどうでもいい
それが彼の考えだ
そして彼の入れる珈琲はとても味わい深く、心の疲れを癒す効果があるとの噂される
彼がモットーとする
自分が淹れたコーヒーで一時の安らぎを与えたい…
が自ずと実ってる店であった

その店からすっとんきょな大騒ぎが聞こえる。小熊の三兄弟だ
元気が取り柄なのはいいが失敗も多く毎日モカは頭を抱えていた。
しかしこの小熊達どんな失敗をしてもめげずに明るいのでモカも憎めない
クールな顔で片づけを指示してはあっさり自分の仕事に戻ってしまうが
追い出されてない事が何よりもの証拠だろう

そして、この店の常連客は多いが目立つ存在が1人と一匹居る
ここの常連にして一番歳の行ったおじいちゃん珈琲好きに名付けられた
レストラン系ではなくカフェ系のモカの店に出入りしている野良猫「猫山ネコ造」

そして、昼間ほぼ最近居座っている私服の若い娘・・・まだモカは彼女の名前を知らない
自分の体全身でネコ造を抱えてなかなか離さない
長いくせ毛にいつもお洒落にリボンしているのが印象的だとモカは思っていた
しかし・・・自分も若いが彼女は恐らく学生だろう・・・
昼の日中カフェで時間を潰す暇などあるものか?
モカの見つめる視線に気が付いたが娘が顔を上げ視線が合う
慌てて目をモカは目を反らしてしまった。そしてその事を少しだけ後悔した
反らす瞬間気が付いてしまった
少し大人びた顔立ちがえらく幼い顔に戻って無邪気に笑い返す娘を見損ねた

娘はいつまでもふかふかで気持ちいいネコ造を離したくないのだが
ネコ造はノラ猫である
気まぐれに長く付き合ってくれてるが・・・昼も下がりを始めると
餌を探しに行くのかいつも膝を離れていく
もちろん、モカのカフェでもケーキやらオムライスやらの残飯をよく貰っている
そのせいか体格がえらくいい
そのネコ造を何時間も抱えているのだ。娘の腕は結構筋力があるのかもしれない

ネコ造が動き出すと娘の帰る時間である
だが、その日娘はレジの前で真青になった。財布の中身がコーヒー1杯の支払い分も無い

「どうかしましたか?」顔色を変えた彼女にできるだけ怯えさせないように
モカは優しく言った。冷たい顔は生まれつきなのであまり変えられなかった

「あ、あのーっ。この店ツケ効きますか?」真摯に必死な瞳で問いかける
ここはカフェショップである。モカの店だからこそリピートも多いが普通にツケる人間はいない
一瞬だけモカは考えたが・・・
「じゃあ、いつも来てくれるから今日は自分のおごりと言う事で」
緊張してたせいか冷たい声が一層冷たさを増してしまったかもしれない
自分の口べたを少し呪った

少女がマジマジと覗きこんできた。思いもしない行動に少したじろぐ
「店長って明日休みですよね?ずーっと私好みだと思ってたのです
明日は私のおごりでデートしませんかぁ?それで貸し借り無し
駄目ですか?」

モカはさらにたじろいだ・・・が生まれつきなのだろう
冷静沈着クールなモカは消えない。内心たじろいでも反応できないのだ
「あーごめんなさい。駄目ですよね・・・今度から忘れないようにします」

「いや、その、それでも構わない。ただエスコートは慣れていないぞ」
後ろ向きになり一歩踏み出そうとした背中に声かける
少女は振りかえり華が咲いた笑顔を見せた
「嬉しい!じゃあこの店の前で待っててください。その後ろに自宅があるの」
と差し出されたパンフレット

・・・5つ★とは言わないが立派な3つ★レストランには値する総合料理店のパンフレットを見て
モカは顔をしかめる。カフェに毎日出入りしてる少女が何故にこんなパンフレット持ってる
しかも後ろに家?あそこは高級レストラン街だった気がするが・・・

翌朝待ち合わせ時刻前1時間、中を見物させてもらいがてら掃除と下ごしらえの提供
さすがはレストラン街のコックたちの動きは違う
感心と見習わなければと心を引き締めた気持ちが沸く

そして5分前店をでて前にたってると少女店の脇を歩いて抜けてきた
「モカさんお待たせしました?な訳ないかさっきまでうちのレストランで掃除してたものね」
そう言うとはにかんで笑う
モカは眉をひそめてでも声はいつもの調子で
「うちのレストラン?」
「あー正確には父のレストランですね。行きましょうか」

モカは実はデートらしきものは初めてだった
コーヒーを入れさせれば自分で思うのもなんだがそこそこだと思うし
自分の信念である人々に安らぎの一時を与えたいそれも実現しつつあるつもりだ
もてなかった訳でもない交際の申し込みなら幾つもあった・・・が断り続けてきた
コーヒーショップの店主になるまで恋愛は邪魔だと判断したからだ

それでぎごちないエスコートになる
相手の希望を何通りも想定して、徹夜に近い形でデートコースを想定したが・・・
彼女は軽い食事をファーストフード店ですませると
公園へ行きたいと言い二人で向かった
公園と言っても緑園みたいな所だ大きな人工的緑の空間
芝生に座りこむと小一時間は無言で二人ともそよ風を浴びてた

モカは口を開くべきか悩んでいた
でも自分の喋りがどこか冷たいのは知ってる
もっとも喋りは冷たくても心の中のハートは暖かい
モカの店の常連なら知り尽くしてるがモカ自身は気づいてない

モカが口火をどう切ろうか迷ってると少女から質問が来た
「モカさんは自分のお店持つまでにその若さでなりましたよね・・・親の影響ですか?」
モカは少女の瞳を覗きこむ
「親はコーヒー好きだったからな。美味しいコーヒーを入れてやりたいとは常々思ってた
だけど好きなだけで美味しいコーヒーが入れられる人たちでは無かったな。だから自分が入れようと思った」

「じゃあ、逆かなモカさんは優しい人ですね」
再びモカは少女の瞳を覗きこむと少女もまっすぐ見返してきた
「私には料理の才能はありません。今、夜間学校で商業科通ってます
経理で親のお手伝いする予定です」
驚きの顔が自分にはできないのをモカは珍しく感謝した
「夜間学校?それで昼間はうちに居るのだな」
「ですね。グレてた訳でもないですが、中学は小遣いじゃ足りないほど仲間と豪遊してました
物ごころついたころには今の店はあって親二人は一流シェフとして働いてた
寂しかったですね。寂しさの余り愛情の変わりに金よこせって叫んだら湧水のようにくれた
心が冷めた。親に反発して遊びからかした。柄でもないのにね・・・」

少女が泣きそうな笑顔を見せた
「男友達に監禁されました他の女友達4人と一緒に・・一人一人いたずらされていき・・・
最後の私の番って時に警察に保護された。生れてはじめて親がレストラン長期休業にしてた

そこで友情も愛情も知りました
女友達が私は普通の子だから自分たちと本来遊んでるはずのない子だからと
みんなかばって先に犠牲になってくれました。親にも始めて抱きしめられた・・・
何しててもいい、学歴なんか無くてもいい
でも自分の体は粗末にしないでくれと泣いて頼まれた
女友達も私たちは遊び慣れてるから平気
監禁はびっくりしたけどちょっとスリリングな体験なだけ
そう言って笑ってくれました
無理してバリバリな振りしてたのバレバレだったのは恥ずかしかったけど」

一気に話すと少女は溜息ついた
「でも、それで終わりになった。もうこんな思いさせられないと友達別れられちゃって
両親はレストラン再開して私はまた、寂しくなった・・・
でも無理せず前進してみようかと思ったの・・・だから夜間の商業科」

「・・・昼の学校は選ばなかったのか・・・その金あればどこへでも入れるとこあるだろう?」
上目遣いにモカを覗いてくる少女にモカがたじろぐ
「寂しさと前向きの間でいろいろ迷ってる時にふらふらと入ったのがモカさんのカフェレストラン
私の寂しさとささくれそうな心を癒してくれる場所・・・昼間しか開いてないでしょ?」

モカは目を見開きそして閉じた
たった一つのカフェショップ・・・人の進路まで決めてしまうのか・・・
頬に触れる柔らかい感触
それの正体に思い至って思わず赤面で少女を引き離した

少女がクスクス笑う
「珍しいモカさん見ちゃった
また、一緒してくれますか?
私の得意な事・・自力で自分の髪にリボンを綺麗に結ぶ事だけですけど・・」

「・・・一日、ネコ造抱えてぼーっとしてるのもなんだ
うちでバイトするなら考えてやる
その・・・まぁ・・・小熊たちがどうにかなるんだどれだけ不器用か知らんが成せば成ると思う」

少女は首を縦に振り気持ちよさそうに生ぬるいそよ風を浴びる事にまた集中しだした
モカはその隣で寝そべりウトウト始める

夕方になり学校まで送り・・・
少女の名前も聞いてない事に気が付いたのは・・・
情けなくもバイトに入ってもらい用事を呼びつけようと
名前を言おうとして言えなかった時だった

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